EB58と「ある機関助士」
先日紹介したカツミ模型店の16番モデル「EB58」ですが、入線後意外なところでこのモデルを見つけました。
今回はそのはなしから。

毎年10月になるとCSのドキュメンタリー系のチャンネルでは鉄道の日に因んで鉄道番組の特集が組まれるのが通例になっていました。
今年もあるかなとか思って番組表をチェックしていたのですが生憎今年はその手の企画は殆ど無し。
BSの民放系で散発的に放映があった位です。
これは今年は不作かなとか思っていたのですが、月末になって邦画の専門チャンネルで鉄道映画の特集が組まれ、やっと渇が癒されました(笑)
そこで放映された中に「ある機関助士」(1963年岩波映画)と言うのがあります。
本作は常磐線を走る急行「みちのく」の水戸~上野間を舞台に、牽引機のC62 22号機と機関助士の勤務と日常を紹介するドキュメンタリー映画です。
その中で助士の回想として鉄道学校の教習シーンがあったのですが、模型を使った信号関係の教習シーンを見ていたら、その中に何か見覚えのある機関車が。

(岩波映画「ある機関助士」より画像引用)
この間中古モデルを入線させたカツミのEB58ではありませんか!(笑)
牽引している二軸のフリー客車も当時のカツミの入門セットの定番だったモデルです。
まさかこんな所でEB58に出会うとは。
・・・とまあ、最初はそれで済んでいたのですが何度か観返しているうちに妙な事に気づきました。
屋根上のパンタグラフが歪んでいるのはまあ、使い過ぎで説明できるのですが、機関車の屋根上機器が変です。
これも使い過ぎで壊れていたのかと思ったのですが別なカットで教習生が屋根をポンとたたいて列車を停めるカットがあり、屋根上機器と思われたのが走行スイッチだったと気づきました。

(岩波映画「ある機関助士」より画像引用)
真横からのカットをよく見ると客車の中に乾電池らしきものまで見えます。
つまりこのEB58、私らが使う様なテツドウモケイと異なる電池駆動式だったのです。

(岩波映画「ある機関助士」より画像引用)
教習シーンを見ると側線から割り込んだ列車が並走する貨物に突っ込むカットがあるのですが、これを直前で停めようとするとレールに電気を流す鉄道模型ならポイントの切り替えで事故を回避できます。ですが運転士の立場からすると機関車の方を操作して列車を停めなければならない訳ですから、列車が単独で走行できる電池式を使っていた様なのです。
(1963年当時は機関車を単独で操作できるメルクリンデジタルもDCCもなかったでしょうし)
ある意味鉄道模型のお宝映像みたいなものでしょうか(笑)
なお、上記の点を差し置いてもこの作品はドキュメンタリー映画、それも鉄道マンの日常勤務を描写した物だけにマニアが外から撮った映画とは異なり機関区の点検風景から事故を想定した停止現示の訓練、或いは新幹線の試作車の走行シーンや機関区内に展示されている事故車らしき蒸機まで、これ特別シーンのオンパレード!
それどころか普通の走行シーンですら、蒸機はもちろん旧国や準急塗装のキハ55系、当時最新型だったキハ81系などが登場しますし、当時は何という事もない風景だったであろう機関区内の描写やら、荷物車からの積み下ろし風景、駅ホーム上の待合客の姿から、通行人の風俗、踏切手前で止まる車のレトロっぷりに至るまでの1960年代前半の国鉄の風景がこれ以上はないと言うくらいの臨場感で描写されます。
これがDVDよりもはるかに高精細なHVレベルの画質で放映されているのでまさに自分もその場に居合わせているかのような気分にさせてくれます。
レイアウト派にとっては「全編お宝映像だけでできている」と言っても良い位の情報量と密度のある画面なので37分の上映時間、一瞬たりとも画面から目を離せないというある意味難儀な、そして空前の記録映画ではないかと思います。

私自身、これを観ていたら無性に「有人踏切」が作りたくなってきました(笑)
余談ですがこの企画では本作のほかに戦前作の「指導物語」を筆頭にサスペンスの「点と線」スペクタクルの「皇帝のいない8月」アニメの「銀河鉄道999」ファンムービーの「すばらしい蒸気機関車」と非常にツボを心得たラインナップで丸一日鉄道映画の魅力に浸れた好企画でした。
光山鉄道管理局
HPです。

