鉄道ミステリとNゲージを語る5「飛行する死人」とキ620
先日からスタートさせました鉄道ミステリとそれに絡んだNゲージモデルのはなしから。
今回は「下りはつかり」所収の青池研吉作「飛行する死人」を取り上げます。
ある意味私にとってもタイムリーなネタですし(笑)
ある雪の朝、三方を建物に囲まれた三角地帯の空き地に「二本の足を逆さまに突っ立たせた女の死体」が発見されると言うのが発端となります。
その捜査の過程で被害者と容疑者たちのどろどろした人間関係があぶり出され更に終戦直後のデカダンな世相を感じさせる描写と相俟って生臭さ全開の展開となります。
その過程で特異なトリックが暴きだされるという構成で短編の割に密度が非常に濃く読み応えがあります。
実は鉄道絡みでない殺人トリックがその後にもうひとつあったりしますが、作者が新潟の方という事もあってか豪雪地帯の風景や生活の描写が非常に優れています。
私個人としては大雪の夜、雪の帳の中を歩く刑事たちの描写や翌日の積もった雪の上に夕陽のさしかかる庭の描写などに思い入れを感じます。
まあ、この辺りは私の方も自分の故郷の冬景色と重ね合わせてしまうからでしょうか。
ここまで書いてしまうとこのブログの読者の方ならトリックなんか丸わかりと思います(笑)
なのでここからはその前提で話を進めます。
未読の方はネタバレになるので是非文庫版をお読み下さったうえで以下を読んで頂けると有難いです。
ここでの主役は除雪車。
この間動力・駆動系に手を加えてどうにかトレーラーが牽けるようになったMOREのキ620。
本作の終戦直後の時代設定ですとこれの前の型のキ600が該当するのですがこちらはマイクロのキマロキセットにあったと思います。
今回は「下りはつかり」所収の青池研吉作「飛行する死人」を取り上げます。
ある意味私にとってもタイムリーなネタですし(笑)
ある雪の朝、三方を建物に囲まれた三角地帯の空き地に「二本の足を逆さまに突っ立たせた女の死体」が発見されると言うのが発端となります。
その捜査の過程で被害者と容疑者たちのどろどろした人間関係があぶり出され更に終戦直後のデカダンな世相を感じさせる描写と相俟って生臭さ全開の展開となります。
その過程で特異なトリックが暴きだされるという構成で短編の割に密度が非常に濃く読み応えがあります。
実は鉄道絡みでない殺人トリックがその後にもうひとつあったりしますが、作者が新潟の方という事もあってか豪雪地帯の風景や生活の描写が非常に優れています。
私個人としては大雪の夜、雪の帳の中を歩く刑事たちの描写や翌日の積もった雪の上に夕陽のさしかかる庭の描写などに思い入れを感じます。
まあ、この辺りは私の方も自分の故郷の冬景色と重ね合わせてしまうからでしょうか。
ここまで書いてしまうとこのブログの読者の方ならトリックなんか丸わかりと思います(笑)
なのでここからはその前提で話を進めます。
未読の方はネタバレになるので是非文庫版をお読み下さったうえで以下を読んで頂けると有難いです。
ここでの主役は除雪車。
この間動力・駆動系に手を加えてどうにかトレーラーが牽けるようになったMOREのキ620。
本作の終戦直後の時代設定ですとこれの前の型のキ600が該当するのですがこちらはマイクロのキマロキセットにあったと思います。
ただし素人目には外見の大きな違いはないので便宜上キ620ではなしを進めます。
この形式自体、鉄道模型としては相当にマニアックなのですがNゲージ蒸気機関車様のサイトを見たところこの種のロータリー車だけで少なくとも3社4タイプが競作されていたと言うから驚きました。
しかもどれもが揃って「ブレードが回転する」機構付き。
全く凄い時代になったものです。
ですがこのトリック(?)でふと疑問に思ったのはいくら大雪でもラッセル車もマックレーもなしに蒸機駆動式ロータリーが単体でいきなり除雪に出動するだろうかという事です。
後のDD14やDD53なら本体にマックレーに近いかき寄せパネルがありますからあり得ない事でもないのですが。
少なくとも踏切近くで殺人と死体遺棄が同時にできる位の積雪量でロータリー車の出番があるとは少し考えにくい所があります。
