テツドウモケイの「作る」と「集める」の間に・・・2

 半月くらい前に書きました鉄道模型の工作とコレクションに関して思うことの続きです

「鉄道模型には色々なジャンルがある。大きく分ければ車両を楽しむ行き方と、レイアウトと運転を楽しむ行き方がある。
この両方を適当にミックスするのが一般的なファンであろう」
(山崎喜陽著 保育社カラーブックス「鉄道模型」P2より引用)
 これはカラーブックスの名著(と私が勝手に思っている)「鉄道模型」の冒頭の一節です。

 この「適当にミックスする」と言う部分に深い含蓄を感じています。
 実際、レイアウトの存在がある事で鉄道模型の趣味としての拡がりは他のジャンルに比べて相当に広くなっており、考えようによっては「鉄道模型をやる事で他にない見識を広げる事ができる」と言う事も出来るかもしれません。

 そしてその過程の中で一種のバランス感覚を身につけ、融通無碍な楽しみを通して大人になって行く事も出来る様な気がします。
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 これと同じ事は「作る」事と「集める(コレクション)」についてもいえると思います。
 それまでの「作る鉄道模型」という面と最近の「集める鉄道模型」という面は全く両立しないものでしょうか。

 趣味の本質の一つには「クリエイター性」というものがあると思います。他人と同じものを持つ。他人と同じ事をするのを潔しとせず、自分独自の何かを自らの手で勝ち取って行く過程とでも言いましょうか。
 そのプライオリティは工作の成果かもしれないし、コレクションの中の集め方への拘りかもしれない。いずれにせよ何かしら自分独自の何かがそこに表現されるものではないでしょうか。

 例えば新車を入線させても自分の好みの改造を加えたり、そこまでとは言わなくても付属のナンバープレートをつける、方向幕を貼るというレベルでもそこにユーザーの主張が現れるのならある意味クリエイティブな行為とはいえます。
(ですが一方では「ビスやナット以外を全て作らなければ自作とは言わない」という考えというかこだわりが存在するのも事実ですが)
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 また、コレクションにも「なぜ集めるか」「その人の集め方のポリシーがどこにあるか」という点にユーザーの主張やオリジナリティが出る事は言えると思います。他のジャンルのコレクションで有名なコレクターがそうした観点から名著(本を著すというのはコレクターの自己表現手段としてもっともポピュラーな形態です)をものしている例は多いですし。
 ですが不思議とモデラーサイドでその点はあまり評価されませんし、逆にコレクターサイドから見るとモデラーのポリシーが煙たがられる事もあったりします。

 どこまでが工作でどこからがコレクションか。
 近年の鉄道模型の世界ではその間のグレーゾーンがとても広くなっている感があります。
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 「購入したモデルを全く手付かずのまま保存し運転もせずに単に持っている事に満足する場合」は流石に「作る鉄道模型」とは言わないでしょうがそんなのは現在でも少数派だと思います(それが利殖として成立するほど鉄道模型がメジャーな高級趣味になったとは思えないですし)
 逆に工作派を自認している人がたまたま気に入って購入した完成品を手を加えずに飾ったり走らせたりする様な事もあるかもしれません。

 誰しもコレクター的側面というものは持ち合わせていると思いますし一方ではクリエイティブな側面もまた然りです。そう思うと作る事と集める事をあまり厳格に分けて捉えない方が精神衛生上は良い様に思えます。

 むしろ作る要素と集める要素の狭間にあって「どれだけそのユーザーの顔が見えるか、あるいは主張があるか」というのが趣味の世界でのユーザーのアイデンティティではないかと。
 それは自らを「工作派」「コレクター」と枠にはめて規定してしまうよりも大事な事の様な気がします。
 (尤も、現実には特に車輛派を中心にゲージやスケール、特定地域やジャンルの範囲を狭小化させそれらの小分けされた小さなコップの中で、スノビッシュなエリートごっこに終始している事の方が問題かもしれませんが)
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「色々やってみる事や他のジャンルに興味を持つ事でそれまで凝り固まった概念から解放され、世界が拡大して感じられるという経験の楽しさ」を実生活で感じるのは色々なしがらみから困難でしょうが、趣味の世界ならそれができる可能性が高い。

 むしろ「作る」と「集める」を両立させつつ趣味と見識を深める事ができるというのも鉄道模型の趣味の新しい御利益と言えるかもしれません。

 なんだか取り留めのない駄文になってしまいましたがご勘弁を。
(なお、写真と本文は関係ありません)

光山鉄道管理局
 HPです。

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