大レイアウトを考える・60年代の組み立て式レイアウトに学ぶ
今回は久しぶりに大レイアウトについての考察です。
荒崎良徳氏「長編成列車のためのレイアウト」という題で組み立て式レイアウトの製作記事を上げておられましたが今読んでも示唆に富む内容でした。
荒崎氏というと摂津鉄道と並ぶ日本型レイアウトの傑作「雲竜寺鉄道(レイアウトテクニックなどに収録)」の作者としてつとに知られた存在ですが一方で地元のクラブ活動などを中心に組み立て式レイアウトを手掛けられておりその造詣も深かったようです。
そのプランニングについて書かれていた事を要約すると以下の様になります。
あっさりしたエンドレスの単調さを破るために3段の高低差を付ける。
その間に勾配を付けるにしても長い勾配をひとつ付けるよりもその半分の勾配をふたつ付けた方が楽であり変化に富んだプランが作れる。
一番低い線路を最小限3センチ持ち上げる事で地上線の寂しさを補い、且つポイントマシンなどの機器類を収めるスペースを作る
大径の曲線であっても緩和曲線を極力付ける。これがあると運転上の効果も去る事ながら、線路が雄大に見え、線路だけで生きた鉄道の感じを与えてくれる。連結面の食い違いを軽減する効果も大きい。最急曲線を大きくとる事に苦労するよりも曲線半径をある程度にとどめて緩和曲線を入れる方が効果的。
直線コースの長さは20M級8両編成の列車長を2Mとしてこの列車がスケールスピード80キロくらいで走った場合、私たちの目を(列車が走ってゆく)と楽しませてくれる長さを考えて3~4M。
この条件を考えるとレイアウト全体の 幅は5~6Mが最小限となる。
これは16番のケースですからこれをNに換算するなら長さや幅にして大体これの半分、Zなら3分の1位に計算して見ると大体イメージできると思います。
ですがここで書かれている事は私の理想と考える大レイアウトの像とかなり重なるばかりかこれまで私の考えていた事を更に深化させた内容も含んでいました。
これほどの内容が46年も前に書かれていたとは全く驚きです。
これはひとり荒崎氏ばかりではなくこの当時の著名な組み立て式レイアウトのいくつかは上記のコンセプトを具象化した様な物を見る事ができます。
そのいくつかは昔のTMSをはじめ、レイアウト全書、モデリング、テクニックなどにも紹介されていますがどれもこれも今では希講本になってしまいビギナーが目にすることが難しくなってしまいました。
現在では古めかしくなったり通用しない技法もあるとはいえ、固定式レイアウトでも見直されるべき内容も多いので再販をぜひ希望したいところです。閑話休題。
ですがこの現象はTMSのバックナンバーを紐解く限り昭和40年代後半くらいまでの様です。
お座敷運転用の組線路が普及した事もあるのでしょうが、この種の「路盤を一々ベニヤ板から切り出してその上にフレキシブル線路を固定する」組みたてレイアウトと言うのもこの前後の時期から急速にその姿を消してゆきます。
組線路の登場でお座敷運転の敷居は随分と低くなったのも事実ですし私自身結構お世話になっているのですがその反面線路配置は幾何学模様化してしまい線路配置の自由度などの点で失われた物も結構多い気がします。
それを特に感じるのが多くのレンタルレイアウトです。
あれだけのスペースがあるならもっと自由度の高いトラックプランも可能と思われるのにそれを実行している物が極めて少ない。製作の効率性やメンテの容易さから組線路を使う気持ちもわかるのですが・・・
とはいえ、上述の要素は大レイアウトをプランニングする上で非常に有益な内容でした。
これらを考慮した大レイアウトを作ってみたいところです。
・・・私の場合「プラン」ですが(大汗)
光山鉄道管理局
HPです。
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荒崎良徳氏「長編成列車のためのレイアウト」という題で組み立て式レイアウトの製作記事を上げておられましたが今読んでも示唆に富む内容でした。
荒崎氏というと摂津鉄道と並ぶ日本型レイアウトの傑作「雲竜寺鉄道(レイアウトテクニックなどに収録)」の作者としてつとに知られた存在ですが一方で地元のクラブ活動などを中心に組み立て式レイアウトを手掛けられておりその造詣も深かったようです。
そのプランニングについて書かれていた事を要約すると以下の様になります。
あっさりしたエンドレスの単調さを破るために3段の高低差を付ける。
