「Nゲージプラス」を読んで感じたこと
先日入手した古本から
イカロス出版の「Nゲージ+02 飾る・つくる・走らせる」
実は最近まで本書の存在を知らなかったのですが近所のブック●フに並んでいるのを見つけて手に入れたものです。
一応本書は体裁上はNゲージ入門書のジャンルに入る一冊ではないかと思いますが、その趣は従来私が読んできた入門書とは一線を画したものだと思います。
それを一言で言うなら「コレクションとしてのNゲージ(鉄道模型)」の主流化。
最近、ツイッターのコメントなんかで「テツドウモケイの玩具化」と言うキーワードで最近のこの趣味の変化が語られているのを見る機会があり興味深く拝見したばかりでした。
Oゲージや16番の時代までは従来、鉄道模型ファンと言えばほぼ8割がたかそれ以上が「工作ファン」の事を指していたと思います。
それは当時の専門誌の記事の配分や入門書などの構成を見ても明らかですが、鉄道模型のコレクターと言うのは余程のお金持ちか相当のマニアかのどちらかである事が多く、ファン全体の中では少数派だったと思います。
(但し業界への金銭的貢献度は工作派のそれに反比例して高かったとは思いますが)
その風向きが変わってきたのはプラ量産品としてのNゲージの登場と台頭が大きく影響していると思います。
そのNにしても当初はレイアウトの工作に比重が置かれ、コレクションを語れるほどにはラインナップがなかったという事情もありました。
恐らくですが「コレクションとしてのNゲージ」が意識され始めたのはKATO(当時の「関水金属」)が153系のリリースに合わせてある程度の編成が収まる規格型のブックケースを出した辺りからではないかと思います。
それまでばら買いして好みの編成を作ると言う買われ方だったNゲージがこれをきっかけに「ある程度の編成物をブックケースごと買う」と言うベクトルに変わった事でコレクションの重要な要素のひとつである「整理がしやすい」条件を満たしたこと、プラ量産品ゆえの安価さも手伝って鉄道模型のコレクションが非常に手軽になってきた事がこの変化の背景にあったと考えています。
ですから上記のツイッターのやり取りにあった「テツドウモケイの玩具化」というのはむしろ「テツドウモケイのコレクターズアイテム化」と言い換えた方がより適切ではないかと。
(玩具だったらある程度遊び倒せる位の耐久性や簡素化が必須ですが、今のNゲージはその条件を満たしているでしょうか?)
その変化を入門書と言う形で端的に示したのが本書ではないかと思います。
「同一形式のメーカー毎に異なるディテールの徹底比較」「編成を組むときのつなぎ方を極める」「移ろいゆく国鉄車両モデルコレクション」「コレクションを生かすNゲージ車両活用術」「形式別蒸気機関車モデルカタログ」etc。
本書で特集されているこれらの項目は従来の工作派の入門書には殆どなかったか、あるいは無視されてきた部分だと思います。
工作や走行の項目もあるにはありますが付属パーツでディテールアップ、走行系のメンテナンスなどコレクションのそれに比べると明らかに従の印象があります。
少なくとも本書のメインユーザーにはフルスクラッチの自作とか、ハンダ付けを駆使したブラスモデル工作と言うのは殆ど眼中にないでしょう。
これが良い事かどうかは私個人レベルで判断できかねる部分なのですが、こうした本が同業他誌に比べるとはるかに一般書店で手に入りやすいという事実もまた確かです。
ファンのすそ野が広がっている事は実感するものの、従来の工作派にとってこれはあまり面白くない事かもしれません。
その辺りの事についてはいずれ項を改めて考察してみたいと思います。
(本文の写真は本題とは関係ありません)
光山鉄道管理局
HPです。
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イカロス出版の「Nゲージ+02 飾る・つくる・走らせる」
実は最近まで本書の存在を知らなかったのですが近所のブック●フに並んでいるのを見つけて手に入れたものです。
一応本書は体裁上はNゲージ入門書のジャンルに入る一冊ではないかと思いますが、その趣は従来私が読んできた入門書とは一線を画したものだと思います。
