「レイアウトに飽きる」事におもうこと
先日来、レールの余りの話やらレイアウトの掃除の話やら書いていますがこれらの事実は反面として「これ位レールを余らせ、こんなに埃が溜まるくらいにうちのレイアウトは現役期間が長い」という事でもあります。
現行のクレイドルレイアウトは少なくとも4年線路関係の改修なしで使われていますし、ミニSLレイアウトの棚幡線にしても開通3年目を迎え汚れややれが出ているにせよ今でもほぼ毎日稼働しています。
(尤も一回当たりの運転時間は笑えるくらいに短いですし、こう暑いとその頻度も下がりがちですが)
ですが使用頻度を勘案するとこのふたつに関する限り個人のレイアウトとしては割合に使われている方ではないかと思います。
ここでふと思ったのは以前に書いた事のある「レイアウトの寿命」の件です。
モジュールとかセクションとかであれば「飾る事」にプライオリティが置かれる事もあるでしょうし、場合によっては「作る事自体を目的とする」ことだってあり得るでしょう。
ですが自己完結したトラックプランに基づいた「レイアウト」の場合やはり「走らせる事」へのプライオリティはジオラマやセクションより大きいと思います。
では走らせるためのレイアウトの実用上の寿命、或いは飽きたり面倒になったりして解体されるまでの期間というのはどれ位なものでしょうか。
大概の場合レイアウトが解体される条件というのは
「レイアウトに飽きた場合、あるいは我慢できない不満が溜まった場合」「レイアウト自体が壊れた場合」「レイアウトの維持ができなくなった場合」の三つに分かれるのではないかと思います。
このうち、専門誌などでたまに書かれるレイアウトの末路というのは一番か三番の要因が多かった様に思います。
一番目の条件では何割かの確率でレイアウト自体が作り直されたり、新調されたりと割合に前向きなのですが三番目となると、鉄道模型の趣味自体が軌道修正されたり終焉したりする意味ではやや後ろ向きとも言えなくもありません。
それと、以前はごく例外的な条件として存在した「作者やオーナーが死去して」というケースも今後の高齢化を考えると当時よりは現実味が出て来ます。
これなどは「鉄道模型の趣味が一生ものの楽しみになるまでになった」という意味では一種の成熟とも言えましょう。
今回問題としたいのはその中でも最初のケースです。
レイアウトを最初は楽しめていても徐々に、或いは一気に「不満や飽きが来る」というのはレイアウトのオーナーであれば誰もが大なり小なり感じてくる所と思います。
ですが最近は、どこかに「そこで踏みとどまるか、一気にレイアウトを解体してしまうかの分水嶺」みたいなものがある様な気がしています。
その要因のひとつに「走行性の劣化」というのが考えられます。
レールが汚れたり路盤が狂ったりして脱線が頻発するとか配線の劣化や故障などでポイントが作動しなくなる、あるいは勾配の狂いでそれまで登れた列車が登れなくなったりするというのはレイアウトの経年劣化の中でよくあり得る事です。
その意味では複雑だったりトリッキーなプランを採用しているレイアウトほど劣化のリスクは大きい事になります。
商売として成立させているレンタルレイアウトならば専門のメンテナンスを常駐させて「仕事として」それらに対処する事もありましょうが、個人のレイアウトではそれらへの対処は製作時に比べても億劫になりがちと思います。
案外こういう点が「レイアウトへの飽き」の遠因ではないかと。
私のクレイドルレイアウトの場合、元々が運転会用のモジュールを転用したものなので線路配置は単純なエンドレスが三つだけ。
それなりにシーナリィっぽい物はありますが本線に関する限り勾配もポイントもなし。
普通の感覚としてこれだけだったら一ヶ月も走らせていたら飽きること必定のプランな筈ですし、事実このレイアウトの開通(完成に非ず)当時私の関心のひとつが「いつ飽きるかな」だったりもしたものです。
ところが2012年にこのレイアウトが供用を開始して4年半くらい経つのですが不満はあるものの解体もせずに結構よく走らせている自分が居るのに我ながら驚きます。
考えてみたらこの4年間、不満はあっても走行不能になる様なトラブルは殆どありませんでした。
編成によっては脱線したり動力や通電の不十分さで途中停止したりもしたのですが単純なエンドレス、無勾配のこのレイアウトでは最低限のレールクリーニングだけで実質メンテナンスフリーに近い形で使えてきている事が大きいと思います。
とはいえ、出来るなら3線を交互に行き来できる渡り線と立体交差位は付けたいという本音もあったりするのですが(苦笑)
