水野良太郎氏の訃報に思うこと

昨日のニュースで知りましたが、漫画家の水野良太郎氏が昨月末に御逝去されていたとの由。
ニュースの見出しは「頭の体操の挿絵」となってはいますがこのブログの読者の皆様ならば「TMSのひとこま漫画」「RM MODELSのエッセイ」の方がお馴染みと思います。
カッパブックスの「頭の体操」(多胡輝著 光文社)は昭和40年代から連綿と続いていたベストセラーで当時他所にお邪魔するとそこの書棚の中に頭の体操シリーズのどれか、或いは全部が並んでいるのを目にしたほど普及していたシリーズです。かくいう私も親が読んでいたのを横取りする形で第5集位までは読んでいた記憶があります。
実はその時期は私がTMSを読みだす直前の時期に当たっていたので初めて読んだTMSで氏の漫画に初めて触れた時「頭の体操のあの人が鉄道模型の漫画を描いている」と言うのは結構な衝撃でした(笑)
氏のイラストは頭の体操以外にもワニブックスの豆本のクイズ系でもお目に掛かったのですがそちらの方は子供には目の毒(笑)になりそうなエロ系イラストが多かったのが印象的でした。思えば氏は頭の体操やTMS等の鉄道模型系ではエッチ系の題材は意識して避けておられたようです。

(機芸出版社「鉄道模型趣味」1976年8月号55Pより画像引用)
とかいいつつTMSで水野氏の漫画特集が出た時にはこんな表紙でしたが。

(学習研究社「人間びっくり珍情報」60Pより画像引用)
鉄道模型系ですとかつては「自宅の一室を占拠したアメリカ型レイアウト」晩年は年齢相応に扱いやすさと安定した走行に意を用いた「鷲津加美鉄道」が有名でした。鉄道模型の入門書もいくつか上梓されていましたが、従来の入門書にない、一般書として通用する語り口は他にない美点であり一般人から見ても「読むだけで面白い」という氏の資質が最もよく発揮された部分ではないかと思います。
この記事の冒頭にある本もその中の一冊でしたが近いうちにこのブログで紹介しようと思っていた矢先の今回の訃報でした。
晩年はTMSやRM MODELで時に辛辣な事も書かれていて少し違和感があったのですが、そのずっと以前に「蒸気機関車」ではそれ以上に辛辣な記事を書かれていた(鉄道模型専門誌でなかったせいもあって、私が存在を知ったのもごく最近ですが)ので一般読者やビギナーには敢えて抑えた書き方をされていたのかと納得した覚えもあったりします。
ここ数年、私がこの趣味に入った時に専門誌で活躍されていたり心ときめかせる記事を上げられていた方々の訃報が多いですが、水野氏の逝去でまた寂寥感を感じています。
謹んで故人の冥福をお祈り致します。
光山鉄道管理局
HPです。昨日「車両紹介」の項一部追加しました。

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この記事へのコメント
(鉄道模型以外だとハヤカワSFで「キャプテンフューチャー」の挿絵を描いていたのも覚えていますが、うっかり本文を見落としたのかグラックというロボットの頭をでかく描くというミスをやって、あとの方の「ゴムカバーで人間に偽装」展開で無理が出たことが…さすがにこの偽装中の挿絵はありませんでしたがw)
個人的にTMSの記事だと「この線路プランから幾通りの情景が作れるか(95年3月号)」が今でもレイアウトづくりの師です。
「フライシュマンのHO基本セットABCD(複線で内外に引き込み線1本づつ、内外渡り線1つづつ)だけ使って同じ線路配置でいろいろ考える」というものなのですが、これをベースに「Nでどれだけ線路配置を簡略化してコンパクト化できるか」という題材で単線に引き込み線1本ぐらいで今でも時々あれこれ考えています。
(実現するかは別ですが・・・)
「線路プランから~」の記事は廣済堂の「鉄道模型入門」のレイアウトプラン集の発展形ですね。
イラストを駆使してレイアウトの工程や予想図を伝えるというのは水野氏の真骨頂とも言える部分でこれでレイアウトに憧れを持ったのは私たちだけではなかったと思います。
実を言いますとキャプテンフューチャーの挿絵の件は恥ずかしながら今回の訃報で初めて知った次第です(大体私のイメージする「キャプテンフューチャー」はNHKでやった東映動画のアニメでしたから汗)
これが水野氏のイラスト起点だとすると、TMSの漫画との絵柄の相違を考えあわせてその後の精進で当初のバター味に徐々にしょうゆ風味を加えてアメコミとも和製マンガとも異なる、水野氏独特のイラストが完成していったようにも思えます。