トミーナインスケールの基本セットのはなし・3
ナインスケールの基本セットで感じた事から、第3回です。

このセットは使い込まれた形跡がある割にはパーツの欠落も最小限で中古のセット品として中々良いコンディションの様に思います。
で、当然「説明書」も付いています。
この説明書が懐かしさ満点で(笑)
しかも内容の丁寧さは当時のKATO(関水金属)のカタログのそれよりも丁寧な位です。
いや、ひょっとしたらこの間入手したクラウンモデルのZゲージセットよりもそれらしいかもしれません(笑)
この辺りはプラレールのトミーというか「良い意味でのおもちゃ屋さん」の面目躍如たる所だと思いますし、同時にナインスケールを「年少ユーザーのプラレールからの上級移行」を狙った遠大な目論見すら感じさせます。
(TOMIXに関する限りその狙いは結構当たった様な気もしますし)
中でも一番時代の違いを感じるのが「車両の整備」の項です。

少し長いですが引用すると
「(前略)時々図の様に車輪を空回りさせながら目の細かいサンドペーパーを当てて汚れを取り去ってやります。貨車などの動力の付いていない車両にはこの必要はありません」
「一般的に言ってNスケールの場合、注油は殆ど必要ありませんが、もしあなたの動力車が突然キーキーとかすれた音を出すようになったら、一度ボデー(原文ママ)をはずして、モーター軸受とギアに注油してやる必要があります。
つま楊枝の先などで、ミシン油をほんの数滴垂らすだけで十分です。(食用油はいけません)
ついでに、モーターのコンミテーターのミゾを針先などで掃除してやれば完全です。
くれぐれも油のさしすぎに気をつけて、モーターのブラシ、車輪の踏面、集電ブラシなどに油が付かない様注意して下さい。
(これらの部分は、むしろ絶えず気を配って、ベンジンなどで油気を吹き取る位の注意が必要です。)」
初心者用セットで「最低でもボディの分解整備必須」という前提で話が進められている所が凄いです。
マニアが増えている今だってモーターの軸受にまで注油するユーザーがどれだけいる事か。
この文中の出てくるコンミテーターですがこのセットが出る数年前のTMSの誌上で(昭和40年代前半ですからもちろん16番の話ですが)「コンミテーターに注油すべきか否か」という論争が行なわれていた事を思い出させます(笑)
当時反対派の殆どは実験もしないでやみくもに否定するのに対し、試しに実験したり以前から実行していたユーザーの大半が賛成派に回っていたそうです。中には後にある専門誌の主筆を務めた読者もいたりするのが興味深い話ではあります。
まあ、これは閑話休題。
初めてこれを買ったユーザーはこれを読むだけで「プラレールとは違う覚悟のいるホビーである」事を覚悟した人も多かったのではないでしょうか。
(一方で恐れをなしてこれだけで足を洗ったユーザーも多かったのではないかという気もしますが)
それにしてもこれだけで下手な入門書よりも確かな内容の説明書になっている事に驚きを禁じ得ません。

それと今となっては懐かしいのが裏面の製品表。
この頃のナインスケールはまだ機関車と二軸貨車だけのラインナップで「ワキ1000」「タキ3000」などのボギー車が「予定品」になっていたり解説ページの下の方のイラストがこれまたまだ出ていない「K・S・KタイプCタンク」のそれだったりします。
更に予定品に載っている「月光形電車」が実際に出た583系ではなく581系でラインナップされている所も興味深いです(もっともこのふたつ、そう大きな違いはないのですが)

入門セットの中で製品予告までやっている(しかもちゃんと製品化※を実行している)とはトミー恐るべし(爆)
※・・・同じ頃の関水金属のカタログで予告されていた「D52」はいつ出るのでしょうか。そろそろ40年近く経ちますしいいかげん待ちくたびれてます。
光山鉄道管理局
HPです。

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このセットは使い込まれた形跡がある割にはパーツの欠落も最小限で中古のセット品として中々良いコンディションの様に思います。
で、当然「説明書」も付いています。
この説明書が懐かしさ満点で(笑)
しかも内容の丁寧さは当時のKATO(関水金属)のカタログのそれよりも丁寧な位です。
いや、ひょっとしたらこの間入手したクラウンモデルのZゲージセットよりもそれらしいかもしれません(笑)
この辺りはプラレールのトミーというか「良い意味でのおもちゃ屋さん」の面目躍如たる所だと思いますし、同時にナインスケールを「年少ユーザーのプラレールからの上級移行」を狙った遠大な目論見すら感じさせます。
(TOMIXに関する限りその狙いは結構当たった様な気もしますし)
中でも一番時代の違いを感じるのが「車両の整備」の項です。

