カーブの質感向上へのアプローチを考える2・「第3次実験線」をつくる
先日紹介したPECOのフレキシブルレールの使い道のはなしから。
4年ほど前になりますか、レイアウトづくりへのアプローチを検討した折にフレキシブルレールを用いた900R以上の大径カーブを実験した事があります。
その時点では「可能な限り実物に準拠したカーブ径ではNゲージのモデルはどう見えるか」というのがテーマでした。
実際実験した限りではNのモデルでもかなりリアリティのある走り、曲りが再現できる事は確かめられました。
ですがこれを実際のレイアウトへ応用するとなるとスペースの問題始め越えなければならないハードルがいくつもあり即応用とはなかなかいかないのが正直なところです。
その時の実験でも結局はお座敷運転で上下線が離解する様なS字カーブを直線区間に取り入れたのにとどまりましたし、その時の実験線もスキー板並みに長いサイズが災いして今年の初めに解体されてしまいました。
ですが、昨年の当ブログでも紹介した60年代の16番組み立て式レイアウトのはなしの中にこういう一節がある事に気づきました。
その時の記事を再度引用すると
~大径の曲線であっても緩和曲線を極力付ける。
これがあると運転上の効果も去る事ながら、線路が雄大に見え、線路だけで生きた鉄道の感じを与えてくれる。
連結面の食い違いを軽減する効果も大きい。
最急曲線を大きくとる事に苦労するよりも曲線半径をある程度にとどめて緩和曲線を入れる方が効果的~
とあります。
なるほど最近ではファイントラックのエンドレスセットでもアプローチ部分にカーブ頂点よりも一回り大きな径の曲線を組み込むことが多くなっています。
現に私が帰省時の年越し運転で使っているカント付エンドレスも280Rのアプローチに317Rを使う事で意外なほど楽しめる走りを魅せてくれています。
ですがそれでも直線から曲線に掛かる部分が「いきなりカーブに入る」点は基本的には変わっていません。
そこで最急曲線を市販の組線路とほぼ同じレベルに設定し(これは通過可能な車種を限定させない意味でも重要)そこまでのアプローチにできれば無段階に径を変えた緩曲線を組み込むとどうなるか。
前述した「最初から最後まで同じ径の大径カーブ」が非現実的なのは前にも触れましたし、レイアウトが実物の縮小だけでない一種のエンターテイメントと解釈できるなら「見せる所は見せ、楽屋裏を悟らせない」意味でもカーブのディフォルメの技法を試してみたいと思えます。
実用面でも「最小のスペースで走行場面に見せ場のあるレイアウトができる」メリットも期待できます。
かねて欲しかったPECOのフレキシブルレールがようやく入手できた事で実験の意欲が高まりました。
ここからがようやく本題となります(汗)
フレキシブルレールはたびたび触れているように線形を自由に設定できるという大きなメリットがある一方で路盤の影響を受けやすい弱点もあります。
私の想像ですがこれはカーブが急になるほど顕著になってゆくと思われますし、特にトンネル内などのメンテナンスしにくい所で脱線が頻発するリスクもあり得なくはありません。
今回の実験線は通常のエンドレスを想定しカーブの半分をフレキシブル、残りの半分にファイントラックを併用してみる事で双方の走りの質感の違いと同時に走行の安定性も調べてみます。
ただし、今回は実験ですのでサインカーブの径を数値化しやすくするために市販の組線路の数値を当てはめてみる事にしました。
前回同様スタイロフォームの板の上にグルーガンで線路を固定します。
最初の15°は354R。ファイントラックでは複々線に使われる径ですが、これはフレキに接続するレールにファイントラックの315Rを想定していたためです。
新幹線を除く市販のNゲージモデルは殆どが300Rをクリアできるはずですのでそれなりに妥当性を持たせたつもりです。
そこから要所要所に市販線路のカーブを当ててフレキのカーブを付けてゆきました。
以下
541R(ファイントラックのポイント用標準線路)
670R(ユニトラックHOの標準径w)
718R(ユニトラック6番ポイントの標準線路)
これらのセレクトは「たまたま手持ちの線路がそれしかなかったから」といういい加減な理由によります。
ただし、これらが一定間隔でつながると物凄い事になりますので配置場所と角度の設定はその都度手探りで行いました。
718Rから先はほぼフリーハンドですが最終的には900Rを超えていると思われます。
351Rの終端部は本来なら317Rをつなぐはずだったのがこれまた手持ちの関係で最初は354R+391Rをつなぎました。
ところがいざ実験を始めてみるとフレキとファインの接続部で脱線事故が頻発。
最初は何がどうなっているのかわかりませんでしたがよく見るとファインの方が「カント付」だったためと判明。
前述した「路盤にシビア」というフレキの弱点が少し実感できる場面でした(まあどんな線路でもアプローチなしにカント付と繋がると脱線すると思いますが)
急遽「243R」というTOMIX標準仕様では最急のレールをつなぐことになりました。
カーブの径の点では当初の想定よりかなりシビアになりますがそれはそれで実験ぽくていいかなと(爆)
光山鉄道管理局
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4年ほど前になりますか、レイアウトづくりへのアプローチを検討した折にフレキシブルレールを用いた900R以上の大径カーブを実験した事があります。
その時点では「可能な限り実物に準拠したカーブ径ではNゲージのモデルはどう見えるか」というのがテーマでした。
