「関東大震災と鉄道」
先日購入した鉄道本から。
「関東大震災と鉄道」(内田宗治著 新潮社)
関東大震災に関する本は何冊か持っているのですが、鉄道との絡みでこの震災を俯瞰した本の存在はこれまで知りませんでした。
前書きを読むとわかるのですが本書の刊行は東日本大震災の後。比較的最近の本です。
関東大震災絡みの鉄道事故というと真っ先に思い浮かぶのは地すべりで列車と駅が丸ごと海に崩落した根府川駅の事例ですが、実際には同じ震災でかなりの数の列車が被害を受け、その後の火災でこれまた相当の車両や設備が焼失しています。
本書ではそれらの被害を俯瞰しつつ未曾有の災害に立ち向かった鉄道マンたちの苦闘を描いているものです。
実は本書を初めて知ったのは先日出かけた図書館です。
最初は在館中に軽く読むつもりだったのですが読んで行くうちにグイグイと引き込まれ「これは借りるだけでは足りない」とばかりに帰途、本屋に立ち寄って購入したという(笑)経緯だったりします。
他の本ではこれまで関東大震災では比較的被害がなかったことになっている赤煉瓦の東京駅ですが実際は本震でホームの屋根が倒壊。さらにその後の火災では有楽町と神田の両方から火の挟み撃ちに遭い、極めて危険な状態だったことを初めて知りました。
隣接する鉄道省も焼け落ち、そのままでは被服廠の二の舞になりかねない状況下、残っていた職員が総出で消火と破壊消防、延焼を防ぐために人手だけで留置車両を移動させる事に尽力し危機を脱していたという下りには驚くと同時に感動すら覚えます。
その他貴重品を載せて新橋~浜松町間を移動しながらも奮闘むなしく焼け落ちてしまった急行列車の話、駅長の判断で避難民を無賃乗車させ日暮里まで往復運行を図った上野駅の話なども凄いと思いつつ、それだけの非常処理を行わなければならなかったほどの大災害の全貌が浮かび上がってきます。
これらのエピソードだけでも十分読み応えがあるのですが、加えて地震発生時に被災区域にいたほぼ全ての列車の状況、その後の火災で焼失した駅や施設の状況なども容量良く俯瞰されていて資料としての価値も非常に高いと思います。
「関東大震災と鉄道」(内田宗治著 新潮社)
関東大震災に関する本は何冊か持っているのですが、鉄道との絡みでこの震災を俯瞰した本の存在はこれまで知りませんでした。
前書きを読むとわかるのですが本書の刊行は東日本大震災の後。比較的最近の本です。
関東大震災絡みの鉄道事故というと真っ先に思い浮かぶのは地すべりで列車と駅が丸ごと海に崩落した根府川駅の事例ですが、実際には同じ震災でかなりの数の列車が被害を受け、その後の火災でこれまた相当の車両や設備が焼失しています。
本書ではそれらの被害を俯瞰しつつ未曾有の災害に立ち向かった鉄道マンたちの苦闘を描いているものです。
実は本書を初めて知ったのは先日出かけた図書館です。
最初は在館中に軽く読むつもりだったのですが読んで行くうちにグイグイと引き込まれ「これは借りるだけでは足りない」とばかりに帰途、本屋に立ち寄って購入したという(笑)経緯だったりします。
他の本ではこれまで関東大震災では比較的被害がなかったことになっている赤煉瓦の東京駅ですが実際は本震でホームの屋根が倒壊。さらにその後の火災では有楽町と神田の両方から火の挟み撃ちに遭い、極めて危険な状態だったことを初めて知りました。
隣接する鉄道省も焼け落ち、そのままでは被服廠の二の舞になりかねない状況下、残っていた職員が総出で消火と破壊消防、延焼を防ぐために人手だけで留置車両を移動させる事に尽力し危機を脱していたという下りには驚くと同時に感動すら覚えます。
その他貴重品を載せて新橋~浜松町間を移動しながらも奮闘むなしく焼け落ちてしまった急行列車の話、駅長の判断で避難民を無賃乗車させ日暮里まで往復運行を図った上野駅の話なども凄いと思いつつ、それだけの非常処理を行わなければならなかったほどの大災害の全貌が浮かび上がってきます。
これらのエピソードだけでも十分読み応えがあるのですが、加えて地震発生時に被災区域にいたほぼ全ての列車の状況、その後の火災で焼失した駅や施設の状況なども容量良く俯瞰されていて資料としての価値も非常に高いと思います。
この記事へのコメント