ミュンヘンオリンピック電車のはなし
先日の上京での掘り出し物から。
大昔の話になりますが水野良太郎の「鉄道模型入門」(廣済堂)と言う本の中に「模型車両カタログ」と言う一章がありそこでは洋の東西を問わずに様々なモデルが紹介されていました。
HOが主流と言うご時世を反映して掲載モデルのほぼすべてがHO、16番だったのですがそこに唯一掲載されていたNゲージのモデルがありました。
(とはいえ扱いは「HOとの大きさ比較」程度の意味しかなかったですが)
それが「オリンピック電車の3連」です。
ここで言う「オリンピック」とは東京でもリオデジャネイロでもなく1972年頃のミュンヘンオリンピックを指します。念のため。
本書が出た当時Nの電車と言えば実質KATOの103系しかなかった(GMの111系が二番手で出ていましたが当時は動力車がありませんでした)時期、日本車にない独特の垢抜け感のあるデザインの電車モデルの写真は非常に魅力的に映ったものです。
(今でもカラーリングのセンスや前面のデザインは卓越していると思います)
正式名称は420形、ミュンヘンオリンピックに合わせて登場した3連固定編成の交流電車。サイリスタ制御を採用した当時としては先進的な電車でもあります。
メーカーはアーノルドラピード。
もちろん当時は田舎の模型屋なんぞにこれが並ぶことなどなく本書で初見以来40年近く実物も模型も見た事がない、それでいて妙に魅力的に見える模型として私の心に引っかかっていたモデルです。
それが今年初めに例の時計屋さんに出物の中古モデルがあって思わず懐かしさに惹かれたのですがその時は持ち合わせがなく泣く泣くあきらめたモデルでした。
今回の上京でその時計屋さんに行ったのですがそこの中古ショップはとにかく在庫の回転が速いので有名なところで一度買い逃したモデルが次に来た時にも残っているなどという事がまず期待できません。
ところがそのまさかが現実になっていました。
やはりそこの中古コーナーにオリンピック電車が残っていたのです。正直奇跡と思いました。
そんな訳で今回念願かなってオリンピック電車の入線と相成った訳です。
それにしてもです。
モデルとしてもかなり目立つパッケージングとカッコよさなのになぜこれが長いこと売れ残っていたのか。
最初は私にはわかりませんでしたが、店頭で試走させた時にその理由がはっきりしました。
普通この手の編成物は「1両づつ出してみて動力やヘッドライトなどのチェックを行う」もので、これは秋葉や銀座に限らず田舎のショップでもまあ同じです。
ところがこのモデルはそれができません。
なぜなら「3連の電車が完全に固定されていて一連になっているからです」
各車輛間はがっちりした金属製のロッドで完全に繋がっており店頭では1両づつばらすことはできませんでした。
なるほど、50センチ近い長さの、台車が6つも付いている電車をリレーラーなしで線路に載せるのは大概の人は恐れをなすと思います(笑)
ですがそこはこの電車との再会で舞い上がっている私の事、さっさと載せてさっさと試走、即購入の運びとなりました。
帰宅後、正式にレイアウトに載せて走らせてみましたが40年近く前のモデルとしてはかなりスムーズな走りを見せます。
流石にスローは神経質ですが、まあ私には許容範囲でしょう。
それと何より「室内灯標準装備」それも「動力車にもインテリアと照明がついている」のは結構なアドバンテージです。
その関係で動力は薄型が採用されていますがおそらく40年前の模型としてはこれは驚異的な事だったのではないかと思います。また、完全に確認していませんが3つの車体を繋ぐ金属製のドローバー(というより固定ロッドと言った方が良さそうな位強固な構造)は通電カプラーの機能も兼ねているらしく、これも走行性に寄与している印象です。
造形は流石に現在の第一線級とはいかないのですが屋根上の碍子や配線などは今どきのモデルよりも細い位です。
尤も集電仕様と思われるパンタグラフは相対的にラフに見えますが。
この編成は言うまでもなく当時の西ドイツの電車で国鉄時代の日本の電車と並べると浮いて見えるのは間違いないですがむしろ最近のJR電車と並べると大きさ以外の違和感があまりありません。
何となくBMWのセダンのそれを思わせる逆スラントの前面デザインは日本人好みの気もします。
余談ですがミュンヘンオリンピックと言うと私がまず連想するのが男子バレーボールの日本チームの各選手を一々紹介していたスポ根ドキュメントアニメ「ミュンヘンへの道」という番組だったりします。あの頃は毎週観ていましたが、題材が題材だけにオリンピックが終わればそれっきりな訳で、そのせいか再放送を観た記憶がありません。
光山鉄道管理局
HPです。「車両紹介」の「電車」の項一部追加しました。
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HOが主流と言うご時世を反映して掲載モデルのほぼすべてがHO、16番だったのですがそこに唯一掲載されていたNゲージのモデルがありました。