その間に勾配を付けるにしても長い勾配をひとつ付けるよりもその半分の勾配をふたつ付けた方が楽であり変化に富んだプランが作れる。
一番低い線路を最小限3センチ持ち上げる事で地上線の寂しさを補い、且つポイントマシンなどの機器類を収めるスペースを作る
大径の曲線であっても緩和曲線を極力付ける。これがあると運転上の効果も去る事ながら、線路が雄大に見え、線路だけで生きた鉄道の感じを与えてくれる。連結面の食い違いを軽減する効果も大きい。最急曲線を大きくとる事に苦労するよりも曲線半径をある程度にとどめて緩和曲線を入れる方が効果的。
直線コースの長さは20M級8両編成の列車長を2Mとしてこの列車がスケールスピード80キロくらいで走った場合、私たちの目を(列車が走ってゆく)と楽しませてくれる長さを考えて3~4M。
この条件を考えるとレイアウト全体の 幅は5~6Mが最小限となる。
これは16番のケースですからこれをNに換算するなら長さや幅にして大体これの半分、Zなら3分の1位に計算して見ると大体イメージできると思います。
ですがここで書かれている事は私の理想と考える大レイアウトの像とかなり重なるばかりかこれまで私の考えていた事を更に深化させた内容も含んでいました。
これほどの内容が46年も前に書かれていたとは全く驚きです。
これはひとり荒崎氏ばかりではなくこの当時の著名な組み立て式レイアウトのいくつかは上記のコンセプトを具象化した様な物を見る事ができます。
そのいくつかは昔のTMSをはじめ、レイアウト全書、モデリング、テクニックなどにも紹介されていますがどれもこれも今では希講本になってしまいビギナーが目にすることが難しくなってしまいました。
現在では古めかしくなったり通用しない技法もあるとはいえ、固定式レイアウトでも見直されるべき内容も多いので再販をぜひ希望したいところです。閑話休題。
ですがこの現象はTMSのバックナンバーを紐解く限り昭和40年代後半くらいまでの様です。
お座敷運転用の組線路が普及した事もあるのでしょうが、この種の「路盤を一々ベニヤ板から切り出してその上にフレキシブル線路を固定する」組みたてレイアウトと言うのもこの前後の時期から急速にその姿を消してゆきます。
組線路の登場でお座敷運転の敷居は随分と低くなったのも事実ですし私自身結構お世話になっているのですがその反面線路配置は幾何学模様化してしまい線路配置の自由度などの点で失われた物も結構多い気がします。
それを特に感じるのが多くのレンタルレイアウトです。
あれだけのスペースがあるならもっと自由度の高いトラックプランも可能と思われるのにそれを実行している物が極めて少ない。製作の効率性やメンテの容易さから組線路を使う気持ちもわかるのですが・・・
とはいえ、上述の要素は大レイアウトをプランニングする上で非常に有益な内容でした。
これらを考慮した大レイアウトを作ってみたいところです。
・・・私の場合「プラン」ですが(大汗)
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この記事へのコメント
あくまで個人的なイメージなのですが(現在の)Nゲージとモデラーとの距離感はどちらかと言うと空中写真のそれを見ている感覚に近いような気がします。どこかしら征服感みたいな驕りというか何というか。
コメントありがとうございます。
日本のHOの場合、車両偏重の流れが長かったせいか走らせる事に関して「すべてをスクラッチに頼る」感覚がモデラーに染みついている印象があります。
それゆえに今の悪い意味で規格の縛りによる思考の硬直化が感じられる一部のN辺りよりも発想の自由さと闊達さが強いのではないでしょうか。
ある意味パイオニアゆえのアドバンテージと言えます。
惜しい事にこれらの流れが今のHOに十分受け継がれているとは言い難いのが辛いですね。
>空中写真のそれを見ている感覚~
これは多分に線路やレイアウトの高さの要因も大きく関与している感じもあります。スケールが小さくなれば勢い俯角が大きくなり見下ろす感じも強くなりますし。
この感覚がNゲージ全体のイメージと重なりやすいと思いますし同様の事はZゲージではより顕著な感じもします。
理想論から言うなら車両の下回りが見られる位の俯角が日常的に得られれば良いのですが(スケールを問わず)実行するのは難しいですし、そこまでの認識も一般のファンには行き渡っていない気もします。
(Zゲージは最低テーブルの上で走らせる様にしているのですが長編成になるほど条件的にNと大して変わらなくなります)