「妖星ゴラス」に鉄道模型とレイアウトの魅力を観る(笑)

 私の鉄道模型趣味、レイアウト志向のバックグラウンドのひとつとして「黄金期の特撮映画・テレビのミニチュア描写」があります。自分が凄いと感じたミニチュアシーンやパノラミックな構図の中には「こういうのをレイアウトでやってみたい」と思える物も多々あります。

 そこで今回から「ミニチュア特撮に見るレイアウト的な魅力」を感想を交えて私なりに書いてみたいと思います。
 このシリーズは3年くらい前からサブブログでシリーズ化していたものですが、当ブログに上げるに当たって一部増補・改訂をくわえています。 
DSCN2035.jpg
 その第一回目は「妖星ゴラス」
 ストーリーは地球の約6000倍の質量をもつ怪星ゴラスが地球への衝突コースを取って突き進む中、人類が「地球の軌道を変える事によって衝突を回避しようとする」という破天荒極まりないものです。
 「アルマゲドン」の逆の発想ですが、ストーリーを聞くだけだとバカバカしいのですがその破天荒さに説得力を与えるために、噴射口となる南極に無数のジェットパイプを建設するシーンを加えています。
 このために緻密且つスケールの大きなミニチュアセットが組まれ、そこに丹念な描写を加える事で意外なほど引き込まれるものとなっています。

DSCN2036.jpg
 それだけに何よりも見どころとなるのは南極のジェットパイプの建設シーンです。

 資材を積んで南極の海を突き進む船団を俯瞰で見せ、その上空をヘリが横切って行くカット。
 溶接の火花を散らす無数のジェットパイプの骨組みをなめる様に進んでゆく空撮カット。

 それらの中心にジェットパイプ計画の本部・制御部と目される大型のドーム
 その頂部にある小さなドームが開きそこに吸い込まれる様に着陸するVTOL機(それまでの空撮はこのVTOLの視点だったことを暗示する)

 これらの一連のカットはその殆どがミニチュアのみで表現され実にパノラミックな情景を構成しています。
 静止したミニチュアでは表現できない動的なジオラマの魅力でありまさにレイアウトの魅力と重なる部分と思える所です。
 言い換えれば「フィルムに出現した大レイアウト」とでもいえましょうか。

 そもそも「特撮映画」というと「怪獣が町を破壊する」「大災害で都市が崩壊する」と言ったものを売りにする事が多いものですが、本作の特撮の魅力はそれとは全く逆の「巨大施設の建設シーン」にあるというのが凄い点です。

 しかも本作のミニチュア描写の魅力はここだけではありません。
 ゴラスの接近に備えて続々と避難するクルマの群れ(こんなシーンまでミニチュアで再現されている!)ゴラスの引力で生じる高潮に呑まれる勝鬨橋周辺や有楽町周辺の実にパノラミックな構図のミニチュアも大きな見どころのひとつです。
2011-1011-044.jpg
 ここでようやく鉄道模型らしい話ができますが、クライマックス近くで高潮に呑まれる東海道線の列車シーン。
 その先頭に立つのはED16。当時としても無闇に渋い車種選択です。
 波の大きさに違和感を与えない事を狙ったのか市販の鉄道模型では見られない様な一抱えもある大型のミニチュアが製作されているのですが本編ではほとんど判別できないのが辛い所です。
 (没カットではもっとクリアな画質で撮られた物があります)

 ラストシーンなどは利根川にセットが組まれたという「半分水没した東京&大阪の市街地のシーン」
 こちらは屋外撮影ゆえに自然光の威力が最大に発揮され「ミニチュアなのがわかっていても引き込まれる」という点でも稀代の名シーンと思います。

 本作では興業上の必要から怪獣も一応出るのですが殆ど添え物的な扱いで作り手もあまり乗り気でなかった様子が伺えます。むしろその直前の工事現場の陥没シーン(走行する雪上車を載せたまま地面が急に落ち込んで行く描写が秀逸)にかなりの気合を感じました。

