「レイアウト」と「モジュール」に思うこと

今回は新春の運転会に参加していてふと思ったことから。
クラブの運転会は私が加入してからでもショッピングセンターやら駅のコンコースやらなどで50回くらい運転会をやっているのですが、運転会に持ち込んでいるモジュールは鉄博風とミニSLレイアウト(棚幡線)が使われる頻度が高いです。
昨年製作したターミナル駅のモジュールも半年間で3度出展しているので割合頻度は高い方でしょう。


最初に習作の意味合いで作ったモジュールは現在クレイドルレイアウトとして自宅で活用していますが、これはどちらかというとシーナリィ重視の姿勢で作った物で自宅で使ってもあまり違和感はありません。
一方で鉄博風とミニSLのふたつは何れもサブのエンドレスの操作系が本線の背後にある関係でそのままでは自宅での用途には使いにくいものです。
(前、後のどちらから見ても様になる代わりにギャラリーと向かい合わせに操作系が来る構造なので部屋の真ん中にないと100パーセント威力が発揮できない)


実際これまでの運転会では鉄博風もミニSLもそれなりに一般のギャラリーが集まりやすいものになっています。
モジュール自体の出来はさておいても(実際、こう書くしか無いくらいしょぼいのですが)「運転会で一般の方々に楽しんでもらう」という観点からすればまあまあ成功していると思います。
館内に照明を仕掛け、内部の展示品にサンダーバードがいて、更に館内をZゲージの車両が周遊する。
展示車両もとっかえひっかえしてギャラリーの歓心を惹きやすい様にしてあります。
当初の想定では主に子供のギャラリーを中心に考えていましたがふたを開けてみると大人の方も結構中を覗きこんでくれます。
そうした反応を見るのも楽しいですし、その際の質問などをきっかけにギャラリーとの会話を楽しむ事もでき、運転会用にこのモジュールを作った甲斐があったと感じます。
ですが特に鉄博風の場合「じゃあ、これを自宅で常用するか?」と訊かれるとそうは思いません。
これらのモジュールは運転会に特化した用途を考えてはいても自分で常用する事は余り念頭にありませんでした。
運転会といってもあちこちからのオファーに応じて出展するので私が参加できないのを含めると年間10回以上開催されているので使用頻度の面では無駄は感じないのは確かです。
が、例えば就寝前のひと時とかにちょっと列車を走らせてのんびりしたいなんて用途には少しガチャガチャしているのも確かです。
また、風景の作り込みを楽しむなら自己完結性の高いレイアウトよりもヴィネットやパイクの方が向いています。

してみると、自分が楽しむためのレイアウトと不特定多数の誰かに見せるレイアウトでは心構えもポリシーもおのずと異なって来るのかもしれません。
不覚な話ですが、これまでモジュールやレイアウトを作ってきてそこに思い至ったのは今回が初めてでした。
同じ事は例えばレンタルレイアウトの大半や博物館の展示品についても言えるでしょうし、モジュールレイアウトの大半も「誰かに見られる事」を前提に製作されていると言えます。
勿論そこで製作者のポリシーが全く反映されない事はないと思いますが製作のどこかで「ここはこういう風に見て欲しい」「こうすれば楽しんでもらえるのではないか」という意識は必ず働いている気がします。

一方で特に自宅に常設される個人のレイアウトではなにはなくとも「先ず自分が楽しい事」が最優先されます。
時代や地域に拘りを込めたり、走らせる車両に合わせて風景を創生する事すら当然の様になされるはずです。

これらの一部は専門誌やコンテストに出品されるケースも多いですが、そこでアピールされるのは作者の技量や資質と同時に「どこに拘っているか」が大きな要素を占めると思います。
それが一般に理解されるか否かは別としても、個人所有のレイアウトとはある程度そうなって行く物ではないかと思います。

ところで私のモジュールの中で「運転会にも普段使いにもどちらにも対応していてしかもそれぞれの使用頻度が高い」という例外的な存在があります。
それがミニSLレイアウトの「棚幡線」です。
鉄博風モジュールがメインになる前は何回も運転会に供され、その都度ギャラリーばかりか他のメンバーの運転場としても機能していましたし、自宅では前述した「寝酒代わりの運転」に最もよく使われるのもこのレイアウトなのです。
恐らくサイズが適当(一般的なレイアウトボードの3分の2程度)なのとトラックプランが優れていること、小さいながら自己完結性の高い性格を持っている事が影響していると思います。

とはいえ、使用頻度が高いだけにくたびれるのも早いですが。
この点については別に思う事もあったので次の機会に。
光山鉄道管理局
HPです。

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この記事へのコメント
製作時の指向が違うというお話は面白いですね。
人(第三者)に見せる工夫と思考は運転会のモジュールの方が、ウェイトは高くなるでしょう。
逆に個人(家)では使いにくいというのは、またまた面白い現象です。
個人レイアウトでは、自分の運転志向を凝縮したものと言えるでしょうし、モジュールも表に出ない物であれば同じでしょうね。
でも、「見せる」=「魅せる」と考えれば、個人のレイアウトにあっても、「魅せる」という考えを持ち込んでも良さそうです。
今回の結論は実際に運転会向けのモジュールを作っていなかったら思いつかなかった事の様な気もします。
とはいえ、個人所有のレイアウトでユーザーの嗜好が最優先されるとはいえ「誰かに見られる事を全く意識しない」という事もありえないと思います。
やはり丹精込めたレイアウトならだれかに見せたい欲求もどこかにあるはずですし「自分にとって魅力的な点を見せる人にも共有して欲しい」という思いもどこかにあるのではないかと。