ついでに言うならやはりレイアウトにはどんなに貧弱なものであっても「線路周囲に風景がつくられているべき」だとも思います。
風景があるとないとでは楽しさが根本的に違います。例えジオタウンやジオコレの住宅が沿線にただ並んでいるというレベルであってもです。
出来ればそれらは運転者の目の高さに列車の台車が来るくらいの高さにセッティングされるのが望ましいでしょう。
一方、カーブが急でポイントを5個も装備しS字カーブやターンテーブルまで付いてきている棚幡線の場合は少し事情が異なります。
こちらもご多分に漏れず通電やポイントのクリアでトラブルを生じやすいのですがレイアウトのサイズ自体が小さいのでどこにでも手が届く、邪魔なトンネルや架線柱の類もなし。
トラブルは多くても「すぐに、確実に対処可能」である事が結果として使用頻度の高さに繋がっている気がします。
そういえば棚幡線も勾配や立体交差はありませんでした。
どうもこの辺りにレイアウトの寿命を決める要素がいくつかある様な気がします。
そういえばオーディオの話ですが故長岡鉄夫氏のAVシステムの本を読んだ時に「ケーブルは太く短く、接点は可能な限り少なく、徹底的にシンプルな配線に徹する事が高音質の条件」と言った様な意味の事を書かれていました。
その条件がなされた上で「コンポーネントが正攻法で作られていれば」最高の音を引き出す事ができるともあったと思います。
各要素に置いて通電状態が大きな影響を与えるという点ではオーディオもNゲージも共通しています。
とにもかくにも「いつでも編成が最高の走りを楽しめる」事は(走らせるための)レイアウトが長続きできる大きな条件ではないでしょうか。
光山鉄道管理局
HPです。
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現行のクレイドルレイアウトは少なくとも4年線路関係の改修なしで使われていますし、ミニSLレイアウトの棚幡線にしても開通3年目を迎え汚れややれが出ているにせよ今でもほぼ毎日稼働しています。
(尤も一回当たりの運転時間は笑えるくらいに短いですし、こう暑いとその頻度も下がりがちですが)
ですが使用頻度を勘案するとこのふたつに関する限り個人のレイアウトとしては割合に使われている方ではないかと思います。
ここでふと思ったのは以前に書いた事のある「レイアウトの寿命」の件です。
モジュールとかセクションとかであれば「飾る事」にプライオリティが置かれる事もあるでしょうし、場合によっては「作る事自体を目的とする」ことだってあり得るでしょう。
ですが自己完結したトラックプランに基づいた「レイアウト」の場合やはり「走らせる事」へのプライオリティはジオラマやセクションより大きいと思います。
では走らせるためのレイアウトの実用上の寿命、或いは飽きたり面倒になったりして解体されるまでの期間というのはどれ位なものでしょうか。
大概の場合レイアウトが解体される条件というのは
「レイアウトに飽きた場合、あるいは我慢できない不満が溜まった場合」「レイアウト自体が壊れた場合」「レイアウトの維持ができなくなった場合」の三つに分かれるのではないかと思います。
このうち、専門誌などでたまに書かれるレイアウトの末路というのは一番か三番の要因が多かった様に思います。
一番目の条件では何割かの確率でレイアウト自体が作り直されたり、新調されたりと割合に前向きなのですが三番目となると、鉄道模型の趣味自体が軌道修正されたり終焉したりする意味ではやや後ろ向きとも言えなくもありません。
それと、以前はごく例外的な条件として存在した「作者やオーナーが死去して」というケースも今後の高齢化を考えると当時よりは現実味が出て来ます。
これなどは「鉄道模型の趣味が一生ものの楽しみになるまでになった」という意味では一種の成熟とも言えましょう。
今回問題としたいのはその中でも最初のケースです。
レイアウトを最初は楽しめていても徐々に、或いは一気に「不満や飽きが来る」というのはレイアウトのオーナーであれば誰もが大なり小なり感じてくる所と思います。
ですが最近は、どこかに「そこで踏みとどまるか、一気にレイアウトを解体してしまうかの分水嶺」みたいなものがある様な気がしています。
その要因のひとつに「走行性の劣化」というのが考えられます。
レールが汚れたり路盤が狂ったりして脱線が頻発するとか配線の劣化や故障などでポイントが作動しなくなる、あるいは勾配の狂いでそれまで登れた列車が登れなくなったりするというのはレイアウトの経年劣化の中でよくあり得る事です。
