鉄道ミステリとNゲージを語る4「剥がされた仮面」とアルプス8号の謎(笑)

先日からスタートさせました鉄道ミステリとそれに絡んだNゲージモデルのはなしから。

今回は「急行出雲」所収の森村誠一作「剥がされた仮面」から

この作品は山梨県の韮岡市の殺人事件に絡むダイヤグラムアリバイトリックを用いた短編です。
韮岡のモデルは韮崎市と思われますが、昭和45年当時の現場の特殊性や列車の特性を生かしたトリックは当時興味深く読ませてもらった記憶があります。
実はこれとは別に人間心理の盲点を突いたトリックがメインに来るのですが、短編でふたつのアリバイトリックを組み合わせる手法は森村氏の他の作品にも見られる物で短編としては中々贅沢な構成です。

さて、本作のトリックのメインとなるのは新宿と松本を結ぶ急行「アルプス8号」です。
本編に付属する時刻表によると列車番号は「409M」

この番号や時期的に見ると本作に登場しているのは165系又はキハ58系の編成ではないかと思われます(ただ、キハ58系だと409Dになるはずですが)
中央線を疾走する165系というと映画の「砂の器」なんかを連想してしまう私はもうおっさんの域です汗
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ただ、そうなると少し気になる点が出て来ます。

実はこのアリバイトリックの成立するにはアルプス8号のドアが手動である事が重要な前提になります。
(実際、本書の作者の注釈によると「当時アルプス8号は自動ドアではなかった」と付いています)
ですが、私の知る限り165系の急行仕様が手動ドアだった記憶がないのです。キハ58系の方も私の故郷では大概自動ドアでしたし。

或いは手動ドアが主流だった旧客の客車列車のアルプスも存在するのかと思ったのですが私が調べた範囲ではこの時期に旧客のアルプスがあったかはわかりませんでした。
(この地域の電車で冬季に良く見られた半自動ドアは基本的に駅のホームで無いと作動しませんし)


この点はかねて疑問だったので先日のグランシップのイベントの折、二次会に集まった面々にご教示を願った次第です。
そこは名だたる鉄道ファンの集まりなだけあって殆ど即答に近い形で回答が得られたのは幸いでした。
DSCN5271.jpg
それによると当時アルプスに用いられていたキハ58系は半自動ドアが標準で駅以外の所で停止中でも外からドアが開く可能性はあるのだそうです(キハ58の客用ドアの下部にある丸窓は自動ドアの解除状態を表示する灯りを見るための物だとか)
まあ尤も、それ以前に「ホームでもない線路際から電車によじ登って乗り込む」事自体が相当無理のある設定ではあるのですが、手元にあるTOMIXのHG仕様のキハ58には一応台車近くまで下がっているステップがあるのでまんざら不可能でもなさそうではあります。
(ですが車掌や他の乗客に見られたり乗車時のノイズで気付かれる可能性がないのか?)

しかもこれはキハ58系での話であり165系では私が調べた範囲では半自動扉、又は手動扉の装備を記したデータは見つかりませんでした。
どなたかこの点についてご教示頂けたら有難いです。

それは置いておいて
DSCN5792.jpg
極力ネタバレを避けて書かせて頂きますが、
前述のトリックを刑事が見破る場面は活字でありながら読む者に鮮やかなビジュアルを与えている点で私自身は好きな場面です。

SNShouo71IMG_9149.jpg
本作では他に181系時代の「あずさ」と普通電車の545Mも登場しますがこの普通電車が115系なのか70系なのかも少し興味あるところです(115系ならたぶん大目玉の仕様ではないかと思いますが)

列車運行に絡むトリックだけに線路配置を工夫すればレイアウトやお座敷運転でも再現できると思うので原作を読んだ鉄道模型ファンがこれを実験して見るのも面白いと思います。

(線路配置にスイッチバックを作れればあとのダイヤグラムトリック自体には問題はないので)

それはさておきキハ58系も165系電車もNゲージの初期のころ最もリリースが待望された機種である事は間違いありません。70年代当時もっともよく見かけた急行型でありながらどちらも10年以上製品化されませんでしたから。
それほどまでに待望されていたせいか特にキハ58系は出たとたんに「各社競作状態」165系はKATOが最初にリリースして以来、ペースは遅かったものの後になって陸続と仕様違いや各社競作が出続けています。

写真の165系はKATOの割合初期のモデルですが、ごく最近の入線なので近いうちに紹介するつもりです。
光山鉄道管理局
HPです。

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