偉大なる凡庸の系譜・TOMIXのわらぶき農家
偉大なる凡庸の系譜 今回はストラクチャー編です。

「偉大なる凡庸」という位ですから世間的にはかなり普及しているアイテムの筈ですが、私個人はこれまで買わなかったと言う物です。
今回の入手にしても、たまたま中古屋さんで1軒200円のバーゲンプライスだったので「ブログのネタにでもいいかな」と買ってしまったといういい加減極まる経緯を持ちます。
物はTOMIXの「わらぶき農家」
出来のよさについては専門誌の紹介などでも折り紙つきのアイテムですし、登場当時はこれを使わないレイアウトの作例が殆どなかった位に普及していたと思います。
が、私の場合昔からレイアウトは街並み志向、都会風レイアウトを目指していたのでほとんど手を出す気になれませんでした。
(同じ理由で「建物コレクション」も他の農家は買ったのにわらぶきの奴だけは未だに手を出していません)
今回改めて入手して見ると世間の評判に嘘はない事が再認識されます。
形状はどうという事のない普通の農家ですが、この「どうとない」建物を製品化させるとTOMIXは実に隙がない。
カタログ写真は主に南側から見たアングルで農家の象徴ともいうべき「縁側と障子」が目立つようになっています。

ですがこれを裏から見ると北側の土壁のあいだに風呂の焚口が付いていますし、ちゃんと北東の隅に便所がくるように造形されています。
玄関先には土間が入っているようなイメージがありますし、外には手漕ぎポンプの井戸まで付いている(このポンプの造形も当時としては画期的なレベルでしょう)
それどころかベースから建物を外すと中にはかまどと風呂桶までモールドされているという驚異の親切設計!なるほど最近のTOMIXが「外から見えない客車の便器までモールドするこだわり」の源流はこのわらぶき農家の頃からあったという事ですか。
実を言いますと、私の母方の実家が昭和40年代前半までこういうタイプのわらぶき農家だったのですが、まさにその構造に酷似しているのです。
かくいうほどに造形面では全くと言っていいくらい隙の無いアイテムと言えます。
ただ、このモデルの最大の弱点は「プラの質感丸出しなところ」
これは建物本体だけでなくこれまたよく出来ているベースについても言えます。

専門誌などのレイアウトの作例では大概製品そのまんまの状態で無造作に置かれている事が多く、シーナリィのリアルさに反比例して質感の安っぽさ(特に屋根)が際立ってしまっている事が多かったです。
(どうかすると「北向きに縁側を持ってきている」ような変な配置の物もたまに見ましたから案外当時のレイアウトビルダーも脇が甘かった気もします)
ですのでこのアイテムはどうしたって本体とベースのリペイントとウェザリングは必須と思います。
更にこのクラスの農家なら蔵や農機具小屋も必要(これらはジオコレでアイテム化されています)
案外見落とされがちですが「鶏小屋や豚小屋」は必須のアイテムです。まあ、これ位は自作の余地があっても良いかもしれません。
樹木類も庭先にリンゴなどの果樹が一本か二本(商売用でなく自宅で食べるための奴です)
大体こういうタイプの農家だったら家の周囲に田んぼや畑も要求されます(自宅用の溜池とか物干しスペースも含む)
何よりこういう農家だったら「表の道から家に通じるアプローチ」にも工夫を凝らしたくなります。できたら斜面に家が張り付いているような雰囲気の地形でもあればベスト。
ついでに上述の母方の実家に当てはめれば「山羊小屋」も欲しかったりするのですが(笑)
これらを大真面目にモデル化したら農家一軒で最低20センチ四方のスペースが必須。どうかすると周辺の地形創成にまで手を加えなければならないという物凄く奥の深いアイテムなのがこのわらぶき農家です。
などと、こんな事を書いていたら段々にムラムラと手を加えたくなってきました。
なんて恐ろしいアイテムなんだ!
尤も田舎を知らないユーザーなら線路わきにポツンと置いても用の足りる建物と思います。
その意味ではモデラーかそうでないかを試すリトマス試験紙みたいなアイテムともいえるかもしれません。
光山鉄道管理局
HPです。

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「偉大なる凡庸」という位ですから世間的にはかなり普及しているアイテムの筈ですが、私個人はこれまで買わなかったと言う物です。
今回の入手にしても、たまたま中古屋さんで1軒200円のバーゲンプライスだったので「ブログのネタにでもいいかな」と買ってしまったといういい加減極まる経緯を持ちます。
物はTOMIXの「わらぶき農家」
出来のよさについては専門誌の紹介などでも折り紙つきのアイテムですし、登場当時はこれを使わないレイアウトの作例が殆どなかった位に普及していたと思います。
が、私の場合昔からレイアウトは街並み志向、都会風レイアウトを目指していたのでほとんど手を出す気になれませんでした。
(同じ理由で「建物コレクション」も他の農家は買ったのにわらぶきの奴だけは未だに手を出していません)
今回改めて入手して見ると世間の評判に嘘はない事が再認識されます。
形状はどうという事のない普通の農家ですが、この「どうとない」建物を製品化させるとTOMIXは実に隙がない。
カタログ写真は主に南側から見たアングルで農家の象徴ともいうべき「縁側と障子」が目立つようになっています。