その意味では複雑だったりトリッキーなプランを採用しているレイアウトほど劣化のリスクは大きい事になります。
商売として成立させているレンタルレイアウトならば専門のメンテナンスを常駐させて「仕事として」それらに対処する事もありましょうが、個人のレイアウトではそれらへの対処は製作時に比べても億劫になりがちと思います。
案外こういう点が「レイアウトへの飽き」の遠因ではないかと。
私のクレイドルレイアウトの場合、元々が運転会用のモジュールを転用したものなので線路配置は単純なエンドレスが三つだけ。
それなりにシーナリィっぽい物はありますが本線に関する限り勾配もポイントもなし。
普通の感覚としてこれだけだったら一ヶ月も走らせていたら飽きること必定のプランな筈ですし、事実このレイアウトの開通(完成に非ず)当時私の関心のひとつが「いつ飽きるかな」だったりもしたものです。
ところが2012年にこのレイアウトが供用を開始して4年半くらい経つのですが不満はあるものの解体もせずに結構よく走らせている自分が居るのに我ながら驚きます。
考えてみたらこの4年間、不満はあっても走行不能になる様なトラブルは殆どありませんでした。
編成によっては脱線したり動力や通電の不十分さで途中停止したりもしたのですが単純なエンドレス、無勾配のこのレイアウトでは最低限のレールクリーニングだけで実質メンテナンスフリーに近い形で使えてきている事が大きいと思います。
とはいえ、出来るなら3線を交互に行き来できる渡り線と立体交差位は付けたいという本音もあったりするのですが(苦笑)
ついでに言うならやはりレイアウトにはどんなに貧弱なものであっても「線路周囲に風景がつくられているべき」だとも思います。
風景があるとないとでは楽しさが根本的に違います。例えジオタウンやジオコレの住宅が沿線にただ並んでいるというレベルであってもです。
出来ればそれらは運転者の目の高さに列車の台車が来るくらいの高さにセッティングされるのが望ましいでしょう。
一方、カーブが急でポイントを5個も装備しS字カーブやターンテーブルまで付いてきている棚幡線の場合は少し事情が異なります。
こちらもご多分に漏れず通電やポイントのクリアでトラブルを生じやすいのですがレイアウトのサイズ自体が小さいのでどこにでも手が届く、邪魔なトンネルや架線柱の類もなし。
トラブルは多くても「すぐに、確実に対処可能」である事が結果として使用頻度の高さに繋がっている気がします。
そういえば棚幡線も勾配や立体交差はありませんでした。
どうもこの辺りにレイアウトの寿命を決める要素がいくつかある様な気がします。
そういえばオーディオの話ですが故長岡鉄夫氏のAVシステムの本を読んだ時に「ケーブルは太く短く、接点は可能な限り少なく、徹底的にシンプルな配線に徹する事が高音質の条件」と言った様な意味の事を書かれていました。
その条件がなされた上で「コンポーネントが正攻法で作られていれば」最高の音を引き出す事ができるともあったと思います。
各要素に置いて通電状態が大きな影響を与えるという点ではオーディオもNゲージも共通しています。
とにもかくにも「いつでも編成が最高の走りを楽しめる」事は(走らせるための)レイアウトが長続きできる大きな条件ではないでしょうか。
光山鉄道管理局
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この記事へのコメント
レイアウト建設中の私にとっても、このテーマは気になるところです。
フルディテール満載の情景を作っても、肝心のポイント不良や、通電不良が起これば、走らない→つまらない→破棄へと流れるんでしょう。
こういう風にならない為には、メンテの事は当たり前として、それ以上に製作・線路敷設時の配線などに気配りする必要はあると私も思います。
勾配やポイントの多いレイアウトを作っている身としては、何とか長続きできる(長く運転できる)レイアウトを目指したいですねぇ~(^-^;
>
今回の記事はメンテナンスの観点からの物でしたが実際には実際の製作時の精度や配慮の観点も大事ですね。
昭和20年代後半に16番レイアウトをものされていた宍戸圭一博士の「鴨鹿鉄道」は少なくとも平成ひとケタの時点までは現役レイアウトだったと聞いていますが、そこに架かる鉄橋は当時の工法に合わせて自作していたものが40年経てもまだ現役で使えるだけの強度を持っていたそうです。
なんだかんだ言っても結論は最初の製作が大事という所に落ち着いてしまいますね。