尤も、以上の様な穴は最近読んで気付いた事ですし、それが事実としても本作の特異な読後感が損なわれる事は全くないのですが。
こちらは一昨年の大豪雪の折にマイクロのキ600を「実際の雪を背景に撮影」したものです。
が真っ白の雪に真っ黒の車体というのはコントラストが強すぎて背景が完全に白飛びを起こしているのですが(汗)
光山鉄道管理局
HPです。
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この形式自体、鉄道模型としては相当にマニアックなのですがNゲージ蒸気機関車様のサイトを見たところこの種のロータリー車だけで少なくとも3社4タイプが競作されていたと言うから驚きました。
しかもどれもが揃って「ブレードが回転する」機構付き。
全く凄い時代になったものです。
ですがこのトリック(?)でふと疑問に思ったのはいくら大雪でもラッセル車もマックレーもなしに蒸機駆動式ロータリーが単体でいきなり除雪に出動するだろうかという事です。
後のDD14やDD53なら本体にマックレーに近いかき寄せパネルがありますからあり得ない事でもないのですが。
少なくとも踏切近くで殺人と死体遺棄が同時にできる位の積雪量でロータリー車の出番があるとは少し考えにくい所があります。
尤も、以上の様な穴は最近読んで気付いた事ですし、それが事実としても本作の特異な読後感が損なわれる事は全くないのですが。
こちらは一昨年の大豪雪の折にマイクロのキ600を「実際の雪を背景に撮影」したものです。
が真っ白の雪に真っ黒の車体というのはコントラストが強すぎて背景が完全に白飛びを起こしているのですが(汗)
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この記事へのコメント
(以前光山市交通局さんが話されていた鮎川氏の『見えない機関車』に収録されてたかも…?)
「雪の日、犯人が貨物列車の貨車の屋根の上に死体を乗せる、すると急カーブの所で屋根の雪が外側に落ち、死体もそれにまぎれてしまう。さらに雪が降り続きラッセル車の出動で死体に雪がドババと熱く掛けられたので誰もそこに死体があるとは思わず冷凍保存される。」
・・・これが何に生かされるんだったかは覚えていません。
(まさか春になって雪が解けたら死体がありましたとか言うオチじゃないだろうな・・・)
ご指摘の短編はおそらく「下りはつかり」所収の横溝正史作「探偵小説」ではないかと思います。
除雪車のくだりも出て来るのですがあくまで「探偵の一人の推察」のレベルに留まります。
> 犯人が貨物列車の貨車の屋根の上に死体を乗せる~
「犯人が列車の屋根に死体を載せ、それが急カーブで振り落される場面の出て来るミステリは内外に4つも作例がありますが・・・」(光文社文庫「無人踏切」所収「焼けた線路の上の死体」から引用)と有栖川有栖がそのデビュー作で登場人物の一人に語らせるくらいにポピュラーなトリックですが、上述の「探偵小説」はその中でもかなりの傑作の部類と思います。
(あと二作は江戸川乱歩の「鬼」コナンドイルの「ブルースパーティントン設計図」)
もし「下りはつかり」か本作を収録した横溝正史の短編集でも見掛けたらぜひご一読をお勧めします。
>横溝正史作「探偵小説」
横溝正史は家に角川版単行本が何冊もあるのでそっちで見た可能性の方が大きいかもしれません。
横溝正史というと、トリックと直接関係ないのですが『鬼火』に「脱線した後すぐに火が出てほとんどの人が逃げられず~」という鉄道事故説明があったんですけど、木製車体時代でも客車でそこまで燃え広がるかなぁ?とちょっと気になったことがありました。
(最初昭和15年の西成線であったキハ07脱線が思い浮かんだのですが、調べてみたら『鬼火』は昭和10年に発表された小説。)
木造客車の火災事故は日本ではあまりなかった様ですが海外では結構多く、照明が石油ランプだった為にそこが火源になったケースや当時の客車の構造上外から施錠される構造から脱出出来ずに乗客が焼死するケース、ブレーキの過熱から車体に燃え移るケースなんかもあったようです。
日本での実例は余り聞きませんが、戦前の火災事故そのものが少ない気もしますね。