帰省してきました・4・メルクリンミニクラブの魅力で思うこと


 この冬にメルクリンミニクラブのセット(中古)を買った時には「走らなかった」ショックが尾を引いていたのでシステム性や車両そのものについてはろくなチェックをしていませんでした(汗)
 今回車両が走行可能であることを確認できたことで改めてメルクリンのシステムを冷静にみられるようになった気がします。

 今回はそれに関連したことから。

 まず24型テンダー蒸気ですがHOはもとより最近のNとも、またPRIMROCOの機関車とも違う独自の魅力(それも模型としての)が感じられました。
 車体はダイカストの様ですがデフレクターだけは薄手の金属板を使って見せています。オールプラが主体のNだとデフの不自然な厚みの処理にメーカーの苦心が感じられる事が多いのですが適材適所で異なる素材を使い分ける事で小さくても細密っぽく「見せる」工夫には一日の長を感じました。

 また車体を裏返して感心したのはこれまた他の製品では当たり前である「ギアの露出」がない事です。
 万一埃の侵入を許すと手が付けられませんがこの方式の様に埃そのものの侵入をシャットアウトしようとするポリシーは興味を引くものでした。

 言い換えるなら最初の製造段階で品質と耐久性に絶対の自信があるからこそ可能な方式でもありこの辺り何となくメルセデスの自動車を連想します。
(現にミニクラブの広告では機関車の耐久試験の成果が誇らしげに語られているものがあります)

 レールシステムや配線は日本のそれに比べて随分と華奢な印象でした。ですがミニクラブの場合、これが逆に「精密なホビーをやっている実感」を感じさせるところが不思議です。
 こういうのが「ブランドの持つイメージ性」なのでしょう。
 パワーパックは基本的にワンダイヤル。故障していた奴は一個のダイヤルで前進後進まで操作するタイプ。青い方(こちらが型としては古い)では上部のスイッチで前進後進を切り替えるものの他社の様に「中間の無通電ポジションがなく、スイッチをボリュームレバーに兼用させている」ところが面白い感じです。

 全体としてミニクラブは他社や他ゲージのそれに比べてシステム性や工夫に優れている印象でした。
 ですが、そのシステム性や演出力の高さはメルクリン自身が鉄道模型を「高級玩具」とみなしているがゆえに実現できている美点だとも思えます。

 上記の機関車の適材適所の素材の使い分けも「おもちゃとしての省略美」が原点にあると思えます。同じ事はロッド類の描写についても言え、よく見るとロッドの一部が固定されていたり省略されている事がわかるのですが走らせてしまえば全くそれが気にならないのです。
 その一方でレールシステムの充実度は登場当初からTOMIXやエンドウのそれを圧倒するもので(カーブポイントやダブルスリップがTOMIX登場以前にすでに実現していた)建物も駅舎が最初からターミナル駅と田舎駅が出ていました。

 これらの総合によって誰でも(当然子供も含む)基本セットをもとに複雑かつ効率的な鉄道システムへのグレードアップが楽しめる様になっていました。
 つまり小手先の細密化ではなく「運転を含めた鉄道の本質を楽しませる」事こそが鉄道模型の楽しみ方の王道であるというのがメルクリンのポリシーではないかと思えるのです。
 そのためにはリアリティを省略しても十二分の走行性と機能性を確保する。しかし車両全体の印象把握では決して手を抜かない。
 (HOでは交流3線式のメリットを最大限に生かしDCC並みの制御システムをかなり早期の段階から実現していますが、この辺りにそれが端的に出ていると思います)

 このポリシーは少なくともTOMIX以外の日本の鉄道模型メーカーが持ちえなかった(そのTOMIXとて完全ではありませんし)視点だったと思えますし「模型メーカー」に拘っている限りは永遠にメルクリンに追いつけない部分ではないかとも思えます。

 なるほど、世界中にメルクリンのファンが少なくないわけだと感じさせられました。

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