Nゲージの「骨董モデル」に思うこと2・骨董モデルの走りのはなし



 先週書いたNゲージの骨董モデルのはなしの続きです。
 最近中古やビンテージモデルの入線増加に伴いやはり「走りはどうなんだろうか」と言う部分に関心が向きます。

 もちろん最新モデルの方が走りがスムーズなのは当然なのですが走りの個性の点ではまだまだ旧モデルも面白い所があると感じます。
 TOMIXや中村精密のテンダードライブ、エーダイの5極モータ、これまたTOMIXのウォームスプリング伝導やしなのマイクロのフライホイールと初期から80年代のNゲージ勃興期のモデルの動力機構にはメーカーの個性や主張が感じられとても興味深いものがあります。

 ところで、従来この手のヴィンテージモデルを語るキーワードとして私自身も「現在の細密一辺倒の方向に対するアンチテーゼ」「模型としての素朴な魅力」「骨董品としての時代的な存在価値」と言う外見上の部分で語られがちだったと思います。
 ですが実際に旧モデルが増えてくるともうひとつの方向性として「走りの個性」の強さが私の中では別な魅力としてクローズアップされつつあります。

 もちろん現在のモデルより洗練された走りのモデルなんてのは少ないのですが。
 ですが30年前までは「Nゲージの動力は非常に精密なのでユーザーレベルでの分解はしない方が良い」と言われるほど動力はブラックボックス化しておりその分走りを通して各メーカーの工夫や苦闘を肌で感じる所も大きいと思います。
 その結果、「当時としては」という但し書き付きでですが意外と走りがタフだったり音がやかましいけれどスローがよく効いたりなどという個性が楽しめる感じがします。

 こうした部分に注目できるようになったのも曲りなりに「レイアウトを持つ事ができるようになった」からという要素が大きいです。
 どんなに細密でどんなに実物そっくりでも「レイアウト上でまともに走れなければただの置物以下」という単純な、それでいて非常に厳しい価値基準でモデルを見る事ができるようになってきたのは個人的には収穫でした。
 
 もうひとつ、昔のモデルは180R以下のミニカーブをクリアできる物も多く、この点でも「280R以上推奨」が多い最近のモデルに対する大きなアドバンテージと思います。

 Nゲージの場合、ただでさえ物が小さすぎる上にガニ股を語る以前に車輪やフランジが大きすぎて車両そのものを「飾る・展示する」用途にはあまり向かないと思えます。
 ましてせっかくギアとモータを組み込んでいるのですから「どれだけよく走ってくれるか」「どれだけ走行条件を選ばないか」という価値基準による評価があっても良いのではないでしょうか。

 余談ですが、昔書店のクルマの本を並べた一角で目立っていた本の中に「走らない奴は黙ってろ!」と言うタイトルのがありました(懐かしいな)
 その伝で言うなら「走らせない奴は黙ってろ!」という価値基準で鉄道模型を語る方向があっても良いとは思います(笑)


 そう思うと細密感一辺倒のモデル嗜好に対する私なりの独自の判断基準を持てる意味でもこの旧モデルブームは無駄ではない気がします。 
 もっとも、同じ事は実は16番やZゲージでも言える事なのですが。
 光山鉄道管理局
 HPです。

にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道模型へ
にほんブログ村
にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道模型 レイアウト製作へ
にほんブログ村

現在参加中です。気に入ったり参考になったらクリックをお願いします。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック