趣味の原点を振り返る55 メルクリンミニクラブに嫉妬した頃(汗)
この趣味を始めた頃の話ですが、あの当時メーカーのカタログ以上に役に立ったのは模型とラジオの別冊、工作ガイドブック(75年度版)でした(写真は翌年に買った77年度版です)
前にも書きましたが、この本は鉄道模型のみならずプラモや電子工作、RCやUコン、果ては参考文献に至るまで模型系のホビーを網羅した総合カタログでして、巻頭には通販の注文書までついてくるという親切設計(笑)
ですからそのゴージャス感たるや半端なものではなかったものです。
が、今回の主題はそこではありません。
鉄道模型についてはHO(16番)、N、ライブスチームも掲載されていましたが、そこで一際異彩を放っていたのがメルクリンミニクラブ。
つまりZゲージだった訳です。
この当時はNに参入していたのは関水金属とトミーの2社だけ(GMは存在していましたが春先の出版である工作ガイドブックには間に合いませんでした。また、学研が新幹線を投入するのはこの年の秋頃です)その2社ですら合わせても機関車が6種類、客車が20系とオハ31系のみ電車は103系だけという状態。
ましてや線路システムは「とりあえず線路もありますよ」といった程度のラインナップ、日本風の建物などは夢のまた夢という状況だった訳です。
(科学教材社「工作ガイドブック77年版」473~475Pより画像引用)
それが本書に取り上げられたミニクラブのラインアップときたら、蒸気、電気、ディーゼル取り混ぜた機関車だけでも7、8種。客車も少なくとも3、4編成が組める位揃えていましたし、貨車に至ってはこの時点で「操重車や日本形のシキに相当する大物車までラインナップされていた」のです。
しかもそのラインアップには実に隙がない。蒸気は小型タンク機を筆頭に亜幹線テンダー機、幹線級の大型機が揃い、客車も古典二軸からローカル客車が2種類にTEE級の特急車までそろっています。このラインナップのセレクトが非常にツボを押さえた物であった事は一目でわかりました。おそらくミニクラブの当時のラインナップなら当時の西ドイツの鉄道風景の7割がたが最低限のラインナップで再現できたのではないかと思います。
当時のNゲージにスハ43系や35系がなかったり、DE10やC58と言ったあらゆるレイアウトに必要な機種がなかったことを考えるとこれはすごい事です。
(同上、476~477Pより引用)
車両でさえそうなのですから線路に至っては通常型に加えてカーブポイントまでありましたし、建物類は「駅舎だけで都会風と田舎風の2種類」あったうえに機関庫や信号所は言うに及ばず一般建物も住宅とビルの2種類が出ていました。
(同上 480~481Pより引用)
特に巧みさを感じるのがその住宅類で、2階建ての家は平屋にも変更可能。ビルの屋上上屋も外して単独の家に使えるという優れものでした。
しかもこの時点で建物用の照明ユニットはもとより街灯までもが複数ラインナップされていたのです。
さらにレイアウト工作を容易にするプレイマットも用意され、基本セットから大レイアウトまでのステップアップも非常に容易(ただしお金があればw)なシステム性を誇りました。
この時点ですらメルクリンのZゲージはそのラインナップやシステム性から言って、当時の日本型のNゲージの二歩も三歩も先をいっていたのです。
後にこのコンセプトに倣ったと思われるTOMIXが登場する訳ですが、そのTOMIXですら75年当時のミニクラブ並みの水準になるまで20年近くかかったと思います。
(カーブポイントが登場するまでという基準ですが)
それを見ていましたから、私にとってはZゲージというのはNの後発というイメージはごく薄く、むしろ当時のNゲージが目指すべき目標と映りました。
翻って、ここ10年ほどの間に登場している日本型のZゲージですがミニクラブに比べてまだまだ感が非常に大きいと感じます。やっている事がどれもこれも現行のNゲージの後追いばかり。優れたお手本があったのに、何故ミニクラブからもっと学ばなかったのか不思議でなりません。
光山鉄道管理局
