「全国鉱山鉄道」

 今回は書籍ネタでこれまた先日の上京での戦利品です。
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 JTBキャンブックスの「全国鉱山鉄道」をば
 鉄道ファンもJR,国鉄形、或いは大手私鉄あたりに嗜好が向いている内はまあまあ普通に趣味という事で通用しますが、払下げ車のオンパレードの地方私鉄辺りに手を染め始めると病膏蒙への登竜門にとっかかり始めると思います。
 更に進んで貨物専用鉄道とかナローとか、森林鉄道などへ進むにつれて病状は進行し遊園地の構内鉄道とか河川浚渫のトロッコ軌道辺りまで行くと周囲の自分を見る目がそろそろ変わり始めるのではないかと思います。

 (この部分、私自身書いていて相当に偏見が掛かった文章だと思っているので同好の方、どうか気を悪くなさらないように)

 で、それらの行き着く過程、または終着のひとつと思えるのが「鉱山鉄道」と言うジャンルではないかと思います。
 随分と強引な展開ですが一応ここまでが前振りです(笑)

 本書によると日本の鉄道の開祖のひとつに実は鉱山鉄道だったのだそうで(汽笛一声新橋をA-1が離れる3年ほど前に北海道の萱沼炭鉱の軌道が運行していたそうです。但し牛車鉄道ですが)その歴史は日本の鉄道史と同等のキャリアがあった事になります。
 それでいてそれらがある鉱山が大概辺鄙な山の中にある事が多くて目に触れにくい上に、鉱山自体がよほどのマニアでも立ち入りできない環境な事もあって、その存在自体謎の部分が多いとも言えます。

 21世紀の初頭に刊行された本書は、一般人が普通に本屋の店頭で触れる事が出来た数少ない鉱山鉄道の俯瞰本と言えます。
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 ここでは現役、廃線取り混ぜて45の鉱山鉄道が取り上げられていますが、登場する車両たちは鉱山の性質の違いに対応してオーダーメイド同然の扱いで生まれてきただけに同じ形と言うものは殆ど無くどれもこれもユニーク且つ新鮮な物ばかりです。

 強いて共通した特徴を上げるなら「ぎりぎりまで余分な部分をそぎ取った機能性だけでできているかの如き外観」「閉塞性の高い環境なので内燃機よりも電気機関車や蓄電池機関車が多い」「同じ理由でナローよりも更に小ぶりな図体」
 おかげで「運転席と同じ高さにパンタグラフがある」なんてのは当たり前の世界が出現しています。見た目の奇形度、異形度は半端ないのですが、そうするに足るだけの必然性があってそうしているので独特の潔さがあります。
 (かと思うと鉱山鉄道には珍しい「デザイン優先の流線型車両」なんてもの散見されこれはこれで面白いですが)


 とにかく出てくる車両のどれもこれもが「普通では飽き足らない鉄オタのスノビッシュな興味を引く特徴」ばかりのゲテモノ揃い。

 ですが読み進めてゆくと本当にこれが面白いのです。

 模型としても16番スケールで再現するにもZゲージの動力が必要になるのではないかと思える様な代物ばかりですが、何といいますかそれでも作ってみたくなるものばかりです。
 実際、これを買った帰りの電車の中で最後まで読み通してしまいましたが読み終えた時のスカッとした気分はたまらない物がありました。

 おそらく上述のような「機能に合わせてぎりぎりまで切り詰めた魚の骨の様な無骨さ」「特定の目的に特化しているが故の潔さ」と言う部分が最近の鉄道にない一種の解放感を与えてくれたからではないかと思えます。
 (レイアウトなんかやったら下手なナローよりもさらに省スペースなものができそうですねw)
光山鉄道管理局
 HPです。


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