当鉄道最古の日本型N・関水のEF70とコキのはなし
今回の記事は昨年春頃のそれの改訂再録ですがご勘弁を。
日本型Nゲージ50周年関連ネタです。
昨年のGW頃にバザーで手に入れたジャンクの玉手箱(と勝手に呼んでいます)の中にEF70が入っていました。

ですが最初手にとって見た時これまで入線させていたEF70とどこか違うと感じました。
その違和感の理由がよくわからなかったのですが
「カプラーがおかしい」
普通のNゲージモデルの標準であるアーノルドでもなく、もちろんKATOカプラーやTNカプラーでもない。
何と40年位前の16番で見かける様なX2Fの小型版なのです。
これが何を意味するか。
関水金属のNゲージモデルでもX2Fカプラーを装着したモデルは相当限られます。
初代のC50とオハ31系、同じく初代のコキ10000、そしてEF70位でしょう。
後から調べてみて1967年頃にリリースされた初代のEF70のひとつと見当を付けました。

こんなのはこれまで「鉄道模型考古学」の写真でしか見た事がありません。
まさかこんなのが入っているとは。その時はわけもなく盛り上がった気分でした。
尤も、外見上は中間台車が欠落しているので骨董的価値は殆ど無い代物ではあります。
一番の関心事は「これが走るのか!?」です。
早速線路に載せて通電すると一瞬ライトが点灯してすぐ消えました。
走行系は全く反応がありませんが、とりあえず通電だけはしているようです。
となるとモーター自体のトラブルかギアなどの伝達系の問題でしょう。
このEF70は後のKATOの電機とはかなり違う動力機構を搭載していると聞いているので迂闊に分解できません。
とにかく資料が欲しいのですが「鉄道模型考古学」でも動力の説明はあっても分解図が無く往生します。
そこで思いついたのが「過去のTMSの製品紹介なら動力の分解図が載っている事が多い」点です。
早速67年度の合本を探すとやはりEF70の紹介がありました。
これを基にすればどうにかいけそうです。


現在の様なダイカストブロック一体型ではなく、ABS製のシャシーの表裏をメッキして通電に当て、当時最小の16番用モータに通電・伝達する機構です。
(参考のために昨年レストアした72年頃のEF70の動力を下に掲載します。動力だけ見るとまるで別物です)
ウェイトはヘッドライト用の豆電球をはめ込んだ状態で車体の方にマウント、それも前後の2ピース式とこれまた特異な構造です。量産品としてはこれまで私の見てきたどの動力とも異なるもので昔の16番モデルのそれを縮小した様な感じすらします。又、シャシーの前後にはライトの切り替え用のセレン整流子(これも昔の16番のライト点灯ユニットでは定番の機構です)が装着されているのも目を引く所です。
とにかく分解した動力を見ているだけで結構盛り上がりました(笑)・・・その時は
関水金属のEF70ですが記述の通りカプラーは今のカプラーと全く互換性のないX2Fです。
ですが同じジャンク箱に入っていた他の車両で同じカプラーの付いたものが殆どありません。
事によると前のユーザーは単機回送で使っていたか牽引していた客車や貨車をなくしていたのかもしれないと最初は思いました。


