帰省レポート・4・「レイアウトテクニック」から
今回は帰りの電車の中で感じた読書感想文みたいなものです。
帰宅の直前に故郷駅の近くのショップで見つけたレイアウトテクニックの初版本。
実はこの本は30年ほど前にすでに購入していたのですが現在は自宅の本棚の本の山の中に埋もれてしまいなかなか発掘できないでいる物でした。
価格もリーズナブルでしたし、これに目を通すのも何年かぶり。帰りの電車の読み物には好適そうな1冊です。
この本、一般の評判では雲竜寺鉄道とエコーモデルの阿部敏幸氏の様々なアクセサリ製作で有名な本です。
もちろんそこも十分に堪能したのですが、今回個人的に特に印象に残ったのは庭園に組み立て式レイアウトを展開した「雲助鉄道」でした。
このレイアウト、線路配置はただの複線エンドレスを基本にヤードとの連絡用の高架線を絡ませているだけという、最近のレンタルレイアウトなどに比べると非常に単純な物です。
ところが写真を見るとそこを走る列車が他のレイアウトにない「生き生き感」を持って迫って来るのに驚かされました。
さっそく帰宅後に当時のTMSからこのレイアウトが表紙に使われているものを探し出して再度確認してみました。
線路配置が単純なのにこのリアル感は何故だろうかと考えたのですが、トラックプランを注意して見て納得しました。
実はこのレイアウト、最急曲線がヤードとの連絡線の870R、本線上では最急曲線が1150R、標準で1500R前後と16番としては異例なほどの緩曲線で構成されていたのです。
16番だとお座敷レイアウトのかなり大きなものでも標準的には900R程度のカーブである事を考えるとこれはかなりのスケール感といえます。
これほどの緩曲線を走る列車がリアルでない筈がありません。単純なエンドレスでありながら走る列車の生き生き感が発揮されている秘密はこの「リアルな曲線美」にあったと思われます。
これをNに換算すると450Rが最低許容範囲、本線で600~800R超の曲線と言う事になります。
言い換えるならそれ位のカーブ設定でないとNの走りでもこれだけのリアル感は出せないという事になります。
もちろんそれだけでなくカントや勾配の設定、風景の構成の要因もあるでしょう。ですが庭園鉄道でこれだけの迫力とリアリティを出している(それもラージスケールでない16番モデルで)事を考えると線路だけのレイアウトでも列車の走りそのものを美しく、魅力的に見せるのは可能と言う事になりはしないでしょうか。
私もかねて小レイアウトとは異なる大レイアウトならではの魅力はどこにあるかと言う事を考えていたのですが、今回の雲助鉄道のしていた事はひとつのヒントとしてとても参考になる物でした。
近いうちにそれを確かめるための実験をしてみるつもりでいます。
これがうまく行けばお座敷運転やモジュール製作に大きな転機をもたらすのではないかと期待はしているのですが…
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この記事へのコメント
懐かしいです。
もうかなり前ですが、いつもそばに置いて読んでいました。
「全書」「モデリング」と並んで70年代頃のレイアウトの本の定番でしたね。
センスなどで今でも通用する部分も多いですし是非再販を望みたい所ですね。