鉄道ミステリとNゲージ22「自動信号機102号」とTOMIXのフィーダー
鉄道ミステリとそれに関連したNゲージモデルを書いたネタも先日の「汽笛が響く!」でネタを使い切ったと思っていましたが、先日のがおう☆さんのブログに触発されるところがあったので久しぶりに書いて観たいと思い立ちました。
今回の作品は徳間文庫版「殺しのダイヤグラム」所収の角免栄児作「自動信号機102号」です。
中国地方のとある地方私鉄が舞台で、ある吹雪の夜に当直の通信区工手が102号信号機の故障修理に出掛け、翌朝死体となって発見される。
当初は事故死と判断されかけるものの、被害者の工手が当直の夜に限って同じ信号機が故障している点に不審を抱いた刑事が捜査に乗り出す。というのが大まかなストーリーです。
見ての通り鉄道ミステリとしてはかなり地味なストーリー展開ですが、保線関係の職種を舞台に選んでいるところからもかなり地道に手堅い作りの作品と思います。
犯人の指摘、アリバイ崩しの中にかなり偶然に頼った点があるなど本格推理のファンからすれば物足りない部分もあるようですが、作者は実際に私鉄勤務の経験があり、その時の経験をもとに書いているそうなので、犯人が犯したのと同じようなミスの経験を実際にしていたのではないかと私は勝手に推察しています。
(この辺りはネタバレになるのでこれ以上は書きませんが機会があればご一読をお勧めしたいところです)
さて、本作では殺人の舞台が吹雪の夜の自動信号機周辺といういささか特殊な現場設定となっています。犯人も鉄道員のため(容疑者も全員鉄道員なのでこれはネタバレにはなりませんね)鉄道施設を犯行のトリックに最大限活用しています。そしてこれまた鉄道施設の特殊性によって犯行の証拠を残してしまう皮肉が一つの持ち味になっています。
ここで登場するのが「レールボンド」という設備。
実は初読の際に「ボンド」というのが「黄色い接着剤」くらいの認識しかなかったので大いに面食らったものです(汗)
(徳間文庫「殺しのダイヤグラム」所収「自動信号機102号」115Pより引用)
鉄道模型の場合、この種の自動信号ユニットは以前KATOが線路上のマグネットに反応して作動する自動信号ユニットを出していたことがありますし、最近ではセンサーレールなどを使って同様の効果を得ているようです。
が、電化区間の場合、パンタグラフから取り入れられた電気の一部が車輪を通って線路に流れ変電所に戻って行くという帰線電流というのがありまして、これが信号用の電流と混ざってしまうと色々と不都合を生じるため、線路と信号機の間にインピーダンスボンドというのがあって信号用電気の遮断と帰線電流の振り分けをやっているのだそうです。
言ってみればレールボンドの上級版とも言えますが、上記の原理ゆえに基本的には純粋な非電化区間では見かけない設備だそうです。
そのインピーダンスボンドはなかなか注目されない設備だった事もあってあまり知られていませんでしたがTOMIXのフィーダーにその造形がされています。
同じTOMIXでも旧式のフィーダーではリレーボックスが造形されていましたからこの二つを揃えて沿線に置けばそれなりに細密な感じはするのではないかと思います。
幸いというか、TOMIXの通常型の線路はほぼ全てにフィーダーをワンタッチで差し込めるようになっているので、やろうと思えばかなりの高密度で配置もできましょう(笑
)
ただ、モノが何しろフィーダーと兼用のパーツだけに「TOMIXの線路では非電化レイアウトにインピーダンスボンドがある」なんて問題も生じてしまいますが、まあ気にしなければ問題はないでしょう。
現にうちの葉純線とか棚幡線がそういうレイアウトですし(笑)
実は今回の記事のきっかけとなったのは上記のがおう☆さんの記事でこのパーツの利用について書かれていたのを拝見した事だったりします。
その記事はこちら
はんなり華鐡記
インピーダンスボンドは本作にはほとんど出ていませんがボンドつながりという事でむりやりこじつけました(大汗)
ただ、大真面目にこれを生かそうと思ったら信号機とインピーダンスボンド間を始めとしてかなりの密度でダミー配線を線路際に引き回す必要もありそうですが。
また、レールボンドとは意味合いが違いますが一部の固定レイアウトではレールボンドと同様のやり方で前後のレールの間に導線を半田付けしてジョイナーよりも確実な通電を確保しているケースがあります。
実は葉純線のレイアウトを作った折に通電が不安定な区間でこれをやろうとしたことがあるのですがTOMIXのステンレス線路は半田付けには不向きだったようで苦労した覚えがあります。
今回はボンドつながりというだけで、異なる設備ふたつの記事になって混乱させた気がします。すみません。また、素人が一夜漬けで調べた事が基になっているので、記述のミスや用語の間違いなどの可能性がかなりあると思いますが、その際はご教示頂ければ幸いです(大汗)
光山鉄道管理局
HPです「レイアウトの紹介」のモジュールの項一部追加しました。
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今回の作品は徳間文庫版「殺しのダイヤグラム」所収の角免栄児作「自動信号機102号」です。
中国地方のとある地方私鉄が舞台で、ある吹雪の夜に当直の通信区工手が102号信号機の故障修理に出掛け、翌朝死体となって発見される。
当初は事故死と判断されかけるものの、被害者の工手が当直の夜に限って同じ信号機が故障している点に不審を抱いた刑事が捜査に乗り出す。というのが大まかなストーリーです。
見ての通り鉄道ミステリとしてはかなり地味なストーリー展開ですが、保線関係の職種を舞台に選んでいるところからもかなり地道に手堅い作りの作品と思います。