(とはいえ扱いは「HOとの大きさ比較」程度の意味しかなかったですが)
それが「オリンピック電車の3連」です。
ここで言う「オリンピック」とは東京でもリオデジャネイロでもなく1972年頃のミュンヘンオリンピックを指します。念のため。
本書が出た当時Nの電車と言えば実質KATOの103系しかなかった(GMの111系が二番手で出ていましたが当時は動力車がありませんでした)時期、日本車にない独特の垢抜け感のあるデザインの電車モデルの写真は非常に魅力的に映ったものです。
(今でもカラーリングのセンスや前面のデザインは卓越していると思います)
正式名称は420形、ミュンヘンオリンピックに合わせて登場した3連固定編成の交流電車。サイリスタ制御を採用した当時としては先進的な電車でもあります。
メーカーはアーノルドラピード。
もちろん当時は田舎の模型屋なんぞにこれが並ぶことなどなく本書で初見以来40年近く実物も模型も見た事がない、それでいて妙に魅力的に見える模型として私の心に引っかかっていたモデルです。
それが今年初めに例の時計屋さんに出物の中古モデルがあって思わず懐かしさに惹かれたのですがその時は持ち合わせがなく泣く泣くあきらめたモデルでした。
今回の上京でその時計屋さんに行ったのですがそこの中古ショップはとにかく在庫の回転が速いので有名なところで一度買い逃したモデルが次に来た時にも残っているなどという事がまず期待できません。
ところがそのまさかが現実になっていました。
やはりそこの中古コーナーにオリンピック電車が残っていたのです。正直奇跡と思いました。
そんな訳で今回念願かなってオリンピック電車の入線と相成った訳です。
それにしてもです。
モデルとしてもかなり目立つパッケージングとカッコよさなのになぜこれが長いこと売れ残っていたのか。
最初は私にはわかりませんでしたが、店頭で試走させた時にその理由がはっきりしました。
普通この手の編成物は「1両づつ出してみて動力やヘッドライトなどのチェックを行う」もので、これは秋葉や銀座に限らず田舎のショップでもまあ同じです。
ところがこのモデルはそれができません。
なぜなら「3連の電車が完全に固定されていて一連になっているからです」
各車輛間はがっちりした金属製のロッドで完全に繋がっており店頭では1両づつばらすことはできませんでした。
なるほど、50センチ近い長さの、台車が6つも付いている電車をリレーラーなしで線路に載せるのは大概の人は恐れをなすと思います(笑)
ですがそこはこの電車との再会で舞い上がっている私の事、さっさと載せてさっさと試走、即購入の運びとなりました。
帰宅後、正式にレイアウトに載せて走らせてみましたが40年近く前のモデルとしてはかなりスムーズな走りを見せます。
流石にスローは神経質ですが、まあ私には許容範囲でしょう。
それと何より「室内灯標準装備」それも「動力車にもインテリアと照明がついている」のは結構なアドバンテージです。
その関係で動力は薄型が採用されていますがおそらく40年前の模型としてはこれは驚異的な事だったのではないかと思います。また、完全に確認していませんが3つの車体を繋ぐ金属製のドローバー(というより固定ロッドと言った方が良さそうな位強固な構造)は通電カプラーの機能も兼ねているらしく、これも走行性に寄与している印象です。
造形は流石に現在の第一線級とはいかないのですが屋根上の碍子や配線などは今どきのモデルよりも細い位です。
尤も集電仕様と思われるパンタグラフは相対的にラフに見えますが。
この編成は言うまでもなく当時の西ドイツの電車で国鉄時代の日本の電車と並べると浮いて見えるのは間違いないですがむしろ最近のJR電車と並べると大きさ以外の違和感があまりありません。
何となくBMWのセダンのそれを思わせる逆スラントの前面デザインは日本人好みの気もします。
余談ですがミュンヘンオリンピックと言うと私がまず連想するのが男子バレーボールの日本チームの各選手を一々紹介していたスポ根ドキュメントアニメ「ミュンヘンへの道」という番組だったりします。あの頃は毎週観ていましたが、題材が題材だけにオリンピックが終わればそれっきりな訳で、そのせいか再放送を観た記憶がありません。
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この記事へのコメント
昔からドイツの模型は技術的に進んでいたんですね。
驚きました(^O^)
私も実際に手に取ってみて驚いています。通電カプラーとか架線対応のパンタとかは今のモデルより先を行っていますね(とはいえ日本では何故か架線集電が流行らないのですが)
それに40年くらいではへたらない動力機構はNに限らず未だに鉄道模型の先進地らしい部分と思います。