趣味の原点を振り返る その52 「いたずらきかんしゃちゅうちゅう」のはなし
久しぶりの「趣味の原点を振り返る」ですが、今回の題材は私が鉄道模型の趣味に走る上で大きなきっかけとなったにも拘らず、これまで長いこと失念していた事です。
事によると私と同じきっかけでこの趣味に入った人も多かったのではないかと思いますが、その辺は皆さんの思い出と照らし合わせていただくのも一興かと。
先日、家の大掃除の折に子供の絵本の一部を処分しようとしたときにある絵本が出てきました。
「いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう」

もちろん子供に買ってやった一冊なのは間違い無いのですが、これを買ったとき鉄道模型の趣味の中断中だった事もあって買った事自体忘れておりました。
ですが、私が子供にこれを買い与えた理由は他でも無い「私も幼少の頃にこれを読んで夢中になっていたから」でもあります。
その目で改めてこの本を開いて見たのですが、驚きました。
表紙の裏のイラストでは手前に主人公の「ちゅうちゅう」が牽く混合列車が駅から出ようとし、その先には村や山や港を経てターミナルのある駅へ、そこから反対方向には山々の向こうに延びる別の線路まで描き込まれた見開きのパノラマが広がっています。
まさにこれは「レイアウト」そのもの、いやそのパノラミック感は本来の意味での「ジオラマ」でもあります。
当時は幼児だった私がこれにワクワクしたのは間違いありません。
そして主人公の蒸気機関車(2B1のアトランティック)の「ちゅうちゅう」の普段の1日の描写から始まり、そんな日常にうんざりしたちゅうちゅうがこっそり脱走して単機(笑)で逃げ回るシークエンス。
その、機関車の動感に溢れるばかりでなく同時に周囲の風景をもパノラミックに描いた一連の構図もまたレイアウトの原点であります。
我ながら「ああ、これを読んだからレイアウトをやりたくなったのか」と納得してしまうほど生き生きしたパノラマがどこを開いても展開していました。

この絵本の中では主人公が機関車なのは間違いありませんが周囲の風景のなかにまるで蟻のように描かれたモブキャラの一人一人にも表情があり、役割が果たされ、それらが一体となった別乾坤が成立しています。
これほど見る側のインスピレーションを刺激する絵本はそう無いのでは無いでしょうか。少なくとも当時他にもあった「新型電車がいくつも羅列されただけの絵本」にはこれほどのインパクトはなかったとおもいますし、きかんしゃトーマスの作品世界にも少なからず影響を与えていそうな気もします。

そういえば同じ作者の描いた「けいてぃー」と言う除雪車が主人公の絵本もこうしたパノラミックな構図が特徴的でした。今でも本屋さんで買えるそうなので今度探してみようかと。
幸田露伴が書いた「観画談」に出てくる絵もひょっとしたらこういう感じのパノラマだったのではなかったのでしょうか。これは余談。
(写真は本題と関係ありません)

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事によると私と同じきっかけでこの趣味に入った人も多かったのではないかと思いますが、その辺は皆さんの思い出と照らし合わせていただくのも一興かと。
先日、家の大掃除の折に子供の絵本の一部を処分しようとしたときにある絵本が出てきました。
「いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう」

もちろん子供に買ってやった一冊なのは間違い無いのですが、これを買ったとき鉄道模型の趣味の中断中だった事もあって買った事自体忘れておりました。
ですが、私が子供にこれを買い与えた理由は他でも無い「私も幼少の頃にこれを読んで夢中になっていたから」でもあります。
その目で改めてこの本を開いて見たのですが、驚きました。
表紙の裏のイラストでは手前に主人公の「ちゅうちゅう」が牽く混合列車が駅から出ようとし、その先には村や山や港を経てターミナルのある駅へ、そこから反対方向には山々の向こうに延びる別の線路まで描き込まれた見開きのパノラマが広がっています。
まさにこれは「レイアウト」そのもの、いやそのパノラミック感は本来の意味での「ジオラマ」でもあります。
当時は幼児だった私がこれにワクワクしたのは間違いありません。
そして主人公の蒸気機関車(2B1のアトランティック)の「ちゅうちゅう」の普段の1日の描写から始まり、そんな日常にうんざりしたちゅうちゅうがこっそり脱走して単機(笑)で逃げ回るシークエンス。
その、機関車の動感に溢れるばかりでなく同時に周囲の風景をもパノラミックに描いた一連の構図もまたレイアウトの原点であります。
我ながら「ああ、これを読んだからレイアウトをやりたくなったのか」と納得してしまうほど生き生きしたパノラマがどこを開いても展開していました。