犯人の指摘、アリバイ崩しの中にかなり偶然に頼った点があるなど本格推理のファンからすれば物足りない部分もあるようですが、作者は実際に私鉄勤務の経験があり、その時の経験をもとに書いているそうなので、犯人が犯したのと同じようなミスの経験を実際にしていたのではないかと私は勝手に推察しています。
(この辺りはネタバレになるのでこれ以上は書きませんが機会があればご一読をお勧めしたいところです)
さて、本作では殺人の舞台が吹雪の夜の自動信号機周辺といういささか特殊な現場設定となっています。犯人も鉄道員のため(容疑者も全員鉄道員なのでこれはネタバレにはなりませんね)鉄道施設を犯行のトリックに最大限活用しています。そしてこれまた鉄道施設の特殊性によって犯行の証拠を残してしまう皮肉が一つの持ち味になっています。
ここで登場するのが「レールボンド」という設備。
実は初読の際に「ボンド」というのが「黄色い接着剤」くらいの認識しかなかったので大いに面食らったものです(汗)
「ボンドというのはね、つまりレールとレールの間に溶接してある銅線です。(中略)信号機が赤から橙、緑と変わるのは信号機の下の箱に収められているリレー(継電器)が作動して変化するのです。そのリレーは信号高圧から変圧された100ボルトの電圧と軌条に電流を流している6ボルトの電圧によって働くのです。そのレール電流を流れやすくするためにレールとレールの継ぎ目に銅線を溶接するんです。それがボンドです。それがレールからはずれると、その信号機は前方に列車がなくなっても赤(危険信号)を表示します。僕が102号に行ったときもちょうどその状態だったわけです」
(徳間文庫「殺しのダイヤグラム」所収「自動信号機102号」115Pより引用)
鉄道模型の場合、この種の自動信号ユニットは以前KATOが線路上のマグネットに反応して作動する自動信号ユニットを出していたことがありますし、最近ではセンサーレールなどを使って同様の効果を得ているようです。
が、電化区間の場合、パンタグラフから取り入れられた電気の一部が車輪を通って線路に流れ変電所に戻って行くという帰線電流というのがありまして、これが信号用の電流と混ざってしまうと色々と不都合を生じるため、線路と信号機の間にインピーダンスボンドというのがあって信号用電気の遮断と帰線電流の振り分けをやっているのだそうです。
言ってみればレールボンドの上級版とも言えますが、上記の原理ゆえに基本的には純粋な非電化区間では見かけない設備だそうです。
そのインピーダンスボンドはなかなか注目されない設備だった事もあってあまり知られていませんでしたがTOMIXのフィーダーにその造形がされています。
同じTOMIXでも旧式のフィーダーではリレーボックスが造形されていましたからこの二つを揃えて沿線に置けばそれなりに細密な感じはするのではないかと思います。
幸いというか、TOMIXの通常型の線路はほぼ全てにフィーダーをワンタッチで差し込めるようになっているので、やろうと思えばかなりの高密度で配置もできましょう(笑
)
ただ、モノが何しろフィーダーと兼用のパーツだけに「TOMIXの線路では非電化レイアウトにインピーダンスボンドがある」なんて問題も生じてしまいますが、まあ気にしなければ問題はないでしょう。
現にうちの葉純線とか棚幡線がそういうレイアウトですし(笑)
実は今回の記事のきっかけとなったのは上記のがおう☆さんの記事でこのパーツの利用について書かれていたのを拝見した事だったりします。
その記事はこちら
はんなり華鐡記
インピーダンスボンドは本作にはほとんど出ていませんがボンドつながりという事でむりやりこじつけました(大汗)
ただ、大真面目にこれを生かそうと思ったら信号機とインピーダンスボンド間を始めとしてかなりの密度でダミー配線を線路際に引き回す必要もありそうですが。
また、レールボンドとは意味合いが違いますが一部の固定レイアウトではレールボンドと同様のやり方で前後のレールの間に導線を半田付けしてジョイナーよりも確実な通電を確保しているケースがあります。
実は葉純線のレイアウトを作った折に通電が不安定な区間でこれをやろうとしたことがあるのですがTOMIXのステンレス線路は半田付けには不向きだったようで苦労した覚えがあります。
今回はボンドつながりというだけで、異なる設備ふたつの記事になって混乱させた気がします。すみません。また、素人が一夜漬けで調べた事が基になっているので、記述のミスや用語の間違いなどの可能性がかなりあると思いますが、その際はご教示頂ければ幸いです(大汗)
光山鉄道管理局
HPです「レイアウトの紹介」のモジュールの項一部追加しました。
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この記事へのコメント
レールボンドの話が出てくる推理小説があるなんて面白いですね。
素人考えでも、鉄道の信号が切り替わるシステムは、興味が湧く材料だとは思いますが…それにトリックが絡んでくるとは(^^)
ちょっと読んでみたい話です。
インピーダンスボンドは、その役割から電化区間だけなんですね。
信号近辺には、すべて配備しようとしていたので助かりました(笑)
私は調べが至りませんでしたね。
非電化路線分は、これで複製しなくて済みそうです。
題材としてはなかなか面白いのですが鉄道に興味にないミステリファンからすれば読み通すのが難しい所があります。
今回改めて読み返したところでは舞台の私鉄は「パンタグラフをきらめかせて走る列車」の描写があるところから一応は電化されている様なのでインピーダンスボンドも設置されていた可能性はあります。
とすると犯人が切断したのもインピーダンスボンドに繋がる線という事になりますね。タイトルからして「自動信号機」ですし。