「蒸気機関車」という雑誌の話・3鉄道模型の記事


 雑誌「蒸気機関車」の話。今回は鉄道模型誌としての本誌のスタンスで感じたことを。

「ボクは本物の鉄道写真も好きであるが、模型を使ったミニチュア鉄道写真を撮るのも好きである。本物では味わえない、格別のフンイキがある(中略)如何にらしく撮れていても模型は模型であるからだ(中略)しかし、ボクは模型でしか表せない世界の写真に興味がある。(中略)全てが合理化され、機械化され人間さえもそうなりかねない時代である。夢だけは残しておきたいと思うのである。その一つに模型鉄道写真がある!というようにしたい」

 こういうキャンプションと共に列車と建物・人形を中心としたアクセサリを配置してミニシーンを構成したページがあります。執筆・撮影は本誌の監修の関沢新一氏です。

 こうして撮られた関沢氏の模型写真、何処かで見た雰囲気と思っていたのですがJOHN ALLENのGD LINEのそれに似ていることに気が付きました。

 手持ちのアイテムを並べてドラマを演出するだけなら最近の作例でも見掛けるようになって来ていますが関沢氏やALLEN氏の場合、単なる「リアルを超えるイメージの飛躍」がごく自然に溶け込んでいる事が大きな特徴と思いました。

 例えばアメリカ西部のミニシーンの中に「観光ニッポン海外紹介のために」祭りの山車を配置したり、あおりで宇宙ロケットの発射台を捉えながら足元にシェイギヤードを同居させてみせる。
 それらがよく見ると市販のアイテムやおもちゃの組み合わせで成立しているのです。
 つまり、必ずしも自作一辺倒ではなく手持ちのアイテムの組み合わせでも自分の表現したいモチーフさえしっかりしていれば表す事が可能と言う事です。

 特撮映画の脚本を多数手がけている方でもあるだけに市販のアイテムの配置にドラマを感じさせる演出が感じられます。

 ALLEN氏のレイアウトでも人形の効果的な配置(こちらは殆どが自作ですが)と同時に「ステゴザウルスがレイアウト上で仕事をしたり」「列車事故のミニシーンが構成されたり」していますが自作か市販品を使うかの違いがあるだけで本質的な遊び心という点では共通点が多いと感じました(尤もGD LINEの方が20年以上先行しているので関沢氏がGD LINEに触発されて今回のようなミニシーンを作ったと見るのが正しいかもしれませんが)

 実在の風景の単なる引き写しではなく作者のイメージの世界観を優先させ「夢の世界を現出させる」のがレイアウトの本質の重要なひとつ(これは海外の著名なレイアウトビルダーの大半が何らかの形で語っている事でもあります)であるなら関沢氏やALLEN氏のこのコンセプトはとても大切なことではないかと思えます。

 これに限らず鉄道趣味人としての関沢氏の語る事には今でも学ぶべき事が多かったです。
 関沢氏の本誌の監修とほぼ同じ時期にTMSでも関沢氏を招いて座談会を組んでいますが、その内容から言って関沢氏の趣味観やポリシーへの共感が特に主筆の山崎氏にもあったのではないかと思えますが考え過ぎでしょうか。

 本誌ではもうひとつかつてのTMSで一コマ漫画で、RMM誌で随筆を持っている水野良太郎氏も1ページをもらって当時の鉄道模型界を皮肉った様なコラムを書いていますが当時の氏の年齢のせいかどれよりも率直な書き方で新鮮でした。

 今回のチェックで「蒸気機関車」は鉄道模型雑誌としても侮れない事もよく認識できました。

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