「レイアウトのネーミング」について思うこと



 先日お邪魔しました、がおうさんのブログで現在製作中のレイアウトの名称について一項目費やしたものがあり、非常に興味深く拝見しました。
リンクはこちらです

はんなり華鐡記「My Layoutの名称を考える」

 レイアウトを作ったり計画した事のある方なら誰しもが一度は悩むのが「レイアウトの命名」ではないかと思います。
 上述のブログのコメンターの方の一人がいみじくも言われていましたが名称がないと「あれ」とか「これ」とかの無愛想な物になりがちで、勢いレイアウトそのものの愛着も薄れそうな気もしますし。
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 今回のブログで興味がわいたので書棚からTMSの75年10月号を引っ張り出しました。
 この号の「ターンテーブル」というコラムで昭和20年代から50年頃までの主要なレイアウトの名称リストが載っているのを思い出したからです。

 改めて読み返してみるとどの名前も懐かしい。そして時代によってレイアウトの名称の付け方にも一種の法則というか変遷がある事にも気づかされます。

 個人所有のレイアウトの黎明期といえる昭和20年代から30年代前半にかけてはレイアウトそれ自体が夢の象徴でもあったせいもあってかロマンチックというか誰が見ても架空の名称とわかる(小説のタイトルにでもなりそうな)名称が目立ちます。
 月光鉄道、桜都急行鐡道、楽風鉄道、つくし鉄道、銀河鉄道、シャングリラ鉄道などがその代表格でしょうか。

 時代が下がるにつれて実在の線区にもありそうな名称、あるいは地名を組み合わせた名称が増えていきますが、これはレイアウト自体がそれまでの「ユーザーの夢の国」的な総花的なものから地方や時代設定を明確化したリアル路線に走り始めた時期と一致しています。
 有名な所では摂津鉄道、雲竜寺鉄道、城新鉄道、祖師谷軽便鉄道なんかがありますが、そのほかにも有度山麓鉄道、国鉄香春線、河内鉄道などがこれに入ると思います。○○鉄道××線という様な線区や機関区を特定させるような名称が増え始めるのもこの時期からでしょう。
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 この直後に第一回レイアウトコンテストが開催され、当時普及の端緒に合ったNゲージを中心に多くのレイアウトが誌面を飾る事になります。
 後に出た「359レイアウトinカラー」というTMS別冊でそれらをイッキ見する事ができるのですが(笑)大雑把に見ても全出品作の7割程度、特にナローはほぼ9割がたがこの種のリアル系の名称です。

 最近のTMSなんかはまさにこの種のリアル系名称のオンパレードですね。
 それに反比例してカタカナの名称のレイアウト(ウエスタンコロラド鉄道、エコーヒルライン、LPラインなど)はある時期から外国型レイアウトを除いて減少していきます。

 さて、それとは別に完全なお遊び的というか頓智系のネーミングのレイアウト名というジャンルも存在します。
 
 野呂井鉄道、名奈信野言辺江鉄道、猛毛内鉄道只野里線、我楽多鉄道、雲助鉄道、ヨーク・バリー鉄道などがそれに該当しますが、この種の頓智系は時代が下がるにつれて急速に数を減らしています。これらの残滓を感じるのは水野良太郎氏の鷲津加味鉄道辺りでしょうか。

 おふざけと言えば言えるかもしれませんがこんなユーモアを感じさせるネーミングのレイアウトがもっとあった方が精神衛生上良い感じもします。

 (これに近いというと京急押入線とか国鉄露太本線なんかもそれに入るかもしれませんが、実際のレイアウトのセンスの良さと併せてワタシ的に好きなネーミングだったりします)
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 また上記のどれにも該当しない第4の方向というのもあります。
 明昌鉄道、富博鉄道の様に家族の名前から取った物、モンカルラインの様に製作者の勤務先に因んだもの、D-GRNなどの様に作者の理想でもある著名レイアウトに肖った物などがありますが、こうしたレイアウトそのものの設定とは別の由緒を持つネーミングというのも作者の人生やホビーライフのポリシーを感じさせます。
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 と、こんな風にレイアウトの名称ひとつとってもそこにはドラマがあり、作者のポリシーが伺われるという意味でなかなか奥深い物があります。
 そのうちに「レイアウトの姓名判断」なんてジャンルが登場するのではないでしょうか(笑)

