「蒸気機関車」という雑誌の話・2

 前回に続いて雑誌「蒸気機関車」の話です。
 本書は元々「キネマ旬報」の別冊・増刊の扱いとしてスタートした物で当初はキネ旬同様の通巻番号が振られていました。
 後に一時月刊化されていましたが数号で季刊化され昭和56年頃まで続いていたようです。

 これを見ると分かるように本書の出ていた時期は大雑把に言っていわゆる「SLブーム」と呼ばれた時代と完璧にシンクロしておりブルトレブームと入れ替わりに終刊した事になります。

 さて私自身は子供の頃は主に「ジャーナル」を読んでいたのでそれに近い内容を漠然と想像していたのですが実際はジャーナルはもとよりピクトリアルやファンと比べてもかなり趣味性の強い雰囲気の洒落た雑誌という印象でした。

 元々が映画雑誌からスタートしているせいか専門誌ではまず見られない(笑)「映画シナリオ集」の広告(そのくせ裏表紙は天賞堂だったりします)があったりしますが、巻頭の蒸機のグラビア写真に当時の文化人・芸能人のエッセイを組み合わせているのが先ず新鮮でした。
 最近のこの種の本ではマニアの自慢話みたいなのしか見掛けないだけに尚更です。
(とはいえ、時代を反映して登場するのが大空真弓とか園まり、伊東ゆかりとかだったりするのですが)

 当時のブームが「失われてゆく蒸気機関車に詩情を重ね合わせてノスタルジーに浸る」雰囲気に支えられていた事が感じられます。

 これだけだったらブームに便乗した一般向け雑誌にも見えるのですが本誌の真骨頂は実はここからだったのでした(汗)
 
 手元の数冊を見ると特集が「台湾のシェー式(笑)機関車」「メソポタミア平原を蒸気機関車は行く」「24時間ルポ・北千住踏切」「南大東島の軽便鉄道」など当時国鉄の蒸機中心のムーブメントに棹差すような国際色と鉄道全般に気配りされた編集が目を引きます。さらに座談会形式でファンや鉄道マン・あるいは戦時中の鉄道部隊の話を毎号掲載したり、鉄道模型や鉄道映画、こぼれ話などの随筆も非常に充実しており狭いジャンルに縛られず鉄道趣味そのものの幅とファンの視野を広げようとする造りの雑誌でした。

 そのせいか読後感は非常にさわやかでとても40年以上前の雑誌とは思えないものでした。
 正直、最近の妙にセクショナリズム化した専門誌でも読んでこれほど溌剌とした気分になれるものは非常に少ないと思えます。

 ですが当時はこうした編集方針が受け入れられていたとはとても言い難かったようで43年6月号を境に「普通の専門誌」に近い雰囲気になってしまったようです。
 以前入手していたC52の特集号はその過渡期に当たるもののようですが、今回入手したものに比べると写真やデータこそ豊富ですが全体としての面白さの点では劣る印象でした。

 

 この雑誌が受け入れられなかった事はそのまま今に続く「鉄道マニア」のあり方の問題そのものを象徴している様に思えてなりません。
 それをおぼろげにに示している箇所があるのですがそれについてはまた。

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