日本型Nゲージの50年と思い出から・チキ1500編
昭和39年版の「模型と工作・鉄道模型ガイドブック」から50年前の16番モデル工作とそれ以降のNモデルの思い出を語るある意味支離滅裂な企画(汗)
64年版工作ハンドブックには他の年次に比べて貨車の工作記事が多い事は前にも触れました。
運転派にとっては機関車も大事ですがやはり「お座敷運転でも編成ものの貨物列車を楽しみたい」というニーズは強かったであろう事は容易に想像できます。
ですが一方で「工作にあまり手間を掛けたくない」というのもあったのではないかと思います。
あの頃から昭和50年頃にかけての16番モデルでは完成品でも機関車にはそれなりに手間が掛かっている一方で貨車の方はかなり簡略化した作りの物が多かった気がします。
(当時物のエンドウのワム80000を持っているのですが後のKATO製に比べても大雑把さは一目瞭然)作り手にとっては貨車はあくまでも添え物に近い(それでいて必要性は非常に高い)存在でした。
ですからこれまで紹介してきたものを含めて貨車の工作記事は「切妻の箱を作って台車を履かせるだけ」に近いレベルが大半です。
確か別のハンドブックでは「マーブルチョコの空き容器でタンク貨車を作る」物もあったと記憶していますが。
その意味では今回紹介の物などはその極北と言っても良いかもしれません。
チキ1500長物車。
これなどは「床板にTR24台車を履かせるだけ」で十分成立するものです。
(因みに台車をアーチバー型にするとチキ4000になるそうですがいずれにしてもお手軽な部類である事は間違いありません)
台車さえ確保できれば一晩で2,3両位はすぐ量産できそうな気もしますが、それでも床板に筋やストッパーをきちんと入れたり銘板をきちんとつけると意外と貨車らしく見せる事もできるモデルと言えます。
記事では「積み荷に工夫を凝らせば十分楽しめる」といった意味の事が書いてあります。実際こういう貨車は「なにを積もうかと考えるのが一番楽しそうな気もします。
そのチキですが16番ではエンドウが早い段階から製品化していました(確か荷物は「山から切り出した様な感じの丸太数本がステーに固定されている」と言う物で雰囲気的になかなかワクワクさせるものでした)
がNゲージでこの種の長物車が製品化されたのは意外に遅くTOMIXが「操重車のおまけ」と言う扱いで出したのが最初だったと記憶しています。
そんな具合でしたから床板の上に乗っているのは「クレーンの部材受け」
ですがこれだけでも操重車のペアとしてはなかなかにプロフェッショナルなイメージを掻き立ててくれています。
最近ではレールを積んだチキ7000なんかも製品化されていますが上述の工作よりもかなり手の込んだ造形です。
一方で2軸貨車の方では「チ1」が早い段階で製品化されています。
但しこちらも「丸太を3本積んだ状態」で特に初期モデルを空荷にすると結構不安定な走りになりました。
「長物車」と言う存在は鉄道を扱った図鑑では必ずと言っていいほど登場する貨車です。
が、その割には実際模型を手に取ると「じゃあ、何を積めばいいのか?」と一瞬迷う貨車でもあります。
大概の場合まず思いつくのはレールとかパイプの類でしょうか。
最近では時流に乗って(笑)「カバーをかけた軍用車両」なんて作例も結構目にします。
また、模型工作の観点からすれば「床板が一枚あれば成立しそうに見える」意味ではかなりお手軽なイメージを持たれそうな機種でもあります。
この貨車の魅力は本体よりも「積み荷のバラエティ」にあると言うのが記事を書く側の感覚ではなかったでしょうか。
実際は「ただの床板一枚」であるがゆえに「これをどうやって貨車らしく見せるか」に腕の見せどころがある点で意外と難しそうな機種と言う気がします。
形式の銘板を付けて見るとかステーの取り付け部を表現してみる、床板にも荷物固定用の器具を表現してみるとかして「空荷でも貨車らしく見せる」のは結構面白そうな気もします。
事実今回の工作記事で幼かった私が一番インパクトを受けた部分は「自動車とボートが積んである完成写真」でした。
他の貨車と違い「何を積んでやろうか」と思わせる点で本書の中で「一番夢を感じさせる貨車」がこのチキだったと思います。
ですが、これを運行する場合Nなどは16番よりも軽いのでノーマルの空荷、若しくは軽い荷物などを積み込ませた状態で編成に紛れ込ませると非常に脱線しやすい厄介者です。
先日の運転会でこのチキを含めた貨物列車の編成を組んでみたのですが
「とにかく脱線が多い」のには辟易しました。TOMIXのボギー車なのに(汗)
何しろ床板一枚しか無い車体なだけに本体そのものを重くしない限り軽過ぎて路盤のちょっとした変動でも敏感に拾ってしまうのです。
その時はやむなく手持ちのウェイトを動員して重さを稼ぎ、どうにか凌ぎました。
「たかが長物車と侮るなかれ」
今回チキを走らせて得た教訓はこれだったりします(笑)
光山鉄道管理局
HPです。
にほんブログ村
にほんブログ村 鉄道ブログ
にほんブログ村
にほんブログ村
鉄道模型 ブログランキングへ
現在参加中です。気に入ったり参考になったらクリックをお願いします。
この記事へのコメント
KATOのトキ15000も軽い(実質側面の板分しかチキと変わらない)せいか脱線しやすい用にいわれることも多いですからね。
ところで積み荷についてですが、興味深い情報。
時代が下るとトキ10⇔チキ3000など「側面の板を外せば長物車・つければ無蓋車」というような類似形式もあったのですが、両者は元々全然違う貨車が起源で、無蓋車は鉱山のトロッコ・長物車は森林鉄道の運材台車が起源だそうです。
このため明治時代の無蓋車で「側板が固定で中央に小さい開き戸がある」と積み下ろしに邪魔そうな構造のがあったりするのですが、こういうのは実質石炭とか砂利の専用(木材などは載せない)貨車だったそうで。
そう言えばトキもそうでしたね(笑)
用途によって分化や特化を経て変わり続けているのが貨車の場合特に著しいですが、長物車と無蓋車で起源が異なるというのは興味深いはなしですね。
ご教示有難うございます。