 ここでは書きませんでしたが宇宙船や宇宙ステーションの描写も実に生き生きとしておりミニチュア描写の積み重ねそのものが作品全体の主役ではないかと思えるほどの完成度を持っていると思います。
 メカデザインのレトロさやミニチュアそのものに拒否反応を示す向きにはお勧めしにくい所もあるのですがレイアウトを楽しんでいる方々なら何かしら触発される所のある一篇と思います。
光山鉄道管理局
 HPです。


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この記事へのコメント

2015年04月27日 21:28
こんばんわ。
自分も特撮番組とかでそう言うミニチュアがあると参考によくしています。

個人的には昔の『きかんしゃトーマス』は本当に鉄道模型(たしか1番ゲージ)で撮影してたので迫力がありましたっけ。
原作の絵本もなかなかいいもので、スカーロイ鉄道(ソドー島にあるナローゲージ鉄道)の機関庫風景なんかこれ参考にジオラマが組めそうなぐらい丁寧でした。

日本の奴だとお座敷レイアウト向けなのが80年代中期ごろ(確かバイオマン)にあった「低予算で効率的にストラクチャーを置く方法」w
1:巨大ロボの巨大感を出すにはストラクチャーが必要
2:しかしウルトラマンのように丁寧に付近一帯に敷くだけの予算はない
3:かといって「家がぽつんとあって周囲が荒野」は不自然
4:目立つ大きさで何もない野原に立ってても違和感がないストラクチャーは?
→『送電鉄塔』

・・・なるほど。
レサレサ
2015年04月27日 21:30
すみません。
うっかり名前のところが消えているの忘れ、書きこんじゃったみたいです。
「04月27日 21:28」のは私(レサレサ)です。
光山市交通局
2015年04月27日 22:24
>レサレサさん

 トーマスもレイアウトの視点で見るとかなり丁寧に撮られた作品だったと思います。欧米の人形劇などでは場面設定のしっかりしたセットが組まれる事が多く、この点で浄瑠璃などをルーツとした人形主体で背景があまり重視されない日本の人形劇とは異なるテイストを感じますね。

 バイオマンの「送電鉄塔」はまさにアイデア賞物でしたね(笑)確か鉄塔は2基用意されていて内1基が半壊状態というのが芸の細かい所でした。

 あのシーンは秩父鉄道ゆかりの寄居の採石場などで撮影されていた筈ですが昨年放映の「トッキュウジャー」の列車走行シーンの一部もあそこで撮られたものではないでしょうか。
レサレサ
2015年04月28日 21:37
こんばんわ。

>光山市交通局さん
>バイオマンの「送電鉄塔」

そういえば3年ぐらい前にもこの話をされていたようですね。(読み返して気が付いた)
そこであった「文明の産物」という記述で思い出したのですが、『ゴジラ(初代)』でも最初にゴジラ相手に仕掛けられたのがこれ(5万ボルトの高圧線)だったりするのもそれかな?

他に高さがあって目立つ建築物というと煙突がありますが、これは下に工場などがないと不自然ですしねぇ…
光山市交通局
2015年04月28日 23:17
>レサレサさん

 テレビの特撮物などでは空抜きのアオリの構図が多用されるので「煙突だけ」のセットも結構あったりします。特に昭和40年代後半の円谷作品に多いですね。

 鉄道模型にはさすがに使えないですが(笑)

 個人的にですが「お座敷平原」に有効なストラクチャーとして農業用のカントリーエレベータが使えると思います。

 ほかに高層建造物の無い田舎では結構なランドマークになりますし近くに線路が通っている頻度も比較的多いですね。ホキ2200辺りの編成との親和度が特に高いです。

 その割にはどこも製品化しませんが(笑)紙筒数本とGMの工場詰所辺りの組み合わせでも結構できそうな気もします。