「交通の図鑑」に思うこと

 今回は本の思い出話から

 先日物置から発掘した「小学館の学習図鑑」のひとつ「交通の図鑑」
 これを買ってもらったのは私が小学生になるかならないかのタイミングでしたが以来40年以上よくもまあ持っていたものです。
 表紙などはぼろぼろで見開きページのいくつかは欠落とコンディション自体はそれはひどいものですが落書きが意外に少なかったのは見っけ物です。

 今回はこの「交通の図鑑」で感じた事をいくつか。

 交通の図鑑という位ですから鉄道に限らず自動車、飛行機、船舶も取り上げられています。
 図鑑でよくある様にそれらの車両や機種の紹介があるのはもちろんですがどのジャンルにも共通しているのはそれらの交通機関の活躍をパノラマで紹介する俯瞰のページがある事です。



 飛行機のページで空港、船舶のページで港湾のパノラマがあるのは当然ですが自動車の活躍する街のパノラマなんてのもあったりして楽しめました。鉄道関係では駅のパノラマがありましたが他に比べるとパノラマ感が今一つです。

 これらを眺めていて思いますがレイアウトの考察で私が「魅力的な俯瞰」にこだわりだしたきっかけのひとつは間違いなくこれらのパノラマ画の影響が大きかった事を実感します。
 今回読み返すまでそんな事を意識した事はありませんでしたからその意味では今回の再読はなかなかの拾いものでした。


 巻頭には「近未来の交通図」というのがあって「車輪の無いエアカー」が専用道路を走る後ろで「新幹線みたいな電車の上をロートダインが飛び交う」銀座らしき町の画が載っていてこれにも久しぶりにときめきました。
 この本の出た当時は「高層ビル」という概念がなかったらしく実に空が広々としています(笑)

 この本の初版が出されたのは恐らく昭和30年代の中盤位ではないかと思います。
 メインのカラーページの挿絵を見ると見た事もない位古い車や飛行機なんかが最新型として掲載されているところからもそれは伺えます。

 鉄道車両の方は知らない車両が出て来るなんてことはなくて安心できますが(笑)
 車に比べて車両の平均寿命が長い事などが関係しているのでしょう。
 時代柄私鉄の主力電車の大半が「湘南顔」なのがなんとも(笑)

 客車とか貨車のコーナーなどは今のよりもはるかに充実しています。
 今のだとブルトレとコンテナ貨車ばっかりですから車両自体のバラエティを語る事自体が難しい。あの頃は目的に応じて専用の貨車が作られていたのでこうした挿絵を観るだけで何か楽しい気分になれます。

 さて、本書を私が手にしたのは60年代の終わりころでした。
 ですのでそのままでは当時の最新型との整合性が取れないと思ったのか、後半の白黒ページに補追が加えられています。


 とはいえ今となってはこれらも相当なレトロなのですが。
 DD51などは旧塗装の1号機(後の同型機と細部が異なる)だったりしますし。EF61とかEF80がバリバリの新車扱いと言う所にも時代を感じます。

 初版当時はまだ開業していなかった(であろう)「東海道新幹線」もようやく写真が載りました。
 こちらも今となっては懐かしい車種ばっかりですね。

 ですが今読み返してもなかなか楽しい気分にさせてくれる一冊でした。
 いや、何でも取っておくものですね。

この記事へのコメント

Eはみ猫
2013年06月14日 22:22
ご無沙汰しております。
 デザインが60年代のまま、タイヤが無いエアカーは安っぽいSFみたいでチョット…。でも湘南顔のオンパレードな私鉄電車はイイですね。
 特に南海電車。山がちな背景から察するに高野線の21000系の方でしょうか(SE車は何気に二回連続で登場ですね。コチラは初期の姿ですが…)。
2013年06月16日 00:03
>Eはみ猫 さん

 お久しぶりです。

 「60年代車のタイヤなし」のエアカー(笑)は昭和30年代の本に出て来る未来カーの定番デザインでした。少し時代が下がりますが「ドラえもん」辺りの未来都市にもこういう感じのが出る事があります。

 私もあの頃は「こんなのが走るのか」と素直に信じていた事が(爆)

 当時は湘南顔こそが「最先端」のイメージだった事が伺われますね。80系のデザインとカラーリングの衝撃がいかに大きかったかと言う証左だと思います。

 今これほどまでにトレンドリーダー(死語)に値するデザインの車両がどれだけあるか…

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