HPです。
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この記事へのコメント
1970年代半ばの資料をみると,カツミのHOあり,朝日通商のリマ,不二商のメルクリン,関水の9ミリ,ナインスケール,アスターのライブ等々,群雄割拠という感じで面白いです。
1970年代末からは,Nゲージ工業会の設立やエーダイナインの参戦など,Nが急加速という感じを受けますが,それ以前は実にのんびりした印象ですね。そうした中で,メルクリンミニクラブがこれほど進んでいたとは驚くばかりです。
日本のZゲージでは,ロクハンが頑張っているとは思いますが,これだけNが充実している中で,独自性を出すのはなかなか難しいのでしょうね。PRO-Zが続いていれば,もう少し状況が違ったと思いますが・・・。
ProZの開発担当者や責任者と直接話しをしていますが、当然彼らもミニクラブを研究していましたし、ユーザーでもありました。
製品のラインナップも、ミニクラブには見られない、それなりの革新性がありましたが。。。
同時期に発売されたakiaや、その後の、天賞堂、クラウン、さらにProZのブローカーだったロクハンも、Nゲージの単純な延長線上にあった、もしくはあることは、ご指摘の通りで、残念かつ情けない限りです。
遅ればせながらコメントありがとうございます。
メルクリンはそれまで名前くらいしか知らなかった(第一、東北の田舎町では売っている店自体が無かった)ので75年版ガイドブックに出ていたミニクラブのシステム性は衝撃でした。
TOMIXの登場はこの翌年ですが今のNゲージファンとは異なり「Zゲージの水準に追い付くには何年かかるだろう」と思いつつTOMIXに希望を抱いたものです(笑)
Pro-Zも当時は結構衝撃的でした。サイズがどうとか言うよりも「出来合いのレイアウトを丸ごと売る」という事でZゲージの差別化を図る姿勢がです。
そのコンセプトは良かったのですが煮詰めが甘かったのが惜しい気がします。
個人的な印象なのですがPro-Zのコンセプトは後発のどれよりもメルクリン臭さを感じたのは確かです。当初から車や人形もセットのおまけレベルとはいえ、ラインナップされていたのはミニクラブの影響がかなりあったのでしょう。
ただ、同時に煮詰めの甘さも感じてしまったのも確かで、出来合いのレイアウトを売る事で勝負するなら組線路ではできない線路配置、例えば直線を廃し微妙なカーブで構成された「列車の曲がりが魅力的に見える」エンドレスで製品化すれば、少なくとも玩具臭さの拂拭と言う点でNに対する大きなアドバンスになったのではなかったかと思っています。
こんな事を思ったのも六半のフレキシブルレールでエンドレスを組んだレイアウト(みたいなもの)を作ったからなのですが(汗)
あるいは既存のモジュール規格では困難な「高架線と地上線が並走するレイアウト」という行き方もありだったかなと。
線路配置については、緩和曲線の不採用より、トンネルに隠された 平面クロス が衝撃的でした(笑)。
出来合い とは言え、コンパクトさを追求した結果の小径曲線はやむを得ないでしょう。
しかし、セールスポイントのひとつでもある 夜景 をレイアウトに組み込んだことも評価すべきでしょう。
また販売店向けの説明会では、後に販売された2種以外のレイアウトの構想も発表されていました。
死んだ子の歳を数えてもしようがないですが。。。
遅ればせながらコメントありがとうございます。
そう言えばあのレイアウトは珍しい平面8折の線路配置でしたね。気が向けばパーツの差し替えで複線運転も可能と言うのはアイデアだったと思います。
実は地元の中古屋にPro-Zのレイアウトの中古が置いてあるのですが「一部改造」とありフィーダーに手を加えたような説明がありましたからことによると複線運転化の改造をしたのではないかと睨んでいるのですが(笑)
予定品のレイアウトの構想があったというのは今にして思うと惜しまれますね。第一作よりシチュエーションを絞り込んだバージョンアップだったとしたら尚更です。