実際実験した限りではNのモデルでもかなりリアリティのある走り、曲りが再現できる事は確かめられました。
ですがこれを実際のレイアウトへ応用するとなるとスペースの問題始め越えなければならないハードルがいくつもあり即応用とはなかなかいかないのが正直なところです。
その時の実験でも結局はお座敷運転で上下線が離解する様なS字カーブを直線区間に取り入れたのにとどまりましたし、その時の実験線もスキー板並みに長いサイズが災いして今年の初めに解体されてしまいました。
ですが、昨年の当ブログでも紹介した60年代の16番組み立て式レイアウトのはなしの中にこういう一節がある事に気づきました。
その時の記事を再度引用すると
~大径の曲線であっても緩和曲線を極力付ける。
これがあると運転上の効果も去る事ながら、線路が雄大に見え、線路だけで生きた鉄道の感じを与えてくれる。
連結面の食い違いを軽減する効果も大きい。
最急曲線を大きくとる事に苦労するよりも曲線半径をある程度にとどめて緩和曲線を入れる方が効果的~
とあります。
なるほど最近ではファイントラックのエンドレスセットでもアプローチ部分にカーブ頂点よりも一回り大きな径の曲線を組み込むことが多くなっています。
現に私が帰省時の年越し運転で使っているカント付エンドレスも280Rのアプローチに317Rを使う事で意外なほど楽しめる走りを魅せてくれています。
ですがそれでも直線から曲線に掛かる部分が「いきなりカーブに入る」点は基本的には変わっていません。
そこで最急曲線を市販の組線路とほぼ同じレベルに設定し(これは通過可能な車種を限定させない意味でも重要)そこまでのアプローチにできれば無段階に径を変えた緩曲線を組み込むとどうなるか。
前述した「最初から最後まで同じ径の大径カーブ」が非現実的なのは前にも触れましたし、レイアウトが実物の縮小だけでない一種のエンターテイメントと解釈できるなら「見せる所は見せ、楽屋裏を悟らせない」意味でもカーブのディフォルメの技法を試してみたいと思えます。
実用面でも「最小のスペースで走行場面に見せ場のあるレイアウトができる」メリットも期待できます。
かねて欲しかったPECOのフレキシブルレールがようやく入手できた事で実験の意欲が高まりました。
ここからがようやく本題となります(汗)
フレキシブルレールはたびたび触れているように線形を自由に設定できるという大きなメリットがある一方で路盤の影響を受けやすい弱点もあります。
私の想像ですがこれはカーブが急になるほど顕著になってゆくと思われますし、特にトンネル内などのメンテナンスしにくい所で脱線が頻発するリスクもあり得なくはありません。
今回の実験線は通常のエンドレスを想定しカーブの半分をフレキシブル、残りの半分にファイントラックを併用してみる事で双方の走りの質感の違いと同時に走行の安定性も調べてみます。
ただし、今回は実験ですのでサインカーブの径を数値化しやすくするために市販の組線路の数値を当てはめてみる事にしました。
前回同様スタイロフォームの板の上にグルーガンで線路を固定します。
最初の15°は354R。ファイントラックでは複々線に使われる径ですが、これはフレキに接続するレールにファイントラックの315Rを想定していたためです。
新幹線を除く市販のNゲージモデルは殆どが300Rをクリアできるはずですのでそれなりに妥当性を持たせたつもりです。
そこから要所要所に市販線路のカーブを当ててフレキのカーブを付けてゆきました。
以下
541R(ファイントラックのポイント用標準線路)
670R(ユニトラックHOの標準径w)
718R(ユニトラック6番ポイントの標準線路)
これらのセレクトは「たまたま手持ちの線路がそれしかなかったから」といういい加減な理由によります。
ただし、これらが一定間隔でつながると物凄い事になりますので配置場所と角度の設定はその都度手探りで行いました。
718Rから先はほぼフリーハンドですが最終的には900Rを超えていると思われます。
351Rの終端部は本来なら317Rをつなぐはずだったのがこれまた手持ちの関係で最初は354R+391Rをつなぎました。
ところがいざ実験を始めてみるとフレキとファインの接続部で脱線事故が頻発。
最初は何がどうなっているのかわかりませんでしたがよく見るとファインの方が「カント付」だったためと判明。
前述した「路盤にシビア」というフレキの弱点が少し実感できる場面でした(まあどんな線路でもアプローチなしにカント付と繋がると脱線すると思いますが)
急遽「243R」というTOMIX標準仕様では最急のレールをつなぐことになりました。
カーブの径の点では当初の想定よりかなりシビアになりますがそれはそれで実験ぽくていいかなと(爆)
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この記事へのコメント
興味ある実験始められましたね(^^♪ 非常に楽しみです。
これからレイアウトを作るのに出来るだけ緩和曲線を…と設計はしていますが、このテストは自分にとってピンポイントの話題です(笑)
この結果がどうなっていくのか?期待しています。
こちらの場合具体的な計画なしにやっている実験なのであまり期待されても困りますが(汗)この後やってみた範囲ではなかなか悪くない結果になっています。
視覚的効果は勿論ですが意外と走行性そのものにも寄与する所が大きかったのを確かめられたのは収穫でした。
これらについてはいずれ纏めるつもりですのでその折はよろしくお願いします。