特撮美術とレイアウト

今回は特撮博物館土産から。
とは言っても普通に本屋で買える性質の本なのですが、こういう時でもないと手が出せないと思い購入しました。

キネマ旬報社刊「特撮映画美術監督・井上泰幸」


初期のゴジラを初め当方の特撮映画の黄金期をミニチュアの面で支えたスタッフのインタビューと資料で構成された本です。

この種の本を買う特撮ファンのお目当てとしてはメカや怪獣造形と言うところに目が向きがちですがこれらのSFキャラの実在感を出す上でリアリティのある舞台設定は非常に重要です。
ここでは主に実景を基にしたり、きちんとした状況設定のされたミニチュアセットがそれに相当しますが、これらは単に精密なだけ・本物らしく作られていると言うだけではリアルに見せることは出来ません。

 ある意味これまでファンの間でもあまり日の当たらなかった特撮美術というジャンルを再評価する上で本書の価値は大きいと思いますが、一方で「レイアウトやジオラマのビルダー」から見れば特撮映画のスタッフの肉声を通じて「風景の模型」を作るうえでのさまざまなノウハウを吸収できると言うメリットも感じました。

 特撮映画ののミニチュアは一種の舞台芸術であり、あらかじめ計算された画面効果・構図に基づいて適切に配置され、更にそれが適切なアングルに切り取られることで最大限の効果を発揮される様になっています。

 この点で「怪獣」の代わりに「列車」という主役が存在するレイアウトとの微妙な共通点が感じられます。
 本書ではさまざまな作品の思い出話と共にそうした作劇上のノウハウに近いものも多く開陳されています。

 撮影効果に応じたセットの高さ、ホリゾントまでの距離の設定
(特に興味を引いた部分として「直前の撮影プランの変更などが頻繁な特撮セットでは『どんなアングルで撮られるかわからない』から普通の構図では見えない所も作り込んでおく」「同様に画角ぎりぎり一杯のセットを組んでしまうと却ってせせこましく見えるので画角に対し3割増し程度の広さのセットを組む」等があります。また、カメラの視線が俯瞰か煽りかで奥のミニチュアの見え方が違い、画の奥行き間も変わってしまうなど、レイアウトのプランニングに使える話も少なくありません)

 中でも嬉しいのは当時の作品の配置図や画コンテでミニチュアをどう配置してあったかが視覚的に示されていたことです。

 これなどは鉄道模型の専門書でもあまり省みられない部分でもあるのでレイアウトプランの参考として非常に有意義と思います。
 レイアウトビルダーの場合どうしても「まず線路配置ありき」でシーナリィからプランニングされる事が少ない(これは当然といえば当然なのですが)のですが、そうした縛りがないミニチュアセットは幾分風景の構成に対する自由度が高く「様になる風景」或いは「主役を引き立てる風景」をつくりやすいメリットがあると思います。
 (もちろん特撮セットには別の形の縛りがありましょうが)

 これらはミニチュアの教科書ではないので買ってすぐに役に立つと言う性質のものではないのですがレイアウトをやる人間(列車と言う「動くキャラクター」を扱う点でジオラマよりも特撮セットに近い)が読めば後々役に立つコンセプトが満載されている良書ではないかと。

 もちろん特撮ファン、特にミニチュア特撮の可能性について考える向きには大いに薦められる本と思います。

光山鉄道管理局
 HPです。

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