鉄道ミステリとNゲージ30「下り終電車」

 これまで車両やストラクチャーと言ったアイテム中心に書いてきた「鉄道ミステリとNゲージ」ネタ。
 そろそろ玉数も少なくなっていますし、レイアウトや線路なども取り入れつつもう少し続けてみようかと思います。
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 今回はカッパノベルズ版「下りはつかり」所収 坪田宏作の「下り終電車」
(本作は現在著作権フリーな筈ですが青空文庫をはじめWEB文庫ではまだ上がっていないようです。ですから光文社文庫版の「下りはつかり」を探して読むのが最も楽かと思います)
 本作はとある架空の地方私鉄を舞台に、ある疑獄事件の証人であった男の轢殺死体の謎を追う短編です。

 死体の発見状況から轢断したのはその私鉄の下りの終電車以外考えられず、しかもその列車には乗客として重要容疑者であるその私鉄の社長が乗っていたという鉄壁のアリバイ!
 しかし一方で被害者の息子から依頼を受けた私立探偵は調査の過程で、運転士がそのような死体を見ておらず、車両自体にも轢断の痕跡が残っていない事に目を付ける。

 一体被害者の男に何が起こったのか、犯人の仕組んだトリックは!?


 と大雑把にあらすじを書くとこうなります。
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(光文社カッパノベルズ「下りはつかり」211Pより引用)
 実は本作の特徴は発見現場周辺の鉄道の線路配置がトリックの種になっています。
 ですので文中にそれらの地図も付属していますが、ネタバレを避けつつ書くなら何といいますか「これ、レイアウトでやってみたい」と思うようなこじんまりとしたポイントToポイント、適度にカーブや勾配もありますし本当にレイアウト臭いのです。
 (まあトリックのために作者の頭から産みだされた架空の線路ですがw)

 因みに前回紹介の「天空の魔神」と異なり、本作のトリックは理論上はNゲージで再現可能です(別に16番でもZゲージでも可。スペースさえあればお座敷運転でもできます)
 但し実物の鉄道でこれが出来るかと言うと、現在はもちろん恐らく当時でもほぼ不可能だと思います。
  この作品は読者と推理比べをするのが目的でないので、読者は「ひたすら探偵の語るトリック解明にお付き合いさせられる」と言う難点がありますが上記のような下心のある人が読むと結構楽しめます。


 犯人は大体皆さんのご想像どおりですが(笑)トリックとは別にラストで語られる犯人の悪辣さはアンソロジーの中でも際立っていまして読者が全く共感できないその人物像は、いまだに私の中で強い印象を残します。
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 本作の舞台は前述の通り架空の地方私鉄なのですがそれに合致しそうな車両と言うと「鉄コレの富井電鉄の車両」なんかが似合いそうですね
(無理やりNゲージにこじつけました笑)

光山鉄道管理局
 HPです。


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