「究極の鉄道模型展」の記事を読んで

先日の朝刊で知ったのですが、東京タワーで鉄道模型展が開かれている由。
シャングリ・ラ鉄道の原信太郎氏の作品群が展示されているとのことです。
原氏については以前新書で出ていた「スーパー鉄道模型・わが生涯道楽」を読んで以来趣味人として私の心に残る方の一人です。
1番ゲージラージスケールの車両モデルの工作を中心にそれらを走らせる為のレイアウトとして「シャングリ・ラ鉄道」というのをかなりの大スペースに実現され、御年93歳の今でも趣味人として現役でおられる方だそうです。
本書を手に入れる前にも一二度昔の「とれいん」誌上で作品群の一部を見た事があります。
氏の車両工作・設計で感銘している事は、外見だけではなく実際の車両の構造や動力機構をも再現に努めている事です。
「スーパー」でも触れておられたブッフリ機構を再現したED54等はその最たるものでしょう。
私は本書を読んで初めてED54と言う機関車そのものに興味を持ってしまいました。後にTMS誌上で16番で同様の伝達機構を再現した記事がありましたが、一目で機構がわかると言う点ではラージスケールのモデルに分がある様です。
この他、すべての車両にきちんと作動するボルスタが標準で装備されていたり実車同様の惰行機構が付いている点(これは16番やNの鉄道模型をやっている人なら誰でも驚嘆するポイントと言えます。パワーパックでモーター出力を絞ることで惰行のような減速をするのとは異なり動力を切った状態で滑走できる機構を持ったモデルはHOやNにはまずありませんし、線路状態にきちんと追従できるイコライザ機能を台車に内蔵させることについても同様です)などどれをとっても驚かされます。
それらの運転場として用意されている「シャングリ・ラ鉄道」という18メートル×9メートルの大レイアウトがまた凄い。トラックプランやセッティングなどに学ぶべき点も多いレイアウトと思います。それらを収容するレイアウトルームはまさに鉄道模型版の「方舟」といってもいいスケールです。
しかもそれがレイアウトとしては7作目というのにまたびっくりです。
これらに象徴されるように「みてくれの格好ではなく機構の本質を模してこその模型」の再現と言うのは(これは車両だけではなくレイアウトの運転形態にも通じるものがあると思いますが)正にモデラーの鑑と言えるのではないでしょうか。
それらを実現してきた原氏の研究熱心さとバイタリティ(その根底にあるあくなき好奇心)にはただただ圧倒されます。
本書にちりばめられたエピソードは鉄道の限らず趣味人のあり方のひとつとして教えられる事も多かったです。
鉄道模型歴を通して人生そのものを語り得る人物としては氏は恐らく唯一無二の存在ではないでしょうか。
こういう方が居られる事は私にとっては憧れの対象として、ある種の方々にとっては大きな目標として、鉄道模型と言う趣味そのものにとって非常に大きな財産といえると思えます。
かねて現物を見てみたいと思っていたモデル群でもあるので時間が作れれば覗いてみたいイベントではあります。

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