「きかんしゃやえもん・D51の大冒険」
今回は久しぶりの映画ネタ。
しかもアニメです(爆)
昨年暮れにCSで掛かった東映まんが祭りのメインピクチャーだった「きかんしゃやえもん・D51の大冒険」(昭和49年・東映)
あの頃の思い出から書きますと、昭和40年代当時は任侠映画か実録やくざ映画ばかりやっているという印象だった東映の映画館が春夏冬の休みシーズンだけは突然変異の様に「お行儀のいい長編名作アニメ」をメインとしたまんが祭りをやっていたものです。
併映は決まって「仮面ライダー」「マジンガーZ」などの特撮・ロボットアニメか「ひみつのアッコちゃん」系の魔法少女ものが並び男の子も女の子も(ついでにその親たちも)一気に取り込もうというある意味「地引網的なプログラム」でもありました。
(ちなみに当時の私はばりばりの「東宝チャンピオン祭り」派でしたが)
上述の通りまんが祭りのメインプログラムは「長靴をはいた猫」とか「にんぎょ姫」とか「龍の子太郎」なんかの名作ものだったのですが、そんな中で突然変異的に公開されたのが本作でした。
まあ「きかんしゃやえもん」もある意味名作のひとつと言えなくもないですが、ここはやはり当時大ブームだった「SL」「D51」にあやかったものでしょう。
東映自体、他社に比べて鉄道映画に強いところでしたし。
さて、本作はきかんしゃやえもんのストーリーそのものには忠実ですが脚色度が非常に高く、これを観てから原作を読むと絶句すること請け合いです。
やえもんに住み着いている「ねずみの一家が石炭をくべたり」「主人公の子どもがやえもんやネズミと普通に会話をしたり」「EF58や0系新幹線はもとより踏切のトラックまでもが人語をしゃべる世界」
そうしたキャラクターの描写や描き分けもなにかステレオ的で物足りない印象が残ります。
何しろクライマックスが「駅を襲ってDD51をジャックしたギャングを追ってやえもんことD51(因みに声は熊倉一雄)が山岳線を激走する」なんてなものですから原作の持つ独特の長閑さは無きが如し。
もともと「やえもん」のモデルは鉄道博物館に展示されている150だったと聞いていますが、それがいつの間にかD51に差し替えられ、デザインも意外にD51に忠実な(あ、でも顔や手はないか)ものになっていますから雰囲気が変わってしまうのも無理はありません。
とまあ、アニメパートを見る限りは鉄道ファンが見ても手汗をかきながら顔から火が出そうなほどの代物だったりします。
しかし本作は実は「実写とアニメのコラボ作品」である点が最大の特徴です。
しかもその実写パートが意外に豊富。
アニメパートの合間に挿入されるD51の実写の走行風景はまさに「鉄道映画の東映」の面目躍如です。
シネスコの横長画面と列車の走行風景は実に相性がよく、長編成を牽引するD51の実景場面には殆どハズレがありません。
あらゆるシチュエーション、あらゆる季節の中を貨物や客車を牽きながら悠々と走行するD51の画には全く酔っぱらえます。
ある意味「列車走行風景の撮り方のお手本」みたいな構図が続出しており鉄道ファンにとってはここが見どころでしょう。
これを参考にしてレイアウトの走行風景を撮ったりしても案外良いかもしれません。
映画の性格上主役はD51ですが、よく見ると一般型とナメクジがちゃんぽんしているのはご愛嬌。
クライマックス近くで解体場に引かれてゆくやえもんのシーンでは「DD51に牽かれるD51の廃車回送」がちゃんと用意されています。
まさか1号機関車でこれだけバンバン実写パートは作れないでしょうから、この為に主人公がD51に設定されていたのではないかと思います。
そこに注目すれば意外と鉄道ファンにお勧めできる作品かもしれません。
因みに同時上映は「仮面ライダーX」 「飛び出す立体映画・イナズマン」「キューティハニー」「マジンガーZ対Drヘル」「ミラクル少女リミットちゃん」だったりしますが(爆)
光山鉄道管理局
HPです。
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しかもアニメです(爆)
昨年暮れにCSで掛かった東映まんが祭りのメインピクチャーだった「きかんしゃやえもん・D51の大冒険」(昭和49年・東映)
あの頃の思い出から書きますと、昭和40年代当時は任侠映画か実録やくざ映画ばかりやっているという印象だった東映の映画館が春夏冬の休みシーズンだけは突然変異の様に「お行儀のいい長編名作アニメ」をメインとしたまんが祭りをやっていたものです。
併映は決まって「仮面ライダー」「マジンガーZ」などの特撮・ロボットアニメか「ひみつのアッコちゃん」系の魔法少女ものが並び男の子も女の子も(ついでにその親たちも)一気に取り込もうというある意味「地引網的なプログラム」でもありました。
(ちなみに当時の私はばりばりの「東宝チャンピオン祭り」派でしたが)
上述の通りまんが祭りのメインプログラムは「長靴をはいた猫」とか「にんぎょ姫」とか「龍の子太郎」なんかの名作ものだったのですが、そんな中で突然変異的に公開されたのが本作でした。
