懐かしの入門書から「鉄道模型大作戦」

 今回は鉄道模型の入門書のはなしです。前回の「鉄道模型大百科2」は以前サブブログで上げたものの再録だったのですが、実はこれの前振りだったりします(汗)

 80年代の初め頃にあちこちの出版社から児童をターゲットにした鉄道模型の入門書が雨後の筍の如き勢いでいくつも出た時期があります。
 そのうち、ケイブンシャの大百科やホビーテクニック等については過去に触れた事がありますが、今回のもそのひとつです。

 実業之日本社のこどもポケット大百科としてリリースされた「鉄道模型大作戦」
 何とも凄いタイトルです。
 当時はこの本の記憶は殆ど無いのですが、あの頃の私の事ですから恐らくこのタイトルだけで引いてしまい、中身までチェックしなかったのではないかと思います。

 この本を紹介してくれたのはケイブンシャの大百科も紹介してくれた知り合いですが、こちらの方が面白いというので例によって借り出して目を通してみたのですが。

 正直驚きました。

 これまでに読んだ同様の形式の本よりはるかに良く出来ており、内容も充実した一冊だったからです。
 対象が子供向けという事で文体がやや「くだけ過ぎ」ていたり今となっては古い言い回しも多いのですが、それでも内容は的確で分かりやすいものになっています。

 中でもモデルの取り扱いやトラブル対処、ショップとの利用法には多くのページが割かれていますがこれなどは完成品中心で使われる事の多いNゲージャーにとって有難い部分であり、かつ従来の入門書の盲点だった部分と思います。
 レイアウトについてもプランの立て方の段階からきちんと解説され作例こそ少ない物の読んでいて大いに役立つ所が多かったです。
「線路オバケを作るな」「主役のNゲージ車両にはそれなりにふさわしい舞台が必要なのだ。良い舞台には良い役者。それを動かす君にはNゲージの名監督の責任がある」など今でも通用する名言、名文も数多いです。

 車両カタログでもそれは同様で他の本なら実物のスペックを模型の写真にくっつけてお茶を濁す所をモデルの特徴やアドバイスを交えて的確に書いているのにも感心させられました。
 一例を上げると『人気商品でこれだけを何台も買えない場合が多いからお店でみつけたら買っておこう(ある中間車モデルについて)』とか『値段の割に働き物のEL初心者は特に無理な使い方をしない事だ(香港TOMIXの某EL)』など

 ここまできちんと書けている理由ですが恐らく本書の著者が専門誌のライターでもマニアでもメーカーでもない「模型店の店主」だったからではないかと思われます。
 実際に客相手にモデルを売ってきた経験を重ねていないとこういう書き方はなかなかできない気がします。その意味でも本書の存在はなかなか貴重であるとも言えます。

 今回の教訓。
 「タイトルだけで本の中身を判断するな」(大汗)

光山鉄道管理局
 HPです。

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この記事へのコメント

2014年02月12日 22:47
児童向け鉄道模型雑誌、図書館の児童書コーナーに並んでいる図鑑みたく文字が大きいのが特徴ですね。
内容も理解し易く感じます。

・・・・私がNゲージに手を出した中学時代は地元の模型取扱い店が、学校教材を扱っている〇〇教材社という店屋でしたので、タチが悪いかったです、店に行くと欲しくなるんですよね・・・・。
当時、親には「鉄道模型は働いて収入のある人の趣味なんだから」って、よく言われてました・・・・。(汗)
決まっての口答えは、「だって学校教材の店だから、中学生でも買って下さい、って言っているようなもんだろ」でしたね。
2014年02月13日 22:32
>hidakamiさん

 80年代は大人向け子供向けを問わず鉄道模型の入門書が一気にリリースされていた年代でしたね。
 それだけに当たりはずれも多かったと思いますが今回の様な模型店の視点で作られた入門書など今では考えられない様なものもあって当時の勢いを感じさせます。

 私がこの趣味を始めた頃は川徳やニチイなどでもNゲージが買えましたし模型店自体の数も多かったですね(あくまで盛岡の場合ですが)

 あの頃に比べると新品を買える店は激減している一方で宝島模型の様な専門店や万代書店の様な中古ショップが台頭しているところに時代の変化を感じます。
 (因みに私の現住地もこの20年ほどで同様の状態になりました。岩手もそうですがホビー系の量販店がない処は価格的に苦しい買い物になりがちですね)
昭和の少年
2014年06月01日 19:29
はじめまして。懐かしいですねこれ。他の検索でたまたまこの画像を発見して思い出が蘇りました。
たしか関口宏さん自慢のレイアウトのお話もありましたね。それと「線路オバケを作るな」に絡んだ記事だったと思いますが「初心者が作りたがるパターン」なる、長円エンドレスに8の字のたすきをかけたような引き回しプランを具体例にして、リバース地獄の弊害について説明もあったような気がします。
話は飛びますが、現在の組線路主体のレイアウトデザインも、実はこの体から脱してはいないように感じています。以前のご指摘にもありました、PECOのレイアウト集にあるような自然な曲線、これが走行する列車を引き立てるキモだと思うのですが。
光山市交通局
2014年06月01日 22:22
> 昭和の少年さん

 コメントありがとうございます。

 仰るように組線路特有の幾何学的なトラックプランは微妙なカーブの曲がりを演出しにくいせいか、勢い線路の密度に頼りがちな線路オバケになりやすい要素があると思います。

 固定式は本来ならフレキシブルレールを使った曲線を使いこなすのが本来なのでしょうが良質な製品が(特に地方では)容易に手に入りにくい状況も問題かもしれません。

 最近は組線路もかなり形の種類が出てきているので上手く緩和曲線を演出できる条件は整いかけてはいると思いますが今後ユーザーがどれだけそれを認識して使いこなせるかががカギになるのではないでしょうか。

 この件について昔の16番の組み立て式レイアウトを例に近々考察してみたいと思っていますのでその折はご笑覧下さい。

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