ですがこれを裏から見ると北側の土壁のあいだに風呂の焚口が付いていますし、ちゃんと北東の隅に便所がくるように造形されています。
玄関先には土間が入っているようなイメージがありますし、外には手漕ぎポンプの井戸まで付いている(このポンプの造形も当時としては画期的なレベルでしょう)
それどころかベースから建物を外すと中にはかまどと風呂桶までモールドされているという驚異の親切設計!なるほど最近のTOMIXが「外から見えない客車の便器までモールドするこだわり」の源流はこのわらぶき農家の頃からあったという事ですか。
実を言いますと、私の母方の実家が昭和40年代前半までこういうタイプのわらぶき農家だったのですが、まさにその構造に酷似しているのです。
かくいうほどに造形面では全くと言っていいくらい隙の無いアイテムと言えます。
ただ、このモデルの最大の弱点は「プラの質感丸出しなところ」
これは建物本体だけでなくこれまたよく出来ているベースについても言えます。

専門誌などのレイアウトの作例では大概製品そのまんまの状態で無造作に置かれている事が多く、シーナリィのリアルさに反比例して質感の安っぽさ(特に屋根)が際立ってしまっている事が多かったです。
(どうかすると「北向きに縁側を持ってきている」ような変な配置の物もたまに見ましたから案外当時のレイアウトビルダーも脇が甘かった気もします)
ですのでこのアイテムはどうしたって本体とベースのリペイントとウェザリングは必須と思います。
更にこのクラスの農家なら蔵や農機具小屋も必要(これらはジオコレでアイテム化されています)
案外見落とされがちですが「鶏小屋や豚小屋」は必須のアイテムです。まあ、これ位は自作の余地があっても良いかもしれません。
樹木類も庭先にリンゴなどの果樹が一本か二本(商売用でなく自宅で食べるための奴です)
大体こういうタイプの農家だったら家の周囲に田んぼや畑も要求されます(自宅用の溜池とか物干しスペースも含む)
何よりこういう農家だったら「表の道から家に通じるアプローチ」にも工夫を凝らしたくなります。できたら斜面に家が張り付いているような雰囲気の地形でもあればベスト。
ついでに上述の母方の実家に当てはめれば「山羊小屋」も欲しかったりするのですが(笑)
これらを大真面目にモデル化したら農家一軒で最低20センチ四方のスペースが必須。どうかすると周辺の地形創成にまで手を加えなければならないという物凄く奥の深いアイテムなのがこのわらぶき農家です。
などと、こんな事を書いていたら段々にムラムラと手を加えたくなってきました。
なんて恐ろしいアイテムなんだ!
尤も田舎を知らないユーザーなら線路わきにポツンと置いても用の足りる建物と思います。
その意味ではモデラーかそうでないかを試すリトマス試験紙みたいなアイテムともいえるかもしれません。
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この記事へのコメント
自分が聞いて実際やった方法だと↓こんな感じでしょうかね?
・屋根の上を少し削って1㎜角のプラ棒をつけ棟木にする。
(ついでにこの辺を古びた木の色に塗装するとよい)
・藁ぶき部分に糊(木工ボンドやマッドメディウム)を塗った後、おがくずなど(注)をかける。
(注:シーナリパウダー・ターフ・フィールドグラスを刻んだものなどで藁っぽい色のを利用してもよい)
逆に試してはいませんが、TMS645(98年9月号)に小林信夫氏の近代化改装の改造例が載っていて、以下のように成るそうです。
・屋根をプラ板を張り付けトタン屋根にする。
・TVアンテナをつける
・外壁部分を新造して接着する(近代化に伴い便所や風呂の一体化による増築部位)
・縁側もガラスのサッシに…
明言はありませんが、井戸や竈は当然撤去でしょう。
わらぶき農家だけに屋根の質感表現が一番の肝ですね。これまでレストアを意識していなかったので今回のご教示はなかなか参考になりました。
近代化改装された(特に屋根のトタン化と縁側をサッシ化した)例は今でも殆どの家で見られますね。うちの例でも台所と便所は増築されていますし。
余談ですがこの手のわらぶき農家が解体された場合、主要な部材は同じ場所に建てなおされる家でも転用されるケースが多い様です。
今では見ないような太い柱や梁などはそのまま使われている事もあるので「新築した家の間取りがわらぶき時代とほぼ同じ(つまり家のサイズも)」というケースは特に私の故郷ではよく見かけました。
また、井戸は水道よりも水質が良かったり年中水温が一定して凍結の心配がない事から意外に今でも使われているケースがあります。ただしポンプが手漕ぎからモーターになるなどの変化はありますが。個人的には井戸に隣接して洗い場を付けたいところですね。
今回は既存モデルの改修という観点だったので書きませんでしたが、わらぶき農家でもうひとつ考える題材は「廃屋」または「お化け屋敷」です。個人的に実例をいくつか知っているので一度は作ってみたいのですがこのモデルの改造よりも全面的なスクラッチでないと出来ないのが現在でも躊躇している理由だったりします。