まあ「きかんしゃやえもん」もある意味名作のひとつと言えなくもないですが、ここはやはり当時大ブームだった「SL」「D51」にあやかったものでしょう。
東映自体、他社に比べて鉄道映画に強いところでしたし。
さて、本作はきかんしゃやえもんのストーリーそのものには忠実ですが脚色度が非常に高く、これを観てから原作を読むと絶句すること請け合いです。
やえもんに住み着いている「ねずみの一家が石炭をくべたり」「主人公の子どもがやえもんやネズミと普通に会話をしたり」「EF58や0系新幹線はもとより踏切のトラックまでもが人語をしゃべる世界」
そうしたキャラクターの描写や描き分けもなにかステレオ的で物足りない印象が残ります。
何しろクライマックスが「駅を襲ってDD51をジャックしたギャングを追ってやえもんことD51(因みに声は熊倉一雄)が山岳線を激走する」なんてなものですから原作の持つ独特の長閑さは無きが如し。
もともと「やえもん」のモデルは鉄道博物館に展示されている150だったと聞いていますが、それがいつの間にかD51に差し替えられ、デザインも意外にD51に忠実な(あ、でも顔や手はないか)ものになっていますから雰囲気が変わってしまうのも無理はありません。
とまあ、アニメパートを見る限りは鉄道ファンが見ても手汗をかきながら顔から火が出そうなほどの代物だったりします。
しかし本作は実は「実写とアニメのコラボ作品」である点が最大の特徴です。
しかもその実写パートが意外に豊富。
アニメパートの合間に挿入されるD51の実写の走行風景はまさに「鉄道映画の東映」の面目躍如です。
シネスコの横長画面と列車の走行風景は実に相性がよく、長編成を牽引するD51の実景場面には殆どハズレがありません。
あらゆるシチュエーション、あらゆる季節の中を貨物や客車を牽きながら悠々と走行するD51の画には全く酔っぱらえます。
ある意味「列車走行風景の撮り方のお手本」みたいな構図が続出しており鉄道ファンにとってはここが見どころでしょう。
これを参考にしてレイアウトの走行風景を撮ったりしても案外良いかもしれません。
映画の性格上主役はD51ですが、よく見ると一般型とナメクジがちゃんぽんしているのはご愛嬌。
クライマックス近くで解体場に引かれてゆくやえもんのシーンでは「DD51に牽かれるD51の廃車回送」がちゃんと用意されています。
まさか1号機関車でこれだけバンバン実写パートは作れないでしょうから、この為に主人公がD51に設定されていたのではないかと思います。
そこに注目すれば意外と鉄道ファンにお勧めできる作品かもしれません。
因みに同時上映は「仮面ライダーX」 「飛び出す立体映画・イナズマン」「キューティハニー」「マジンガーZ対Drヘル」「ミラクル少女リミットちゃん」だったりしますが(爆)
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この記事へのコメント
やえもんは、どういうわけだかリメイクごとに造形がコロコロ変わる機関車なんですよね。
・原作絵本:明治期の英国風2-4-2タンク機
・人形劇(影絵)版:アメリカ風0?-4-2タンク機
・セルアニメ版(これ):D51と明言
・3D映画版:B6っぽいタンク機
…もはや「蒸気機関車」という以外共通性がない…
個人的には最後のB6形なら、2109号(日本鉄道→国鉄→西濃鉄道→大井川鉄道→日本工業大学)の生涯題材で映画が一本作れそうな気がするんですが…
(やえもん関係ない気もするが、一応「廃車寸前の蒸気機関車が保存される」という流れは同じだし。)
返事が遅くなりました。
やえもんのイメージを感じるとなるとやはりB6辺りまでの明治期のロコ、それもタンク機がぴったりくる気がしますね。
今回のやえもんはD51であると同時に歴代やえもん(笑)で唯一のテンダー機という事になりますか。
今リメイクされたらラストは「イベント列車を牽引する余生」を送っていそうですが。
ええ、その辺含めて「2109号の生涯が使えそう」と前回言ったんです。
この機関車は66年に西濃鉄道で廃車後、1970年に大井川鉄道で“静態保存”されることになって運ばれるのですが、そこで「思ったより保存状況がよく、これなら動かすこともできそうなので年に一回ぐらいはイベントで走らせてみたい。」というようなことを当時の副社長・白井昭氏が雑誌(鉄道ファンか鉄道ピクトリアルだったと思う)で述べていて、後日これを使って井川線の使用されてない貨物側線で貨車を改造した観光用列車で「ミニSL列車」が始まり、その後コッペルやクラウスなどの小型機が集まってきたりして5年後にC11と旧式客車の本線走行になるわけで…
(ただし、2109号自体はその後しばらくして煙管が壊れ<上記の雑誌のもう少し後の号に乗っていた>、90年に日本工業大学の博物館に行くまで静態保存。)
うーん、1974年の映画なら上記の話を題材に使える気もするんだがなぁ…