鉄道ミステリとNゲージを語る1「下りはつかり」とキハ81

 昭和50年頃から昭和の終わり頃にかけて(これは私が鉄道模型を中断する時期とほぼ重なります)私が愛読していた本に鮎川哲也監修による一連の鉄道ミステリのアンソロジー(ジャンルを絞った短編集)がある事はこれまでにも折に触れてこのブログでも書いてきました。
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 昭和の初めから少ないながらも連綿と描き続けられた鉄道ミステリは本格ものあり、変格物あり、SF、怪談、ファンタジーまであると云うそのバラエティの広さで今でも強い印象を残します。

 これらの作品の中には実際の車両や編成が舞台となったりトリックの主眼に使われた物も数多いのですが、今回から新シリーズとしてそうした作品に登場する車両や編成の中からNゲージの車両で製品化された物を絡めていくつか書いてみたいと思います。

 その第一回は鮎川哲也の「下りはつかり」
 同名のタイトルで編まれた鉄道ミステリのアンソロジーが嚆矢となり、以後も途中出版社を替えたりしながら鮎川哲也の監修になるものだけでも10冊以上を数えるヒットシリーズになりました。

 本作は東京で起こった殺人事件のアリバイトリックにはつかりが使われると言う構成。
 舞台は福島県の浅見川橋梁の周辺でそこで撮影されたスナップ写真がトリックの重要な要素となるという典型的な鉄道ミステリであります。
 今でもこれが再録された文庫本などが出ているので現在でも読むのは容易な方ですので興味を持たれた向きはご一読をお勧めします。
DSCN5259b.jpg
 この部分に当たるところを一部引用させて頂きますが

「千家のすぐ背後に、ずんぐりした灰色の橋脚が立っており、左岸の一部と、そこから伸びた鉄橋がうつっている。そして今しもディーゼル気動車がそこにさしかかったところだった。
 カメラはレンズの位置が低く、やや仰角でとられていて、のんびりした千家の顔と、鋼鉄の快速列車のにぶく光った表情とが、たくみにキャッチされていた。気動車は横腹に4本の線を入れ、運転席が一段と高い位置に付いた、一見して『はつかり』とわかるキハ81形である」(光文社カッパノベルズ「下りはつかり」275Pより)

 独特の先頭部フォルムの「はつかり」が橋梁を通過する瞬間を下からあおりで捉えた写真というのはなかなか様になる画と思えます。
DSCN5258b.jpg
 さて、本作を初読以来、この風景をモチーフにしてレイアウトに取り入れたいというのは私のかねてからの夢でしたが、ローカル線レイアウトの葉純線の橋梁を利用して41年目にして先日ようやく実現しました。
 とはいえ、そこは私の腕なのでどうしても出来のラフさが拭えませんが(汗)

 この短編が上梓されたのは昭和37年の「小説中央公論」だったそうで、当時の「はつかり」はキハ81系が就航した前後の時期に当たります。
 ですからキハ81もバリバリの最新鋭特急列車だった事になります。

 とはいえ、この時期のはつかりは後の新幹線0系並みに故障が多く「はつかり」でなく「がっかり」とまで言われたのは当時を知る人には懐かしい(?)思い出ではないでしょうか。


 この頃の鮎川哲也は鉄道絡みのアリバイトリックを色々と連発していて当時の江戸川乱歩が舌を巻いたほどだったと言います。
 ですので今後も鮎川哲也ネタが何回か出ると思いますがその折はよろしくお願いします。
DSCN5258.jpg
 そのキハ81系ですが90年代の初め頃にまず宮沢模型がKATOに発注した限定モデルで登場、その後改良製品がKATOからもリリースされ、その改良品もごく最近レジェンドコレクションというHG仕様で更にバージョンアップしてモデル化されています。
 私の手持ちはKATOのレジェンド前のモデルですがキハ81系のフォルムと走りっぷりを楽しむ上では全く不満はありません。

 ところで割と最近放映された深夜アニメの鉄道ネタの最終回でこのキハ81が「ガスタービン列車に改造されて爆走する話」があって思わずひっくり返りました(笑)
 21世紀のテレビアニメでキハ81が主演する番組が出るなど想像もできませんでした。
光山鉄道管理局
 HPです。

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この記事へのコメント

鉄道模型大好きおじさん
2016年04月15日 19:09
私は関西人ですから、キハ81には馴染みがあります。
「くろしお」に運用されていましたし、廃車後は交通科学館に展示されてましたからね。

キハ81のガスタービン仕様車、アニメの「レイルウォーズ」に登場してましたね。
幻のディーゼル機関車DF51も出てきましたし…
あのアニメ、実在する車両と架空の車両が混在してましたけど、それほど違和感が無かったと思います。
もしもアニメの設定通り、国鉄が民営化されてなかったら本当にDF51が登場していたかもしれませんね(DE50も量産されていたかも?)
DF51が登場していたら、DF200は登場しなかったかもしれませんね。
登場したとしてもDF52という国鉄式の形式番号になってたりして…
レサレサ
2016年04月15日 21:32
『下りはつかり』は読んだ記憶はありませんが、タイトルだけは何かで聞いたことがあります。(これで「はつかり」という名前を知りました)

余談ですが、その鮎川哲也編の鉄道ミステリーアンソロジー本『見えない機関車』に収録されていた話で『汽笛が響く(作:南部樹未子)』というのがあり、この本に乗っている以上は鮎川さんは鉄道ミステリー判定しているんでしょうが「おもちゃの機関車(ゼンマイ式で電池で汽笛が鳴り煙突が光る、レールはなく床を走らせるので模型でもない。)」しか出てきませんw
(ちなみにこのおもちゃの機関車、動機には関係するのですがトリックとも無関係です。)
…読んでみて「これ鉄道ミステリー?」って思いましたとも。

>光山市交通局さま
>「がっかり」
もしかしてあの緑の新幹線に一番人気の「はつかり」が採用されなかった理由はこれでしょうか?(不吉…)
光山市交通局
2016年04月15日 21:54
>鉄道模型大好きおじさん

 キハ81はかなり目立つデザインなだけにデザインの個性の強い私鉄の多い西日本での運用は似合っていた様な気もしますね。何となく南海こうや号辺りに似たイメージも感じますし(笑)

>幻のディーゼル機関車DF51も出てきましたし…
 鉄道ネタのパラレルワールドSF(笑)ならではの展開と設定ですね。

 鉄道ジャンルのアニメ、もう少し作品が出るかと思ったのですが本作のほかは鉄子の旅くらいと意外に振るいませんでしたね。

 それにしてもいくら国鉄が廃止されていない世界でも鉄道公安官が蒸機の投炭訓練をやる展開が無理やりな気も(笑)
光山市交通局
2016年04月15日 22:00
>レサレサさん

 「汽笛が響く」実はここで取り上げようかと思っていた話のひとつなのですが何分「登場するのが汽車の玩具」なだけにどうしたものかと思案中だったりします。

>この本に乗っている以上は鮎川さんは鉄道ミステリー判定しているんでしょうが~

 光文社のアンソロジーに関してはごく初期のものという事もあってSFや怪談、どうかすると「列車内で別の話題が延々続く話」とか「切符しか出てこない」様な物も取り上げられています。

 後のアンソロジーでは幾分推理系に限定したような感じになりますが光文社時代のバラエティ溢れるラインナップの方に魅力を感じますね。