 などと偉そうな御託を並べましたが、がおうさんへのコメントにも書いた様に私自身のレイアウトのネーミングは実にいい加減極まるものです。
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 ミニSLレイアウトの「棚幡線」は開業日が7月7日だったから(それもその年が七夕が梅雨明けだった為に前日になって急遽つけられたものです)ですし、メインレイアウトなんかはレイアウトが「光山市のどこかのモデル化」という設定上「東鼎区竹取坂かいわい」とか「岡村区財木町かいわい」とかになってしまい「なんだこりゃ、鉄道名でなくて地名じゃないか」と作ってから愕然としたり(爆笑)

最近のモジュールに至っては鉄道名どころか線名ですらない「光山駅前」「大町駅前」と来ています(汗)
 この辺は鉄道名や線名よりも地名や住所に拘りを持ってしまう私のへそ曲がりな性癖を反映していると言えなくもありません。

 蛇足ながら過去に発表されたもので個人的に好きなレイアウトの名称(特にネーミングとレイアウトのイメージが近い物)を羅列してこのネタを締めます。
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 本邦鉄道、瑞穂鉄道、新諸国鉄道、摂津鉄道、鴨鹿本線、雲竜寺鉄道、南六甲電軌、国鉄香春線、シャングリラ鉄道、バッキンガムブランチ、八里九里観光鉄道、国鉄西湘線など

 (なお写真は本題と関係ありません)

光山鉄道管理局
 HPです。


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この記事へのコメント

レサレサ
2018年05月02日 22:02
自分の場合、お遊び頓智系なのですが「翻訳」システムでやった結果、あまりそれっぽくないネーミングになりました。

実際制作してTMSに投稿(努力賞でしたが)した『森泉炭鉱鉄道』は、一見普通にありそうなのですが、実は『きかんしゃトーマス』のスカーロイ鉄道のパロディですw
(原作絵本版で「『スカーロイ』とは「森の中の湖」」と解説があるのでこれから採用。もっとも元ネタはナローのスレート鉱山の鉄道ですが、流用しやすいように軌間はナローにせず、蒸気機関車が残存しやすい炭鉱鉄道にしてあります。)
これ以外に鉄コレ改造の電車が走る電気鉄道の駅もトーマスの鉄道から名前をいただいており「法皇町」「黒番門」「潮口」(レイアウト自体は黒番門の車両工場部分以外未製作ですが、電車のサボ名に使用)とそれっぽい名前ですが、それぞれ「Vicarstown」「Crovan's Gate」「Tidmouth」のもじりですw

2018年05月03日 14:34
いつも楽しく拝見しております。
当方のレイアウト、お取り上げいただいてありがとうございます。

たかが名前、されど名前。
名前が付くと愛着も増すもので・・・
私も、押入に置いたから押入線。とはいかにも安直なスタートでしたが、
お陰様で名前の覚えやすさもあって、模型の交友が広がった気がしています。

光山市、も街の名前と言うコンセプトが素晴らしく、楽しく拝見しておりました。

一時期の、NHKの番組でレイアウト作成講座が流行った頃に比べると、新規のレイアウト作者も減ったように思いますが・・・
少しでも多くの方に、レイアウトの楽しさが広まれば嬉しいなと思う今日この頃です。
光山市交通局
2018年05月04日 00:16
>レサレサさん

 そちらもレイアウトの名称に拘りと熟慮を払われているのが感じられますね。
 今回のブログを書いているうちに思ったのですが、名称に限らずそこに何を表現しようとしているかという点でレイアウトも作者の内面の反映になっていますね。

 芸術というほど堅苦しい物でもないにしても「創作」「作物(畑で採れるものと言うばかりでなく昔は創作一般でもこの用語を使っていたようです)」には近い物かもしれませんね。
光山市交通局
2018年05月04日 00:24
>卓さん

コメントありがとうございます。

 先日来ブログやコメントなどを拝見していると名称の決定もレイアウトの愉しみのひとつと認識させられています(それゆえ自分の命名のいい加減さが際立つ結果にもなっていますが汗)

 ひと頃に比べてレイアウトの製作者が減っている感じはありますね。週刊レイアウトなどもひと段落ついていますし、間口を広げるにもなかなかこうした活動が持続しにくい面もあるとおもいます。

 ですがレイアウトの楽しさをアピールするにはまだいろいろな方向性があるとも感じますし、潜在的ニーズもまだあると思えるので今後期待したいですね。