そんな折にジャンク箱を整理していたところ中にあったコキフ10000の車掌室側の片方がX2Fを装備していたのを発見して謎が解けました。
実はこのジャンク箱にはコキ10000、コキフ10000も何両かあったのですが殆どがアーノルドカプラーを装備していたので一つだけX2Fだったのを見逃していたのです。
驚いて早速手持ちのRM MODELS掲載の「鉄道模型考古学」をひっくり返してみたところ、初期のコキ、コキフの記事を見つけ出す事ができました。
以下はそこで書かれていた記事を整理したものです。
コキ・コキフはEF70の登場と前後して1967年頃にリリースされ、以後いくつかの改良を加えながらも形態上は今売られているKATOのコキと外見上は「殆ど」変わらないまま現在まで出続けているロングレンジモデルとの事です。
ですが製造時期により様々な差異が存在しやはり旧製品には独自の特徴があるとの事でした。
それを参照しながらチェックして見ると今回のコキフ10000の最初期型モデルはX2Fカプラーを装備していたそうですがごく短い期間でアーノルドに変更されたとの事です。
そのアーノルドカプラーも最初のモデルは黒ではなく微妙に茶色っぽいパーツが使われているとの事。
チェックして見ると車掌室側がX2Fなのは前述の通りなのですが反対側のアーノルドカプラーも茶色っぽいのが視認できました。X2Fの台車はカプラーポケットと一体なのは良いとしても形状が特殊な為手持ちのアーノルドとコンバートするのは不可能なようです。
又、台車の取り付け方法がねじ止めなのも初期型の特徴で現行のASSYで代用するのは難しそうです。
初期型の特徴としてはこの他コンテナと車掌室が一体のパーツとなっている事、車掌室にガラスが無く内部に取り付け用のねじぶたが見えるという独特の構造があるそうですが、これも実物を取って視認できました。
コンテナのレタリングも今の物より単純でしかもかすれが目立ちます。
不思議な事にこの個体は車掌室側と反対側の手すりの取り付けが逆になっているのですが製造上のエラーなのか前のユーザーがカプラーをコンバート(後述)した際にミスったのかは不明です。
このコキフは車掌室側のみX2F、反対側はアーノルドという特異な構造ですがこれはメーカー品ではなく前のユーザーが手を加えた可能性が濃厚です。
X2Fを装備したコキは登場後のごく初期の時点しか存在せず、後に冷蔵コンテナ仕様が追加された頃には全てアーノルドになっていた(以後の貨車も全て同様)ためそのままではEF70に使えない問題が生じ、コキフをカプラーコンバート用の控え車に改造したのではないかと思われます。
同じジャンク箱にはコキ・コキフと共にこれまた初期バージョンのワキ10000やス二40(いずれも形式番号がファーストナンバーでこれも最初期製品の特徴のひとつです)があったのでこれらと組み合わせるにはこういう貨車の存在が不可欠だったはずです。
(時代は下りますが、私自身貨車の中に何両か片方アーノルド、反対側にKATOカプラーと言う控え車を何両か作っています)


さて、このコキ、全般に現行製品と比べると見劣りするポイント(特にレタリング)が多いのですが、
この「東」の表記だけは後の製品に見られない美点と思います。

この記事を書いてから1年半経ちますがEF70はモーターこそ回るもののギアとのかみ合わせが悪く殆ど不動のまま現在に至っています。とはいえその過程で黎明期のN動力構造の一端を探る事ができたのは結構面白い収穫ではありました。
いずれにせよ現時点ではこのEF70とコキ10000が当鉄道に在籍する最古の日本型Nゲージという事になりそうです。これより古いというと希少モデルの関水の初代C50とかSONYのED75位しかないのではないでしょうか。
どちらもお値段がわたし的に天文学的レベルなので間違ってもそんなのが入線するなど考えられないですが(笑)
光山鉄道管理局
HPです。

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ですが最初手にとって見た時これまで入線させていたEF70とどこか違うと感じました。
その違和感の理由がよくわからなかったのですが
「カプラーがおかしい」
普通のNゲージモデルの標準であるアーノルドでもなく、もちろんKATOカプラーやTNカプラーでもない。
何と40年位前の16番で見かける様なX2Fの小型版なのです。
これが何を意味するか。
関水金属のNゲージモデルでもX2Fカプラーを装着したモデルは相当限られます。
初代のC50とオハ31系、同じく初代のコキ10000、そしてEF70位でしょう。
後から調べてみて1967年頃にリリースされた初代のEF70のひとつと見当を付けました。

こんなのはこれまで「鉄道模型考古学」の写真でしか見た事がありません。
まさかこんなのが入っているとは。その時はわけもなく盛り上がった気分でした。
尤も、外見上は中間台車が欠落しているので骨董的価値は殆ど無い代物ではあります。
一番の関心事は「これが走るのか!?」です。
早速線路に載せて通電すると一瞬ライトが点灯してすぐ消えました。
走行系は全く反応がありませんが、とりあえず通電だけはしているようです。
となるとモーター自体のトラブルかギアなどの伝達系の問題でしょう。
このEF70は後のKATOの電機とはかなり違う動力機構を搭載していると聞いているので迂闊に分解できません。
とにかく資料が欲しいのですが「鉄道模型考古学」でも動力の説明はあっても分解図が無く往生します。
そこで思いついたのが「過去のTMSの製品紹介なら動力の分解図が載っている事が多い」点です。
早速67年度の合本を探すとやはりEF70の紹介がありました。
これを基にすればどうにかいけそうです。


