4大誌を比べてみる2・記事の比率とジャンルから

 先日このブログでも書いた鉄道模型専門誌の比較ネタ
 今回は記事の比率から俯瞰してみたいと思います。
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 まずは昔の例として私の手元にあるTMSの74年8月号ととれいんの76年1月号、それとRM MODELSの95年10月号をサンプルとして見てみたいと思います。
(選択の基準は全くの無作為)
 TMSの目次を繰ってみると総ページ数100ページ中、記事数は9、うち車両工作記事は6(16番・ライブスチーム)レイアウトの記事は1(海外のレイアウト紹介)ストラクチャー改造記事1、実物取材記事1(ローカル線の駅、ただし車両工作記事に実物の特写が3ページ入っています)
 これにレギュラーの「ミキスト」「ヒント」「私の鉄道から」「鉄道模型相談室」「製品の紹介」と続きます(因みに紹介されていたのはマルチコントローラーひとつだけ、4ページ費やしています)

 とれいんの方は総ページ数80ページ中記事数12、内、この号の特集であるEH10について模型製作記事1、製作資料やインタビューに5つの記事を使っています。この他車両製作1、実物関連記事2(EH10関連を除く)レイアウト記事1、コレクション記事2、運転会レポート1の構成
 レギュラー記事の「PipeSmoking」「模型店散歩」「交換欄」「新車登場」が続きます。(こちらは7ページ7アイテム)

 時代が20年近く違いますがRM MODELSは月刊化記念号で総ページ数162ページ。記事数は15で車両工作は3、レイアウト関連は3、ストラクチャーが1、出版時期を反映してかカタログ系の記事が1、実物系が情景関連で3、その他が3
 創刊直後という事もあってかレギュラー記事は11と多くこの中にはキットの組み立てインプレッションやテクニカル系、あるいは「鉄道模型考古学」なんかもあります。
製品紹介は12ページでアイテム数は何と57!ただし半数以上が外国形で占められています。
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 この頃から比べるとどの雑誌もページ数はかなり増えていますし記事の総数も多いと思いますが昔と比べてそれぞれのジャンルの比率に違いがあるでしょうか。
 そこが今回の比較の注目点です。
(とはいえ厳密な形式の調査ではないので所々いい加減なところも出てくると思いますが)
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 先ずTMSは総ページ数116ページ。その中で車両工作記事は2(うち一つはクラブの作品集)レイアウト関連は4、実物記事が1。
 実質的なレギュラー記事として「模型のためのエッセンス」「フリーランス雑感」「ニュールンベルグメッセ2017レポート」がありこれだけで23ページを占めます。
 その他メディアチェックや運転会だよりなどの記事が4つと言う構成でした。
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 とれいんの方は総ページ数140.トップに来るのは模型ではなく実車の相模鉄道20000系(表紙もそれです)ついでシベリア鉄道乗車記、台湾鉄道ナビが続き、最初の30ページだけ観ると模型雑誌とは思えない構成です。
 実車記事はこれだけにとどまらず東武鉄道7300系関連も含めレギュラーを含めると8つに上ります。車両工作は2(競作集を含む)運転会・イベント紹介が3
 上記の記事数の重複があるのですがレギュラー記事は目次で見る限り16もあります。
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 RM MODELSは総ページ数180ページ、特集が16番工作だったせいもあるのか車両工作記事が10!実車記事が2、ストラクチャー、ジオラマが2、運転会・イベント記事が3
 レギュラー記事は8つですが上の車両・ストラクチャー記事、イベント記事との重複があります。
 この雑誌の巻頭は「NEW MODEL PREMIUM」前月か前々月あたりの新製品について製品紹介の補足や軽加工のヒントなどを纏めたものでこの雑誌の特色になっています。
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 最後に最も新しい「N」
 隔月刊で総ページ数134ページ。車両工作関連がレストアも含めて4、レイアウト関連が2、ストラクチャーが1、実物記事(情景)が1と言う構成です。
 大半が製品モデルの紹介とその応用に費やされているのがNゲージに特化した専門誌らしいところですが、一方で読者投稿やイラスト、アンケートに8ページを割いているのは先行誌にない特色と思います。

こうして俯瞰してみると平均して車両工作(加工、レストアも含む)がメインなのは大体予想通りでした。レイアウト関連の記事はTMSが意外に多く、RM、とれいんは少ない印象でした。
 またTMS以外はレイアウトよりもモジュールやパイクに工作記事の軸足が移りつつある様な印象も感じます。
(RM MODELSは毎回特集が異なる為レイアウトメインの号だとこの比率が逆転することがあります)

 Nを除く先行3誌を俯瞰した限りではどれもページ数は増えていますが工作記事に関する限りじっくりと腰を据えて読ませる(楽しませる)物は総じて減っている感じはしました。特にラージスケール系、ライブスチームは殆ど見られなくなりましたし、昔はよく見られた海外のモデラーやレイアウトビルダーの作品があまり見られなくなった事もあり相対的に読んだ時の解放感が薄い気もします。

 こうした記事はたとえ自分が作らなくても趣味のイマジネーションを広げる意味で重要な存在だったと思えますが、今はそういうのを感じたかったら海外誌を買わなければならないという事でしょうか。

 一方で、RMとNに関して言えば既存完成品やキットの加工でオリジナリティを出す方向性の工作記事の比率が高く、手軽に手を動かす楽しみを紹介しているのが目を引きます。
 これなどはこの40年間のNゲージの普及とそれに伴うこの世界の構造の変化が最も顕著に感じられるところと思いました。

 その一方で昔は少なかった運転会・イベント関連の記事はどれも比率が上がっている印象です。この辺りも昔と今との環境の変化を感じさせます。個人だけでなく、クラブやフォーラムなどで鉄道模型の趣味を外に披瀝しやすい環境が以前よりは出来てきているという事でしょうか。

 あと、これはどの雑誌にも共通していたのですがレギュラーの連載記事が一番安心して読めました。
エッセイ系の記事にその傾向が強く、寝る前に布団の中なんかで読むには好適です(但し本が重くてそういう用途に耐えられないのもありますが笑)
ある意味「オトナの趣味としての鉄道模型の世界」を端的に体現しているのがこうしたレギュラー記事の部分かもしれません。

 個々の雑誌についての個人的な感想については次の機会に。
光山鉄道管理局
 HPです。


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