「レイアウト」は「テーマパーク」か?を考える(笑)
先日の「レイアウト」と「ジオラマ」の違いについての考察、いつになく様々な方に見て頂いたようで我ながら未消化な考察にお付き合いいただいたようで恐縮です(大汗)
今回はその続きですが「レイアウト」と「ジオラマ」の違いから一歩踏み込んで「レイアウトの本質は何か?」に近い内容になります。
論旨の飛躍もあると思いますがご勘弁を。
先日のブログでは柴乃さんから「分割式レイアウトやモジュールレイアウトはどうなんだ?ときかれると困ってしまうわけですが」というご指摘を頂きなかなか鋭い着眼に少し考えさせられました。
私自身この間まで(つまり常設のスペースの確保ができるまで)分割式のレイアウトで来ていましたし、クラブの運転会用にモジュールも少しやっていますので上記の指摘は正に的確に感じられました。
これらのレイアウトでは運転時以外は「車両の飾り台」に近い扱いになっていましたから「ジオラマ」との境界は更に曖昧になる訳です。
私のブログにお付き合い頂いている方ならばお気づきと思いますが、実際新車が入線するとまずその撮影に上述のモジュールやレイアウトを使っていますから尚更です。
とはいうもののモジュールについてはやはり「運転も楽しめないと面白くない」のも事実でしたから私の場合はモジュールでもレイアウトの分割パーツでもメインラインとは独立したサブのエンドレスを配置するなどして「単体でも運転行為が完結できる」配慮はしています。
この方法にはもう一つメリットがありまして(笑)「シーナリィや路盤などの不備が出るとそのままでほっとけなくなる」言い換えれば「常に手をかけ続けたくなる」ために作りっぱなしにできない所があり、この辺りは「完成=完結」となりがちなジオラマと異なる点の一つと思えます。
(とはいえ、これをもって「レイアウトがジオラマより優れている」という訳ではありません。「改善」のつもりが「改悪」になる事も多いですから)
そうまでして「運転」に拘ってしまう辺り、単なる「飾り台」では我慢できなくさせる何かがレイアウトの魅力であり特徴であるともいえるとは感じます。
また、モジュールについては「運転会で走らせる」という前提で作られる以上「いつかは使う(笑)」つもりで作っていますからどちらかというとレイアウト寄りの発想の工作と思います。
一方で最近はシーナリィの作り込みを重視して「線路はあっても通電しない、車両を走らせない」セクションも増えていますがこちらこそジオラマ寄りの物と言えるでしょう。
個人的な想像ですがこうしたセクションが増えている背景に「細密な見た目に見合うだけの車両の走りの質感にギャップが生じている」現状もあるかと思われます。
実際、テレビなどで16番などの超精密モデルがセクション上を走り出すカットを観ると特に走り出す瞬間に実車とは違う「スムーズさのないがっくん加速」を見させられることも多いですから。
さて「飾る」だけでない「作る」「走らせる」「手を加える」という「完成した後でもユーザーが能動的に働きかける楽しみ」をレイアウトが持っているとしたら、前回の考察で提示した「レイアウト=舞台芸術・映画」というのはまだ舌足らずな表現の様な気がしてきました。
もっと進めるなら「ジオラマ」がどんなに大規模であっても「博物館の展示品」的な存在なのに対してレイアウトの場合は「私設テーマパーク」ではないかという見方も成り立つのではないかと思います。
以前に触れました「人々を招き、モデラーもそうでない人も一緒に楽しむことができる。そしてレイアウトを楽しんでもらう事で観る者に作り手のイメージの中をも旅させる事が出来る。こんな楽しい事があるかい?」という有名なアメリカのレイアウトビルダーのこの言葉。
これは正にテーマパークの本質でもあるとも言えます。
欧米の著名なレイアウトJOHN ALLENのGD LINE、PETER DENNYのBUCKINGHAM BRANCHにしても精緻な風景創成も去る事ながら「それを運転して楽しむ」側面が決して軽視されていない事からもそれは裏書きされます。
あるいは数年前から楽しませてもらっている「TRUCK AHEAD」というアメリカの鉄道模型番組で紹介されるレイアウトの大半もこうした「テーマパーク」性が日本のレイアウトよりも濃厚に感じられます。
それらに共通するのは風景創成、運転のポリシー、設定などから「作り手の主張が透けて見える事」があります。
これは全てを自作で賄ったフルスクラッチばかりでなく、ライオネルやメルクリンの既製品のパーツだけで構成されるレイアウトですらそのコーディネートの部分で見るものを納得させている部分であり、だからこそ独特な楽しさとして感じられているのではないでしょうか。
(但しここでも申し添えておきますが、上記の魅力はあくまで欧米に無数にある筈の「個人・クラブ所有のレイアウトの中の極めて上質な上澄み」であり、全てのレイアウトがそうでない事も大いにありうると思います。日本より凄いレイアウトが多そうに見えるのも鉄道模型の普及率の高さに伴う分母の大きさが大いにものを言っていると思われます)
前回書いた様に「実際のレイアウトを見たり触れたりする機会が潤沢にある人は少なく、専門誌の記事やテレビ番組で補われる」という現状は確かにあったと思います。
ですが数年前からそれは徐々に変わり始めています。分母の増大やそれに伴う「レイアウトを実際に見て触れる」機会の増加、あるいはここ10年ほどの傾向として顕著な「レンタルレイアウトの普及」は今後「テーマパークとしてのレイアウト」の魅力をより伝える事になるでしょうし、そこから従来のレイアウトと全く異なるコンセプトの傑作が出てくるのではないかと思います。
そうなった時に前回触れました「レイアウト」と「ジオラマ」との違いは認識されてくるのではないでしょうか。
(写真は本題とは関係ありません)
光山鉄道管理局
HPです。
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