現在の様なダイカストブロック一体型ではなく、ABS製のシャシーの表裏をメッキして通電に当て、当時最小の16番用モータに通電・伝達する機構です。
(参考のために昨年レストアした72年頃のEF70の動力を下に掲載します。動力だけ見るとまるで別物です)
ウェイトはヘッドライト用の豆電球をはめ込んだ状態で車体の方にマウント、それも前後の2ピース式とこれまた特異な構造です。量産品としてはこれまで私の見てきたどの動力とも異なるもので昔の16番モデルのそれを縮小した様な感じすらします。又、シャシーの前後にはライトの切り替え用のセレン整流子(これも昔の16番のライト点灯ユニットでは定番の機構です)が装着されているのも目を引く所です。
とにかく分解した動力を見ているだけで結構盛り上がりました(笑)・・・その時は
関水金属のEF70ですが記述の通りカプラーは今のカプラーと全く互換性のないX2Fです。
ですが同じジャンク箱に入っていた他の車両で同じカプラーの付いたものが殆どありません。
事によると前のユーザーは単機回送で使っていたか牽引していた客車や貨車をなくしていたのかもしれないと最初は思いました。


そんな折にジャンク箱を整理していたところ中にあったコキフ10000の車掌室側の片方がX2Fを装備していたのを発見して謎が解けました。
実はこのジャンク箱にはコキ10000、コキフ10000も何両かあったのですが殆どがアーノルドカプラーを装備していたので一つだけX2Fだったのを見逃していたのです。
驚いて早速手持ちのRM MODELS掲載の「鉄道模型考古学」をひっくり返してみたところ、初期のコキ、コキフの記事を見つけ出す事ができました。
以下はそこで書かれていた記事を整理したものです。
コキ・コキフはEF70の登場と前後して1967年頃にリリースされ、以後いくつかの改良を加えながらも形態上は今売られているKATOのコキと外見上は「殆ど」変わらないまま現在まで出続けているロングレンジモデルとの事です。
ですが製造時期により様々な差異が存在しやはり旧製品には独自の特徴があるとの事でした。
それを参照しながらチェックして見ると今回のコキフ10000の最初期型モデルはX2Fカプラーを装備していたそうですがごく短い期間でアーノルドに変更されたとの事です。
そのアーノルドカプラーも最初のモデルは黒ではなく微妙に茶色っぽいパーツが使われているとの事。
チェックして見ると車掌室側がX2Fなのは前述の通りなのですが反対側のアーノルドカプラーも茶色っぽいのが視認できました。X2Fの台車はカプラーポケットと一体なのは良いとしても形状が特殊な為手持ちのアーノルドとコンバートするのは不可能なようです。
又、台車の取り付け方法がねじ止めなのも初期型の特徴で現行のASSYで代用するのは難しそうです。
初期型の特徴としてはこの他コンテナと車掌室が一体のパーツとなっている事、車掌室にガラスが無く内部に取り付け用のねじぶたが見えるという独特の構造があるそうですが、これも実物を取って視認できました。
コンテナのレタリングも今の物より単純でしかもかすれが目立ちます。
不思議な事にこの個体は車掌室側と反対側の手すりの取り付けが逆になっているのですが製造上のエラーなのか前のユーザーがカプラーをコンバート(後述)した際にミスったのかは不明です。
このコキフは車掌室側のみX2F、反対側はアーノルドという特異な構造ですがこれはメーカー品ではなく前のユーザーが手を加えた可能性が濃厚です。
X2Fを装備したコキは登場後のごく初期の時点しか存在せず、後に冷蔵コンテナ仕様が追加された頃には全てアーノルドになっていた(以後の貨車も全て同様)ためそのままではEF70に使えない問題が生じ、コキフをカプラーコンバート用の控え車に改造したのではないかと思われます。
同じジャンク箱にはコキ・コキフと共にこれまた初期バージョンのワキ10000やス二40(いずれも形式番号がファーストナンバーでこれも最初期製品の特徴のひとつです)があったのでこれらと組み合わせるにはこういう貨車の存在が不可欠だったはずです。
(時代は下りますが、私自身貨車の中に何両か片方アーノルド、反対側にKATOカプラーと言う控え車を何両か作っています)


さて、このコキ、全般に現行製品と比べると見劣りするポイント(特にレタリング)が多いのですが、
この「東」の表記だけは後の製品に見られない美点と思います。

この記事を書いてから1年半経ちますがEF70はモーターこそ回るもののギアとのかみ合わせが悪く殆ど不動のまま現在に至っています。とはいえその過程で黎明期のN動力構造の一端を探る事ができたのは結構面白い収穫ではありました。
いずれにせよ現時点ではこのEF70とコキ10000が当鉄道に在籍する最古の日本型Nゲージという事になりそうです。これより古いというと希少モデルの関水の初代C50とかSONYのED75位しかないのではないでしょうか。
どちらもお値段がわたし的に天文学的レベルなので間違ってもそんなのが入線するなど考えられないですが(笑)
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