鉄道ミステリとNゲージを語る10「見えない電車」と小田急デ二1300
鉄道ミステリをNゲージモデルと絡めて語るシリーズから。
最近入線車とか書籍の紹介なんかで妙に小田急づいているこのブログですが、今回も小田急が登場します(笑)
今回はカッパノベルズ版「見えない機関車」所収の小林久三作「見えない電車」を。
まるでアンソロジーのタイトルとは語呂合わせの様なタイトルですが作品は別物です。
本作は小田急線の生田~向ヶ丘駅周辺を舞台にした殺人事件に絡むアリバイトリックが中心となる短編です。
最初は現職刑事による殺人という題材で最初は倒叙推理かの様に思わせておいて実は別の犯人が存在していたという短編にしてはなかなかゴージャスな構成が魅力でありました。
これを読んだ当時は「私の近所に私鉄という物が存在していなかった」ので私鉄沿線を舞台にした鉄道ミステリと言うだけで盛り上がった記憶が(笑)
本作に出てくる生田駅前のバー「アリス」周辺の描写などは大都市近郊の私鉄駅前の雰囲気を感じさせて個人的に好きな部分ではあります。
一例をあげると、
「『アリス』は文字通り生田駅前にあった。駅の改札口を出るとちいさな広場があり、その広場を挟んで斜め向かいにあるのが『アリス』である。四階建てのビル形式で、一階が『アリス』、二階がパチンコ屋、三階が麻雀屋になっていた。駅から零分、正確に言えば一、二分の距離だろう(中略)
『入口が二つあるのかい、この店は』沖はカウンターの中のバーテンにきいた(中略)『お客さんが今はいってきたのは裏口なんですよ。世田谷―町田線の通りに面した方が表口になっているんですがね。通りは車の往来が激しいもんで、近頃じゃ駅前の方が表口のような格好になっています』
(光文社カッパノベルズ「見えない機関車」284ページより引用)
私の現住地や出身地では駅前通りよりもその裏の通りの方が交通量が多いというシチュエーションは殆どないので、こういうのはまさに都会近郊の私鉄ならではの情緒と言う気がします。
大体にしてうちの近所には「駅前で一杯やれるような店なんかありません」これだから田舎もんは(笑)
出来る限りネタバレを避けて書こうと思いますが、出来れば以下の部分は一読されてからご覧になって下さればと思います。
(本作所収の「見えない機関車」は光文社文庫で出ている様です)
「荷物電車と言うのがありますね。日に何便か走っているのですが、荷物電車の上り最終便は生田駅を11時36分に出ます。3両編成で、運転手一人に係員一人が乗っているんですが(中略)この電車は11時20分に向ヶ丘遊園駅に着きます(中略)荷物電車が駅を発車するとき、ホームには駅員ひとりが見送りますが、すぐに事務室にもどります(後略)
(光文社カッパノベルズ「見えない機関車」291ページより引用)
本作の主役と言える小田急の荷物電車は、少なくとも鉄コレと乗工社から出ています。
この内乗工社のデユニ1000はこのブログでも取り上げていますが年代的に古い気がするのでここでは鉄コレのデニ1300をば。
本作の書かれた時期は昭和51年との事ですがこの前後の時期にデニ1300の編成が向ヶ丘近辺を走っている写真はいくつかWEBでも確認できました。
当時は新聞輸送等に荷物列車や荷物電車が駆り出される事が多かった時代ですが、私鉄の荷物電車はやや小ぶりの車体でちんまり纏まっている所に魅力を感じます。
本作に出てくる荷電の編成は3連で鉄コレでこれを再現するには少なくとも2セットは必要という事ですか。
当時の生田~向ケ丘遊園の写真を観ると中々寂しい沿線風景だった様なので本作で使われたトリックは或いは実際に可能かもしれません。
デニの前面形状もこのトリックにはおあつらえ向きの様ですし。
(但し3連で後尾に車掌がいる場合はモロばれですね)
(尤も私はスタントマンでないので実験する気にはなれないですが)
最後に
移転以来の当ブログの訪問者数が12万を超えました。
相変わらずの内容ですがこれからもよろしくお願いします。
光山鉄道管理局
HPです。
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今回はカッパノベルズ版「見えない機関車」所収の小林久三作「見えない電車」を。
まるでアンソロジーのタイトルとは語呂合わせの様なタイトルですが作品は別物です。
本作は小田急線の生田~向ヶ丘駅周辺を舞台にした殺人事件に絡むアリバイトリックが中心となる短編です。
最初は現職刑事による殺人という題材で最初は倒叙推理かの様に思わせておいて実は別の犯人が存在していたという短編にしてはなかなかゴージャスな構成が魅力でありました。