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今回はそのはなしから。

毎年10月になるとCSのドキュメンタリー系のチャンネルでは鉄道の日に因んで鉄道番組の特集が組まれるのが通例になっていました。
今年もあるかなとか思って番組表をチェックしていたのですが生憎今年はその手の企画は殆ど無し。
BSの民放系で散発的に放映があった位です。
これは今年は不作かなとか思っていたのですが、月末になって邦画の専門チャンネルで鉄道映画の特集が組まれ、やっと渇が癒されました(笑)
そこで放映された中に「ある機関助士」(1963年岩波映画)と言うのがあります。
本作は常磐線を走る急行「みちのく」の水戸~上野間を舞台に、牽引機のC62 22号機と機関助士の勤務と日常を紹介するドキュメンタリー映画です。
その中で助士の回想として鉄道学校の教習シーンがあったのですが、模型を使った信号関係の教習シーンを見ていたら、その中に何か見覚えのある機関車が。

(岩波映画「ある機関助士」より画像引用)
この間中古モデルを入線させたカツミのEB58ではありませんか!(笑)
牽引している二軸のフリー客車も当時のカツミの入門セットの定番だったモデルです。
まさかこんな所でEB58に出会うとは。
・・・とまあ、最初はそれで済んでいたのですが何度か観返しているうちに妙な事に気づきました。
屋根上のパンタグラフが歪んでいるのはまあ、使い過ぎで説明できるのですが、機関車の屋根上機器が変です。
これも使い過ぎで壊れていたのかと思ったのですが別なカットで教習生が屋根をポンとたたいて列車を停めるカットがあり、屋根上機器と思われたのが走行スイッチだったと気づきました。

(岩波映画「ある機関助士」より画像引用)
真横からのカットをよく見ると客車の中に乾電池らしきものまで見えます。
つまりこのEB58、私らが使う様なテツドウモケイと異なる電池駆動式だったのです。

(岩波映画「ある機関助士」より画像引用)
教習シーンを見ると側線から割り込んだ列車が並走する貨物に突っ込むカットがあるのですが、これを直前で停めようとするとレールに電気を流す鉄道模型ならポイントの切り替えで事故を回避できます。ですが運転士の立場からすると機関車の方を操作して列車を停めなければならない訳ですから、列車が単独で走行できる電池式を使っていた様なのです。
(1963年当時は機関車を単独で操作できるメルクリンデジタルもDCCもなかったでしょうし)
ある意味鉄道模型のお宝映像みたいなものでしょうか(笑)
なお、上記の点を差し置いてもこの作品はドキュメンタリー映画、それも鉄道マンの日常勤務を描写した物だけにマニアが外から撮った映画とは異なり機関区の点検風景から事故を想定した停止現示の訓練、或いは新幹線の試作車の走行シーンや機関区内に展示されている事故車らしき蒸機まで、これ特別シーンのオンパレード!
それどころか普通の走行シーンですら、蒸機はもちろん旧国や準急塗装のキハ55系、当時最新型だったキハ81系などが登場しますし、当時は何という事もない風景だったであろう機関区内の描写やら、荷物車からの積み下ろし風景、駅ホーム上の待合客の姿から、通行人の風俗、踏切手前で止まる車のレトロっぷりに至るまでの1960年代前半の国鉄の風景がこれ以上はないと言うくらいの臨場感で描写されます。
これがDVDよりもはるかに高精細なHVレベルの画質で放映されているのでまさに自分もその場に居合わせているかのような気分にさせてくれます。
レイアウト派にとっては「全編お宝映像だけでできている」と言っても良い位の情報量と密度のある画面なので37分の上映時間、一瞬たりとも画面から目を離せないというある意味難儀な、そして空前の記録映画ではないかと思います。

私自身、これを観ていたら無性に「有人踏切」が作りたくなってきました(笑)
余談ですがこの企画では本作のほかに戦前作の「指導物語」を筆頭にサスペンスの「点と線」スペクタクルの「皇帝のいない8月」アニメの「銀河鉄道999」ファンムービーの「すばらしい蒸気機関車」と非常にツボを心得たラインナップで丸一日鉄道映画の魅力に浸れた好企画でした。
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