それを一言で言うなら「コレクションとしてのNゲージ(鉄道模型)」の主流化。
最近、ツイッターのコメントなんかで「テツドウモケイの玩具化」と言うキーワードで最近のこの趣味の変化が語られているのを見る機会があり興味深く拝見したばかりでした。
Oゲージや16番の時代までは従来、鉄道模型ファンと言えばほぼ8割がたかそれ以上が「工作ファン」の事を指していたと思います。
それは当時の専門誌の記事の配分や入門書などの構成を見ても明らかですが、鉄道模型のコレクターと言うのは余程のお金持ちか相当のマニアかのどちらかである事が多く、ファン全体の中では少数派だったと思います。
(但し業界への金銭的貢献度は工作派のそれに反比例して高かったとは思いますが)
その風向きが変わってきたのはプラ量産品としてのNゲージの登場と台頭が大きく影響していると思います。
そのNにしても当初はレイアウトの工作に比重が置かれ、コレクションを語れるほどにはラインナップがなかったという事情もありました。
恐らくですが「コレクションとしてのNゲージ」が意識され始めたのはKATO(当時の「関水金属」)が153系のリリースに合わせてある程度の編成が収まる規格型のブックケースを出した辺りからではないかと思います。
それまでばら買いして好みの編成を作ると言う買われ方だったNゲージがこれをきっかけに「ある程度の編成物をブックケースごと買う」と言うベクトルに変わった事でコレクションの重要な要素のひとつである「整理がしやすい」条件を満たしたこと、プラ量産品ゆえの安価さも手伝って鉄道模型のコレクションが非常に手軽になってきた事がこの変化の背景にあったと考えています。
ですから上記のツイッターのやり取りにあった「テツドウモケイの玩具化」というのはむしろ「テツドウモケイのコレクターズアイテム化」と言い換えた方がより適切ではないかと。
(玩具だったらある程度遊び倒せる位の耐久性や簡素化が必須ですが、今のNゲージはその条件を満たしているでしょうか?)
その変化を入門書と言う形で端的に示したのが本書ではないかと思います。
「同一形式のメーカー毎に異なるディテールの徹底比較」「編成を組むときのつなぎ方を極める」「移ろいゆく国鉄車両モデルコレクション」「コレクションを生かすNゲージ車両活用術」「形式別蒸気機関車モデルカタログ」etc。
本書で特集されているこれらの項目は従来の工作派の入門書には殆どなかったか、あるいは無視されてきた部分だと思います。
工作や走行の項目もあるにはありますが付属パーツでディテールアップ、走行系のメンテナンスなどコレクションのそれに比べると明らかに従の印象があります。
少なくとも本書のメインユーザーにはフルスクラッチの自作とか、ハンダ付けを駆使したブラスモデル工作と言うのは殆ど眼中にないでしょう。
これが良い事かどうかは私個人レベルで判断できかねる部分なのですが、こうした本が同業他誌に比べるとはるかに一般書店で手に入りやすいという事実もまた確かです。
ファンのすそ野が広がっている事は実感するものの、従来の工作派にとってこれはあまり面白くない事かもしれません。
その辺りの事についてはいずれ項を改めて考察してみたいと思います。
(本文の写真は本題とは関係ありません)
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この記事へのコメント
返信が遅くなりすみませんでした。
この題材は以前にも考察した事があるのですが、今回考えをまとめようとしても前回と違う結論が出るわけでなし、さてどう書いた物かと思案中です(汗)
コレクター狙いの商品展開とか、いわゆる転売屋問題に象徴される販売絡みのトラブルなどを聞かされるたびManicさんの持っているであろう危惧と同じものを感じさせられます。
尤も、だからモデラーの方向性が健全かと言うと必ずしもそうでもない様な実例も少なからず聞かされる事もあるので、その辺も含めて考えてみたいと思っています。
最初の頃は「電車なんて固定編成だし」と非電化の貨物列車を目指してたのですが、宮下洋一氏の『地鉄電車』に影響受けてあれこれ改造(主に塗装変更)して、いつしかケースがいっぱいに…