運転会で思ったこと・模型の「テイストとバランス感覚」に思う
先日の運転会を中心にふと思った事から
一般の人も数多く集まるイベントなどでの運転会ではメンバーの様々な車両や編成が走行します。
もちろん新幹線や特急などに人気が集まるのは予想できる事なのですが、たまにメンバーの趣味で編成された昔の編成とかマニアックな列車とかが運行されても反応が悪くなるという事はそれほどありません。
さて、先日「巨神兵東京に現る」と言う特撮映画について書かれた考察を読む機会がありました。
私もわざわざ東京に出向いてまでして観た作品ですがこれでもかという位に精緻に表現されてミニチュア世界の中に独特の別乾坤を見る思いがして好きな作品です。
(レイアウト派の方なら必見の値打ちは確かにある作品です)
ですがその話によると当時の観客に一番評判が良かったのは精緻なミニチュアセットや巨神兵の大破壊シーンを差し置いて「ミニチュアの中で玩具然として尻尾を振っていた犬」だったのだそうです。
その文章の中で筆者が語っていた事ですが「ミニチュア特撮と特撮の味と言われるラインのギリギリを攻めつつそれを破壊の勢いと外連味でぐるぐる巻きにした本編にあってあの犬は明らかに浮いていた。でも特撮に興味のない人ほどあの犬が良かったよねと言う。これは非常に複雑な気持ちになった(中略)要は作品のテイスト上のバランス感覚なんだろう。たぶん、自分自身が「巨神兵東京に現わる」のシリアスな雰囲気とあの犬の組み合わせに違和感を覚えていただけなのだ(田口清隆「80年生まれが歩む特撮」より引用)」
それでふと連想したのが2、3年前の運転会でのひとこまです。
運転会ではメンバーの持ち込んだ迫力物の編成やら手を掛けた加工・自作車両たちが行き交ったのですが、その路面電車線の中で登場当時ブログや専門誌で酷評されたMODEMOのグリーンムーバーが予想外に人気を集めていた事です。
あれについては私自身あまりいい評価を書かなかったので汗顔ものですが、事実走行時の車体のずれや頭が上を向いた挙動などはお世辞にもほめられたものではありませんでした。
にもかかわらず観客の皆さん(子供だけでなく年配の方々やアベックなども含めて)はまるでそんな事を気にしている様子はなく二編成(実は私も持ち込んでいたので実現したのですが)のグリーンムーバーが行き交う所を楽しんでいたようです。
これも上述の「テイスト上のバランス感覚」みたいな物が関係していたのかもしれません。
ある意味鉄道模型のファンとかマニアと言うのは私も含めて針小棒大に細かな粗や欠点をあげつらってしまう傾向がある様に思います。
その結果として「理想の鉄道模型」というのが実物の縮小コピーの様な可愛げのない上に触っただけで壊れてしまいそうな線の細い(これは模型店のショーウィンドウなどを覗くとよくわかります。専門誌などでどアップの写真を見慣れていると実物を見た時に『こんなに小さかったのか』と拍子抜けしてしまうことがしばしばあります)モケイばかりという事になってしまいます。
そこには実物に似せる事ばかりに囚われすぎて観る者に何のイマジネーションも与えない寒々としたイメージしか感じられません。
むしろ粗はあってもそれを上回るインパクトやキャラクター性がある事が重要なのではないかという気が最近しています。
人によってはそれを幼稚だとかギミックだとかいう向きもあるかもしれない。
ですが幼稚には「オトナ」にはないパワーと成長力があります。
その前では醒めたオトナの感性など一気に霞んでしまいます。なぜなら醒めた感性には「生命力」がないからです。
この辺で一旦「鉄道模型=紳士の趣味」と言う妙な頚木を一時考え直す時期なのかもしれません。
光山鉄道管理局
HPです。先日「車両紹介・気動車」の項追加しました。
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