少し長いですが引用すると
「(前略)時々図の様に車輪を空回りさせながら目の細かいサンドペーパーを当てて汚れを取り去ってやります。貨車などの動力の付いていない車両にはこの必要はありません」
「一般的に言ってNスケールの場合、注油は殆ど必要ありませんが、もしあなたの動力車が突然キーキーとかすれた音を出すようになったら、一度ボデー(原文ママ)をはずして、モーター軸受とギアに注油してやる必要があります。
つま楊枝の先などで、ミシン油をほんの数滴垂らすだけで十分です。(食用油はいけません)
ついでに、モーターのコンミテーターのミゾを針先などで掃除してやれば完全です。
くれぐれも油のさしすぎに気をつけて、モーターのブラシ、車輪の踏面、集電ブラシなどに油が付かない様注意して下さい。
(これらの部分は、むしろ絶えず気を配って、ベンジンなどで油気を吹き取る位の注意が必要です。)」
初心者用セットで「最低でもボディの分解整備必須」という前提で話が進められている所が凄いです。
マニアが増えている今だってモーターの軸受にまで注油するユーザーがどれだけいる事か。
この文中の出てくるコンミテーターですがこのセットが出る数年前のTMSの誌上で(昭和40年代前半ですからもちろん16番の話ですが)「コンミテーターに注油すべきか否か」という論争が行なわれていた事を思い出させます(笑)
当時反対派の殆どは実験もしないでやみくもに否定するのに対し、試しに実験したり以前から実行していたユーザーの大半が賛成派に回っていたそうです。中には後にある専門誌の主筆を務めた読者もいたりするのが興味深い話ではあります。
まあ、これは閑話休題。
初めてこれを買ったユーザーはこれを読むだけで「プラレールとは違う覚悟のいるホビーである」事を覚悟した人も多かったのではないでしょうか。
(一方で恐れをなしてこれだけで足を洗ったユーザーも多かったのではないかという気もしますが)
それにしてもこれだけで下手な入門書よりも確かな内容の説明書になっている事に驚きを禁じ得ません。

それと今となっては懐かしいのが裏面の製品表。
この頃のナインスケールはまだ機関車と二軸貨車だけのラインナップで「ワキ1000」「タキ3000」などのボギー車が「予定品」になっていたり解説ページの下の方のイラストがこれまたまだ出ていない「K・S・KタイプCタンク」のそれだったりします。
更に予定品に載っている「月光形電車」が実際に出た583系ではなく581系でラインナップされている所も興味深いです(もっともこのふたつ、そう大きな違いはないのですが)

入門セットの中で製品予告までやっている(しかもちゃんと製品化※を実行している)とはトミー恐るべし(爆)
※・・・同じ頃の関水金属のカタログで予告されていた「D52」はいつ出るのでしょうか。そろそろ40年近く経ちますしいいかげん待ちくたびれてます。
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この記事へのコメント
TOMYはプラレールから更に鉄道模型に誘導したいのは事実でしょうね。今はアドバンスなるものもありますし、よりそういう思惑は見えますね。でもこの時代からそうだったというのは凄いです。
メンテの説明内容、確かにすごい丁寧ですね。これを読むと「これは大変だぁ~」なんて思うでしょうが、少し大人になった気もするんではないでしょうか? ”自分で調子がおかしくなったら整備する”自分もそれを覚悟してから、分解ぐせがついたかも知れません(笑)
本当にKATOのD52はいつ発売されるのでしょうか?
後40年待つのはとても無理なので、せめて10年以内でお願いしたいところです(苦笑)。
このセットが出た当時はプラレールもTVCFを打ったりして人気が定着した時期ですから、プラレールユーザーの上級移行というのは狙いとしては悪くなかったと思います。
そういえば今思い出したのですが、当時の学習雑誌の「小学6年生」でもナインスケールの広告を見た事があります。そんな所にもTOMYの意志は感じられますね。
とはいえ現実にはプラレールからの上級移行というよりもブルトレブームをきっかけとした小学校高学年以上と16番からの移行組の方が多かったのではないかと思います。
メンテの内容説明も子供の背伸び志向を意識した所もあるかもしれないですね。今と違って「難しいからカッコいい」と言う風潮は当時は強かったですし。
コメントありがとうございます。
KATOもせっかくスケール修正したC62やD51が既に出ているのですからその流れから言ってもD52は是非期待したいですね。
マイクロや中村のモデルは造形や走行性の点で問題があるだけにすぐにも出して欲しい機種ではあります。
たまにヤフオクで見かけるナインスケール時代のセット、流石に欲しいとは思わないものの幾らになるのかと見てはいます。そういえばメンテ手法の解説がナインスケールカタログにも流用されてました。レイアウトは違いますが図説や文章は同一と思われます。
>
ナインスケールの基本セットは仰る様になかなか出物を見ないですね。TOMIXでもパワーパックのついていない初期のセットは殆ど見なくなりました。
実は数年前に某県のショップで香港製ED71と列車の入ったTOMIXの基本セットが「時価」というとんでもない表示で並んでいたのを目撃した事があります(驚)
その時に店員さんに値段を聞けばよかったのですが、あの札のインパクトに引いてしまって(汗)
いったいいくらで売るつもりだったのやら。
昭和のブリキ玩具のようなものでしょうか。