これを読んだ当時は「私の近所に私鉄という物が存在していなかった」ので私鉄沿線を舞台にした鉄道ミステリと言うだけで盛り上がった記憶が(笑)
本作に出てくる生田駅前のバー「アリス」周辺の描写などは大都市近郊の私鉄駅前の雰囲気を感じさせて個人的に好きな部分ではあります。
一例をあげると、
「『アリス』は文字通り生田駅前にあった。駅の改札口を出るとちいさな広場があり、その広場を挟んで斜め向かいにあるのが『アリス』である。四階建てのビル形式で、一階が『アリス』、二階がパチンコ屋、三階が麻雀屋になっていた。駅から零分、正確に言えば一、二分の距離だろう(中略)
『入口が二つあるのかい、この店は』沖はカウンターの中のバーテンにきいた(中略)『お客さんが今はいってきたのは裏口なんですよ。世田谷―町田線の通りに面した方が表口になっているんですがね。通りは車の往来が激しいもんで、近頃じゃ駅前の方が表口のような格好になっています』
(光文社カッパノベルズ「見えない機関車」284ページより引用)
私の現住地や出身地では駅前通りよりもその裏の通りの方が交通量が多いというシチュエーションは殆どないので、こういうのはまさに都会近郊の私鉄ならではの情緒と言う気がします。
大体にしてうちの近所には「駅前で一杯やれるような店なんかありません」これだから田舎もんは(笑)
出来る限りネタバレを避けて書こうと思いますが、出来れば以下の部分は一読されてからご覧になって下さればと思います。
(本作所収の「見えない機関車」は光文社文庫で出ている様です)
「荷物電車と言うのがありますね。日に何便か走っているのですが、荷物電車の上り最終便は生田駅を11時36分に出ます。3両編成で、運転手一人に係員一人が乗っているんですが(中略)この電車は11時20分に向ヶ丘遊園駅に着きます(中略)荷物電車が駅を発車するとき、ホームには駅員ひとりが見送りますが、すぐに事務室にもどります(後略)
(光文社カッパノベルズ「見えない機関車」291ページより引用)
本作の主役と言える小田急の荷物電車は、少なくとも鉄コレと乗工社から出ています。
この内乗工社のデユニ1000はこのブログでも取り上げていますが年代的に古い気がするのでここでは鉄コレのデニ1300をば。
本作の書かれた時期は昭和51年との事ですがこの前後の時期にデニ1300の編成が向ヶ丘近辺を走っている写真はいくつかWEBでも確認できました。
当時は新聞輸送等に荷物列車や荷物電車が駆り出される事が多かった時代ですが、私鉄の荷物電車はやや小ぶりの車体でちんまり纏まっている所に魅力を感じます。
本作に出てくる荷電の編成は3連で鉄コレでこれを再現するには少なくとも2セットは必要という事ですか。
当時の生田~向ケ丘遊園の写真を観ると中々寂しい沿線風景だった様なので本作で使われたトリックは或いは実際に可能かもしれません。
デニの前面形状もこのトリックにはおあつらえ向きの様ですし。
(但し3連で後尾に車掌がいる場合はモロばれですね)
(尤も私はスタントマンでないので実験する気にはなれないですが)
最後に
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この記事へのコメント
ちなみにうちの祖父によると『見えない飛行機』という小説が戦中あったらしいので、本気を出すと「見えない乗り物アンソロジー集」ができるかもw
ちなみに話変わるのですが、荷物電車というと私鉄で合造車に「モハニ○○」とか言った形式の横から見るとドアがいびつな配置をしている車両が時々ありますが、グリーンマックスのキット改造で「3扉車の中央扉をそれより前部の窓いくつかと一緒に切り取り、左右を入れ替えていびつな配置を作る。」というテクがあるのですが、最近これで旧国電をベースにキハニ36450のような和風ガスエレクトリックカーを作れることに気が付きました。
(中央扉の前部側を左右入れ替える、自分はクモハ12キット改造でショーティ版のようなものを作成。)
同じ幅の荷物扉と旅客扉が隣り合わせというこの形式ならではな手法ですね。
「見えない機関車」「見えない電車」「見えない飛行機」
今なら「ステルス」とか名乗りそうですね(笑)本作のタイトルの由来は「機械には目がない。見えない電車・・・」という台詞から来ていますがこの発想はまさにステルスその物だったりします。
第二次大戦中は磁気魚雷から艦船を守るために船を見えなくする(磁気的にですが)「見えない船」も実際に研究されていたと聞きます。
してみると「見えない乗り物アンソロジー」も案外実現できそうな勢いですね。
改造系の合造車はある意味ワンダーランドですね。荷物車はもとより事業車なんかにも応用の効きそうなテクニックと思います。