ケイブンシャの鉄道模型大百科を読む(笑)
今回は鉄道模型の入門書のはなしから。
いつかは取り上げたいと思っていたのですが「私自身が持っていなかった」と言う分かりやすい理由でこれまで取り上げなかった題材です。
幸いと言いますか知り合いで持っている人がいて借りだす事ができました。
ですので今回は思い出話と言うよりは「今の目で当時の大百科を見る」という内容になります。
物は「鉄道模型大百科2」
鉄道模型を趣味にしていながらこれがなかったというのも不思議な気もしますが、実はこのジャンルがリリースされた時期と言うのが「私が鉄道模型の趣味を中断した時期の初めと重なっていたから」です。
更にこの時期には既に山崎喜陽、水野良太郎、長真弓の諸氏が良くできた入門書をいくつも出していた時期でもあり「今更買い足す事もないか」と思えた事も要因としてあります。
ですから本書を手にとってまず驚いたのはカバー裏の部分。よもやケイブンシャだけで4冊も鉄道模型ネタの大百科が出ていたなんて思いもしませんでした
さて、本書の構成は今もRMM等でその名を見かける江頭剛氏。本書の初版が昭和61年との事ですから今となればライターとしても相当なキャリアな訳です。
あおりの部分に「Zゲージからライブスチームまで」と書かれていますがそれらのモデルについては巻頭のグラビアレベルの紹介にとどまり、本文のほぼ8割がNゲージと16番の車両工作で占められています。
前者はプラキットの工作と切り継ぎ加工など、後者はバラキットを使ったハンダ付け工法を紹介しています。
これを読んだ時の感想
「(先日失敗を重ねた)16番C58のレストアの前にこれを読んでいたら!!(大爆)」
でした。
小学生対象の本でこれほど懇切丁寧にハンダ付けを解説した教科書はこれまで見た事がありません。
それだけに分かりやすさは天下一品。これ以上のテクを知りたければそれこそTMSやRMMを読めばいい訳です。
(逆に言うならこうした間口が狭まっている事にもこの趣味の問題がある気もしますが)
問題を挙げるならこの「大百科」特有の「小さいくせに分厚過ぎて見ながら工作するのには不向き」な事でしょうか。これはハンダ付けに限らず「クッキング」とか「手芸」(こんなのも「大百科」シリーズには存在します)に言える事ですが。
同シリーズからもう2冊
「Nゲージ大百科」とその「2」です。
前回以上にターゲットを絞り込んだ構成と見受けられるのでページを開く前から期待感が高まります(笑)
車両工作もキットの組み立てから始まってマグネマティックカプラーへの換装とか、塗り替えによってサロ181をサハ110にする(この間のJAMの限定品で出たようですがw)なんてのまで紹介しています。
キットもGM中心ですがKATOの今は亡き阪急6300キットなんてのがあったりキットの素組みだけでなく銀河のパーツを加えたりとなかなか楽しめました。
同様の初心者向け入門書は今でもありますが30年前のこの本よりも的確な説明と表現の工夫をしている物は少ない気がします。
それだけに「開きっぱなしにできない」という大百科特有のウィークポイントがよりクローズアップされてしまっています。
建物類もGMキットを中心に切り継ぎやウェザリングを紹介していますがこちらも入門書としては「読ませる」構成でした。
それ以外にもKATOの「商業ビルキットの組み立て方」なんてのもありました。このシリーズの建物類は以前取り上げたことがありますが今夏も帰省してきました・5・関水金属の「店舗ビル」KATOにとっては一種の過渡期の製品という事もあってなかなか語られることの少ないアイテムです。
それの製作、グレードアップ法を懇切丁寧に解説した記事というだけで空前絶後の気が(笑)
当時から気になっていたこのキットの「組み立て説明書のアバウトさ」について適切極まりない突込みを入れてくださっているだけでも読者としては溜飲が下がります(笑)
予想通りと言いますか、レイアウトの製作記事は前回紹介の「鉄道模型大百科」よりも充実しています。
TOMIXのレイアウトベースをもとにローカル電化区間をモチーフとした1200×800のレイアウト制作が書かれていますが、読者の立場に立った適切な記事で非常に好感を持てました。
他の入門書だとどっちつかずの総花的なレイアウトになりがちなところを作り手が「電化ローカル」にかなりモチーフやシチュエーションを絞り込んでいるため退屈しません。
入門書のレイアウト製作記事としてもかなりいい出来と思いました。
「2」の方もまたマニアック。
ここで紹介されているのは900×600のミニサイズのレイアウトでポイントも最小限なものですが製作しているのが16番を中心にオーダーメイドのレイアウトを多数手掛けている「レイアウトづくりのプロ」カツミ模型店のスタッフに製作を依頼しその実況をレポートするという形式をとっている事です。
プロの技法の中からアマチュアにフィードバックできる部分を吸収してほしいという意図がありますが、このサイズのレイアウトで「山を作るのに金網で芯を作る」技法が使われているのはいかにもプロの仕事という気もします(笑)
出来上がりにそつはないのですが「電化ローカル」のようなモチーフの絞り込みが希薄なので今ひとつ面白くない構成でした。
通して読んでみるとなかなかの充実度でした。このシリーズはまだほかに2,3冊ある上に他社からも同様の体裁の入門書が出ていた様なので一度見てみたいですね。
光山鉄道管理局
HPです。
