ジャンクの玉手箱から・ひょっとするとNゲージ最古の流線形DLか?

 6月に入ってもジャンク箱ネタが続いています。
 それだけ先月のあれのインパクトが強烈だったと言う証左でもあるのですが。
 先日お話ししたアメリカ形客車の話の続き、それを牽引する機関車の話です。
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 例のジャンク箱にはメーカーなどの表記のないなぞの外国形モデルがいくつか入っていましたが、その中にアメリカ型の流線型ディーゼル機関車があります。
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 台車回りのモールドなどはないに等しい状態ですし、車体は金属製でくたびれ具合も物凄いものです。
 走行部は恐ろしいほどにギアが露出しており4軸中、中央の二軸のみの駆動形態は一見すると資料などで見た事のある「SONYマイクロトレーンのED75」のそれを連想させます。
 その一方で集電側のばねを使ったイコライザ(というかサスペンション)機構が付いているのが目を引きました。
DSCN0128.jpg
 ところで数年前のRM MODELSで「紀元前N世紀」という連載がされていた事があります。
 50年前の関水金属のNゲージ参入前後の時期の各国のNゲージの開発事情などを豊富な資料とこれまた豊富な実物のモデルを交えて考察した物ですが、今回の様な「謎の品の多いジャンク箱」のモデルのチェックにはこの上ない資料です。
 幸いと言いますか、この当時はRMをほぼ毎月買っていたので書庫やら物置やらひっくり返してどうにか発掘しました。

 その結果、連載3回目くらいの欧州のNゲージ事情(米国進出も含めて)を書いた記事の中でこの謎の機関車らしいモデルの事が記述されていたのを発見しました。
 驚いた事にNゲージの黎明期に当たり、関水金属がC50でNげーじに参入するより前の1963年頃にアーノルド・ラピードが米国進出用にリリースしたモデルの様です。
(あるいはLIMAやBACHMANN辺りの可能性もありますが何しろメーカー表記がないので推定するしかありません)
 当然、関水金属(KATO)の参入前の時期で、電動式のNゲージモデルとしても黎明期の製品といえます。

 模型と考えると許しがたいレベル(笑)の台車回りの造形のラフさも、この当時の仕様だった様で同時期のドイツ型の機関車もほぼ同じ足回りだったようです。
 もしそうだとすればこのジャンク箱の中のモデルでは一番古いモデルという事になり、50年近く前のNゲージモデルという事になります。
 (実際には本国と日本の間にリリース時期のずれがあった事も十分考えられるので、購入時期は先日の初代EF70とほぼ同じだったのではないでしょうか)

 先述したSONYのマイクロトレインの仕様ともよく似ている点がある事から、当時のSONYも検討用にこれを買って構造や造形などを研究していた可能性は大でしょう。

 ところで例のEF70は結局駆動系のトラブルで自走が出来なかったのですが、こちらのロコは派手に車輪とレールの間に火花を散らすものの、どうにか自走は可能でした。 
 これは驚きです。
DSCN0131.jpg
 とはいえこれでは火花がまるで線香花火並みに大きく、危なっかしくて仕方ないのでギアに注油、車輪もクリーニングの上集電安定剤を塗りました。
 その結果、走行性はかなり改善し火花もかなり減少しました。
 私個人はこの種のケミカルは基本的には好まないのですがこれ位集電系の問題のはっきりしたモデルに使う分には絶大な威力を見せてくれます。

 以前紹介のアーノルドのレールバスも同様の処理で走行性を改善していますし。
光山鉄道管理局
 HPです。「趣味の思いで」の項追加しました。


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この記事へのコメント

eltomjohn
2014年06月04日 10:25
今日は:

ご無沙汰しています。
件の機関車ですが、↓によるとArnoldのFP9Aのようです。

http://billsrailroad.tripod.com/history.html

上から二番目の写真を見てください。
2014年06月04日 22:46
>eltomjohnさん

 お久しぶりです。

 早速HP拝見しましたがやはりアーノルドの様ですね。

 そこでも少し触れられていましたが初期のアーノルド製Nゲージは200分の1スケールでいったん出た後に現行の160分の1スケールで再度仕切り直された経緯があるとの事で初期のFP9Aではカプラー形式の異なる200分の1とも併結できる様に普通のアーノルドカプラーの上方に突起を追加していたそうです。

 今回のモデルでは片側のカプラーにそれらしい痕跡が見られます。
かきたまじる
2014年10月25日 00:30
はじめまして。
ジャンクから珍しいものを発掘されたというお話を興味深く拝見いたしました。

上に突起のあるカプラーは追加されたものではなく、のちにアーノルドカプラーと呼ばれるカプラーの最初はそのような形であったというのが真相です。

この機関車(初期生産分)のカプラーには世界で唯一の大きな特徴があります。下に突き出た突起がフック部分の真下ではなく、かなりボディ側に寄って腕から出ていることです。

長い腕のカプラーも比較的珍しく、身近なところではトミーのDD13やシナノマイクロの一部のD型電機が少ない例の一つですが、上に突起のあるアーノルドのカプラーの中で、唯一このディーゼル機関車のカプラーだけが特殊な形になっています。もともとアンカップリング用なので、腕が長いことからその位置につけざるを得なかったと思うのですが、肝心なアンカプラーが発売されていないので確認できません。最終期の生産分では上部の突起はなくなります。枝がやや短くなり通常どうりにフックの下から突起が出ていたと思いますが、このあたりの記憶は薄れています。

メーカー名は床下に貼られた銀色のシールに書いてありました。許容電圧はやや高く14Vであったと思います。このシールはその後ピンクのメタリックに変わり、通常の12Vと記されるようになりましたが、この車種ではピンクのシールを貼ったものは存在しないはずです。

もう一つ同じ形でサンタフェがあります。サンタフェの方が人気がある筈ですが、B&Oの生産数の方が2倍ぐらい多いです(といっても十分に珍品ですが)。これはサンタフェの側面のS字状の塗り分け部の黒ラインがうまく入らず、ボケボケになったことや、前面のチャームポイントの黄色い帯が、当時の考えではただの紙切れを貼らざるを得なかった(次の流線型ディーゼルまで踏襲)ことによると考えています。

最古の標準動力装置を持つアーノルドの機関車は大別して4種類ありますがいずれも大変貴重なものです。是非大切にされてください。

セキスイのEF70が走らないということですが、モーターが壊れていないかぎり、また一定以上のトルクがあるかぎり、必ず走るようになります。台車部分のみをはずして、上部のウォームホィールを手で回してまわらなければ分解されるといいかと思います。油による固着の可能性が大きいと思います。ただしベンジンの使用は禁物です。中間台車はその後のメッキなしボディのものとはウェイトなどの部分が異なっていたかもしれませんが、記憶が曖昧です。調べればわかります。


ご参考になれば幸いです。
光山市交通局
2014年10月26日 20:48
>かきたまじるさん

 貴重な情報とご指摘ありがとうございます。

 初期のKATOやSONYなどの日本製に比べても外国型のモデルは日本語の資料や情報が少ない事が多いので非常に助かりました。
 私としても大切にしていきたい(そして時々は走らせてやりたい)と思います。

 関水のEF70のレストアは現在中断中ですが折を見て再びやってみる積りでいます。

 不消化な所も多々ある当ブログですがこれからもよろしくお願いします。