震災の本を読み返して・3・三陸海岸大津波


 今回は毛色を変えて、久しぶりに震災関連本の読み返しの話です。

 今回は吉村昭著の「三陸海岸大津波」20年ほど前に購入していた物です。

 この本を今回の震災と照らし合わせて読み返すと思わず慄然とします。

 先日のニュースで宮古で観測された今回の津波の波高が70センチほど明治の津波よりも高かったという記事がありましたが、本書を読み返してみると当時の津波と今回のそれとの類似点の多さに気付かされました。

 例えば、明治の津波を記憶していた田野畑村の老人の談話(高台にあった自宅まで水が来た体験談)から推定される波高は40乃至50メートルはあったのではないかとされ、10メートルくらいの防潮堤ではどうにもならないと著者に同行した村長が慄然とするくだりがあります。

 この本が書かれたのは昭和46年前後らしいのですがそれから40年も経ってからこの危惧が現実化するとは。

 前の「地震の日本史」の時にも書きましたが「災害は忘れた頃にやって来る」という、一見軽く言われがちな言葉(寺田寅彦の言)の陰に潜む重さを感じる思いがします。

 又、本書の中では過去の三陸津波の歴史が俯瞰されていますがこれまでチリ地震津波の様な海外の地震の影響による物も含めて死者の出る様な津波は大体20年に一度程度の頻度で発生している事になっています。

 しかし今回の震災津波の場合、チリ地震津波から50年近く経過しており、昭和の三陸大津波から数えても80年近くとこれまでの中では異例なほど間隔があいていた事もわかります。

 50年と言うと世代交代などで災害の記憶が薄れやすいぎりぎりのタイミングともいえ、これも防災上のネックとなっていたのではないでしょうか。

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