今月の古本屋から


 今回は今月のBook ●ffから。

 この種の古本屋はひとつの地域に複数ある事が多いので、平日休などに梯子をして面白そうな本を探すのがひとつの楽しみになっています。
 (実は現住地は故郷とは比べ物にならない位に新刊書店が少ない上に品揃えも感心せず少しがっかりしています。何しろ県境を越えて隣県の本屋を覗くだけでその質的な差に圧倒される位ですから)

 尤も、最近では珍書とか奇書とか希講本とかいうよりも「新刊書では高くて手が出なかった奴を安価に入手する」と言ったベクトルに傾いているのですが。

 今回見つけたのもそういった性質の本たちです。

 野田隆著「素晴らしき哉 鉄道人生」
 タイトルだけ読むと駅員か保線区員の一代記でもある様ですが現代鉄道マニア気質の紹介がメインの本です。

 実はこの手のマニア賛美本は2・3冊持っているのですが妙にスノビッシュな自己憐憫的自慢話(そのくせ不思議な事に基本的な知識に欠ける)ばかりで読後感はけっして良くはありませんでした。
 これもそんな一冊かと最初は思ったのですが、適度に抑制のきいた筆致と他書にないユーモアのセンスが光り安心して読む事が出来ました。思うに本書の場合著者の客観的な自己分析がしっかりしているのでしょう。
 一般にも読ませるマニア生態本としては楽しめる部類に入ります。

 鉄道模型に関する描写も他に比べてページ数が多い上に内容の錯誤も少ない部類に入ります。

 山之内秀一郎著「なぜ起こる鉄道事故」
 実はこれは文庫版を既に持っていたのですが元本の方が写真や図版が豊富だった事から敢えて購入した物です。
 
 事故の防止はいつの時代でも鉄道の永遠のテーマといえます(鉄道に関する施設の殆どが「事故を防ぐための装備」である事はマニアでも見落としがちな事実と思います)が古今東西の事例を通して事故防止の歴史、それにもかかわらずわずかな穴をかいくぐって起きてしまう事故の現実を分かりやすく解説している点で名著と言っていいのではないでしょうか。

 池田邦彦著「HOゲージ小型レイアウトの作り方」
 最近のこの種のハウツー本は技法の解説や実物知識の羅列になりがちな物が(特にNゲージ)多いのですが、自分の趣味史と重ね合わせてレイアウトそのものの魅力をも語ろうとしている点で非常に読ませる、楽しませる本と思いました。

 その意味ではレイアウトを作る気のない人に向いた本かもしれません。

 他のハウツー本の方が技法開設は豊富なのですが肝心の「じゃあ私もレイアウトをやってみようかな」という動機づけをより強く与える点では本書の方がはるかに優れていると思います。

 特に風景づくりに付いては作り手のセンスの良さが光り、著者が楽しんで作り、且つ書いているのが伺われます。
 欲を言えば16番よりも既成パーツの多いNのジャンルでこうした物が出てくれないものかと。

 とはいえ、このところ16番セクションの工事が中断状態だったのですがこの本を読むと背中を押される様な気分になりました(大汗)
 本当、そろそろやらなくては。

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