この絵本の中では主人公が機関車なのは間違いありませんが周囲の風景のなかにまるで蟻のように描かれたモブキャラの一人一人にも表情があり、役割が果たされ、それらが一体となった別乾坤が成立しています。
これほど見る側のインスピレーションを刺激する絵本はそう無いのでは無いでしょうか。少なくとも当時他にもあった「新型電車がいくつも羅列されただけの絵本」にはこれほどのインパクトはなかったとおもいますし、きかんしゃトーマスの作品世界にも少なからず影響を与えていそうな気もします。

そういえば同じ作者の描いた「けいてぃー」と言う除雪車が主人公の絵本もこうしたパノラミックな構図が特徴的でした。今でも本屋さんで買えるそうなので今度探してみようかと。
幸田露伴が書いた「観画談」に出てくる絵もひょっとしたらこういう感じのパノラマだったのではなかったのでしょうか。これは余談。
(写真は本題と関係ありません)

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この記事へのコメント
「いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう」は、これ↓ですかね。
https://www.amazon.com/Choo-Virginia-Lee-Burton/dp/0395479428
これ何と作者は女性なんですよね:息子の為に描いたそうですが、記述が正確なのが驚きです。
こういう物を書いてくれる母親が居る人は幸せだと思います。
作者が女性だったというのは私も最近知って驚いています。子供の喜ぶツボを心得ているというか、いい意味でのジオラマ表現を身に付けているというかとにかく魅力的です。
今回取り上げた2冊の他は読んでいないのですが他にも著作がある様なので読んでみたいですね。
>作者
この作者の絵本は乗り物系の描写が細かく『ちいさなおうち』でモブの路面電車と高架電車で前者は架線あり後者はなし(サードレール集電なので)という描き分けをやっていたりします。
個人的に覚えている作品。
『ちいさいケーブルカーのメーベル』
サンフランシスコのケーブルカーというマニアックすぎる車両が主人公。
しかし時代の流れとともにバスが発達してきて・・・
『マイク・マリガンとスチーム・ショベル』
蒸気動力のショベルカーが主人公の相棒。
彼らもまた時代の流れとともに追われて行って・・・ラストはやえもんなどと違った斬新すぎるスチームショベルの最期。
なお、彼らは『ちいさいおうち』にもモブで出てきています(道路工事場面)。
私も幼少期にこの本を母から与えられ一目見て気に入って毎日のように見ていたのを覚えています。
中学になるとNゲージに興味を持ちました。
関水金属(当時はその表記だった)のカタログを見てあの絵本を見たときのようにワクワクしてNゲージを楽しんでいました。
大人になるにつれて興味はやがてバイクや車に向いていつしか忘れたものになっていました
大人になり家庭を持ち子どもも授かりました。
子どもが年長か小学校入学のころ本屋でこの絵本を偶然見かけて子どもに見せようと思い購入しました。
絵本を開いてみると子どものときのワクワク感が心の底から涌いたのを覚えています。
そして・・・・
そこから「そういえば実家に鉄道模型置いてきなぁ~」と思い出し
物置から引っ張り出して手に取ったことでワクワクはさらに強く湧き出て来ました。
と言う経緯で数十年ぶりにこのNゲージの世界に戻ってきました。
戻ってきてみたら私の知っている世界とはまったく違う!
細かいところまで表現された車両
ライトが点灯するどころかLED採用されている!
常点灯?
何じゃそりゃ?
DCC・・・・・全く?????
毎日が驚きの浦島太郎です。
今は、インターネット環境があれば色々な情報がすぐに手に入ります。
貴サイトにも時々お邪魔させていただいて情報を入手させていただいております。
今後も楽しませてください。
絵本を買ってあげた子どもはもうすぐ成人
妻と一緒に
「お父さん!」
「そのガラクタ邪魔だから処分すれば~」
「なんだったら代わりにYオクにでも出して処分してあげようか?」
と恐ろしいことを口に出す子どもになってしまいましたぁ~
「ちゅうちゅう」と「けいてぃー」しか読んだ事がなかったのですがこうして伺うと他の作品もなかなか魅力的に見えますね。
ケーブルカーはジャックフィニィの短編小説でも魅力的に描かれているのがあったのですが、絵本と言うビジュアルの方がより魅力的なのではないかと思います。
これは探してみないと。
コメントありがとうございます。
私が子供に「ちゅうちゅう」を買ってやったのは鉄道模型の趣味の中断中だったので「この趣味に引きずり込んでやろう」と言う下心はなかった(いや、やっぱりあったのかもW)結局子供はそっちに行かずじまいでした。
私も20年のブランクを経て再開した口なのですが、その間もTMSだけは読んでいたので浦島太郎状態もそれほどではないかと思っていたのですが、実際にモデルを手にとって見るとあまりの感覚の違いに驚かされましたね。
やはり実際に見てみないとわからない物は多いです。