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いつかは取り上げたいと思っていたのですが「私自身が持っていなかった」と言う分かりやすい理由でこれまで取り上げなかった題材です。
幸いと言いますか知り合いで持っている人がいて借りだす事ができました。
ですので今回は思い出話と言うよりは「今の目で当時の大百科を見る」という内容になります。
物は「鉄道模型大百科2」
鉄道模型を趣味にしていながらこれがなかったというのも不思議な気もしますが、実はこのジャンルがリリースされた時期と言うのが「私が鉄道模型の趣味を中断した時期の初めと重なっていたから」です。
更にこの時期には既に山崎喜陽、水野良太郎、長真弓の諸氏が良くできた入門書をいくつも出していた時期でもあり「今更買い足す事もないか」と思えた事も要因としてあります。
ですから本書を手にとってまず驚いたのはカバー裏の部分。よもやケイブンシャだけで4冊も鉄道模型ネタの大百科が出ていたなんて思いもしませんでした
さて、本書の構成は今もRMM等でその名を見かける江頭剛氏。本書の初版が昭和61年との事ですから今となればライターとしても相当なキャリアな訳です。
あおりの部分に「Zゲージからライブスチームまで」と書かれていますがそれらのモデルについては巻頭のグラビアレベルの紹介にとどまり、本文のほぼ8割がNゲージと16番の車両工作で占められています。
前者はプラキットの工作と切り継ぎ加工など、後者はバラキットを使ったハンダ付け工法を紹介しています。
これを読んだ時の感想
「(先日失敗を重ねた)16番C58のレストアの前にこれを読んでいたら!!(大爆)」
でした。
小学生対象の本でこれほど懇切丁寧にハンダ付けを解説した教科書はこれまで見た事がありません。
それだけに分かりやすさは天下一品。これ以上のテクを知りたければそれこそTMSやRMMを読めばいい訳です。
(逆に言うならこうした間口が狭まっている事にもこの趣味の問題がある気もしますが)
問題を挙げるならこの「大百科」特有の「小さいくせに分厚過ぎて見ながら工作するのには不向き」な事でしょうか。これはハンダ付けに限らず「クッキング」とか「手芸」(こんなのも「大百科」シリーズには存在します)に言える事ですが。
同シリーズからもう2冊
「Nゲージ大百科」とその「2」です。
前回以上にターゲットを絞り込んだ構成と見受けられるのでページを開く前から期待感が高まります(笑)
車両工作もキットの組み立てから始まってマグネマティックカプラーへの換装とか、塗り替えによってサロ181をサハ110にする(この間のJAMの限定品で出たようですがw)なんてのまで紹介しています。
キットもGM中心ですがKATOの今は亡き阪急6300キットなんてのがあったりキットの素組みだけでなく銀河のパーツを加えたりとなかなか楽しめました。
同様の初心者向け入門書は今でもありますが30年前のこの本よりも的確な説明と表現の工夫をしている物は少ない気がします。
それだけに「開きっぱなしにできない」という大百科特有のウィークポイントがよりクローズアップされてしまっています。
建物類もGMキットを中心に切り継ぎやウェザリングを紹介していますがこちらも入門書としては「読ませる」構成でした。
それ以外にもKATOの「商業ビルキットの組み立て方」なんてのもありました。このシリーズの建物類は以前取り上げたことがありますが今夏も帰省してきました・5・関水金属の「店舗ビル」KATOにとっては一種の過渡期の製品という事もあってなかなか語られることの少ないアイテムです。
それの製作、グレードアップ法を懇切丁寧に解説した記事というだけで空前絶後の気が(笑)
当時から気になっていたこのキットの「組み立て説明書のアバウトさ」について適切極まりない突込みを入れてくださっているだけでも読者としては溜飲が下がります(笑)
予想通りと言いますか、レイアウトの製作記事は前回紹介の「鉄道模型大百科」よりも充実しています。
TOMIXのレイアウトベースをもとにローカル電化区間をモチーフとした1200×800のレイアウト制作が書かれていますが、読者の立場に立った適切な記事で非常に好感を持てました。
他の入門書だとどっちつかずの総花的なレイアウトになりがちなところを作り手が「電化ローカル」にかなりモチーフやシチュエーションを絞り込んでいるため退屈しません。
入門書のレイアウト製作記事としてもかなりいい出来と思いました。
「2」の方もまたマニアック。
ここで紹介されているのは900×600のミニサイズのレイアウトでポイントも最小限なものですが製作しているのが16番を中心にオーダーメイドのレイアウトを多数手掛けている「レイアウトづくりのプロ」カツミ模型店のスタッフに製作を依頼しその実況をレポートするという形式をとっている事です。
プロの技法の中からアマチュアにフィードバックできる部分を吸収してほしいという意図がありますが、このサイズのレイアウトで「山を作るのに金網で芯を作る」技法が使われているのはいかにもプロの仕事という気もします(笑)
出来上がりにそつはないのですが「電化ローカル」のようなモチーフの絞り込みが希薄なので今ひとつ面白くない構成でした。
通して読んでみるとなかなかの充実度でした。このシリーズはまだほかに2,3冊ある上に他社からも同様の体裁の入門書が出ていた様なので一度見てみたいですね。
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