「読むテツドウモケイ」のはなし・2
先日の「読む鉄道模型のはなし」の続きです。
今回は前回とは違ったベクトルから書いてみようと思います。

前回紹介した水野良太郎氏の本が出たのは今から40年以上前と言うのは既に書きましたが、実はこの時点でも鉄道模型の専門書はTMS以降の物だけとっても既に30年の歴史を持っていました。
今だと更に40年分は上乗せされましたから(変なたとえですが)「TMS創刊時に生まれた赤ちゃんが今は後期高齢者目前の年齢」と言うほどの歴史を刻んできたことになります。
その70年間にはOゲージから16番ゲージ、そしてNゲージへと言う主役交代劇が何度かありましたし、3線交流式から2線直流式へ、ハンドメイドの金属模型からプラ量産模型へ更にはレーザーカッターや3Dプリンタの登場による「同人誌的な少量多品種のマニアック路線キットへと言った変遷もありました。
ここ30年位の大きな変化はNゲージの普及が引き金となった(と私が勝手に思っている)「工作派とは異質なコレクター派の増加」とネットの普及に伴う「ファンの個人レベルでの情報・意見の発信の発言力の増大」と言うのがあると思います。
そうした変化、変遷が激しいだけに専門誌や書籍の内容もそれらを反映して時には緩やかに、時には急激に変わってきたと。
(もちろん量的な面でもこの間にかなりの書籍がリリースされてきてもいますが)

そうした時代の変化を90年代半ばに「作るコレクターの目線」で俯瞰して見せた「鉄道模型考古学」が登場したのは、そのタイミングと言い一つのターニングポイントとなったと思います。
それは「作る」とも「集める」とも違う「個々の製品を通して歴史を俯瞰する」と言う視点から鉄道模型を語り得る最初の本の登場とも言えるものでした。
そしてそれは同時に「読むだけの鉄道模型」がただ読み飛ばすだけに留まらない「テツドウモケイを歴史研究の対象として楽しむ(笑)」と言う第3の方向性を持ちえるようになった瞬間でもあったと思います。
私自身、趣味の中断時期にこの「考古学」に出会った意味は大きかったと思います。当時は模型に触れても居ない時期だったにも拘らず本書を読む事で「昔の模型を思いだし、思い出と照らし合わせて考察する」と言う楽しみ方に目覚めたのですから。
実際、モケイ自体に殆ど触っていなかった時期なのにこの本だけはそれこそボロボロになるまで読んだ記憶があります。

前述の様に鉄道模型の本は既にそれ自体が70年以上の歴史を持つジャンルになりました。
昔よりも古本屋新刊書の入手が容易になりましたし「鉄道模型本それ自体を集めて楽しむ、研究する」と言う方向性も大いにありだなと言える環境になってきたと思います。
しかも今はネットでそうした研究成果を発信し、かつそれらを同好の士同士で共有する事も可能ですし感想や考察などもダイレクトに得られますから凄い時代になったと思います。
ここに来てようやく「読む鉄道模型」の意義のひとつが認識されやすくなってきたと言うのは言えるのではないでしょうか。
光山鉄道管理局
HPです。「その他」の項一部更新しました

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今回は前回とは違ったベクトルから書いてみようと思います。

前回紹介した水野良太郎氏の本が出たのは今から40年以上前と言うのは既に書きましたが、実はこの時点でも鉄道模型の専門書はTMS以降の物だけとっても既に30年の歴史を持っていました。
今だと更に40年分は上乗せされましたから(変なたとえですが)「TMS創刊時に生まれた赤ちゃんが今は後期高齢者目前の年齢」と言うほどの歴史を刻んできたことになります。
その70年間にはOゲージから16番ゲージ、そしてNゲージへと言う主役交代劇が何度かありましたし、3線交流式から2線直流式へ、ハンドメイドの金属模型からプラ量産模型へ更にはレーザーカッターや3Dプリンタの登場による「同人誌的な少量多品種のマニアック路線キットへと言った変遷もありました。
ここ30年位の大きな変化はNゲージの普及が引き金となった(と私が勝手に思っている)「工作派とは異質なコレクター派の増加」とネットの普及に伴う「ファンの個人レベルでの情報・意見の発信の発言力の増大」と言うのがあると思います。
そうした変化、変遷が激しいだけに専門誌や書籍の内容もそれらを反映して時には緩やかに、時には急激に変わってきたと。
(もちろん量的な面でもこの間にかなりの書籍がリリースされてきてもいますが)

そうした時代の変化を90年代半ばに「作るコレクターの目線」で俯瞰して見せた「鉄道模型考古学」が登場したのは、そのタイミングと言い一つのターニングポイントとなったと思います。
それは「作る」とも「集める」とも違う「個々の製品を通して歴史を俯瞰する」と言う視点から鉄道模型を語り得る最初の本の登場とも言えるものでした。
そしてそれは同時に「読むだけの鉄道模型」がただ読み飛ばすだけに留まらない「テツドウモケイを歴史研究の対象として楽しむ(笑)」と言う第3の方向性を持ちえるようになった瞬間でもあったと思います。
私自身、趣味の中断時期にこの「考古学」に出会った意味は大きかったと思います。当時は模型に触れても居ない時期だったにも拘らず本書を読む事で「昔の模型を思いだし、思い出と照らし合わせて考察する」と言う楽しみ方に目覚めたのですから。
実際、モケイ自体に殆ど触っていなかった時期なのにこの本だけはそれこそボロボロになるまで読んだ記憶があります。

前述の様に鉄道模型の本は既にそれ自体が70年以上の歴史を持つジャンルになりました。
昔よりも古本屋新刊書の入手が容易になりましたし「鉄道模型本それ自体を集めて楽しむ、研究する」と言う方向性も大いにありだなと言える環境になってきたと思います。
しかも今はネットでそうした研究成果を発信し、かつそれらを同好の士同士で共有する事も可能ですし感想や考察などもダイレクトに得られますから凄い時代になったと思います。
ここに来てようやく「読む鉄道模型」の意義のひとつが認識されやすくなってきたと言うのは言えるのではないでしょうか。
光山鉄道管理局
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この記事へのコメント
前回書かれていた
>今回の論旨と矛盾する
というのは、「読むだけの鉄道模型」の事ですか?
歴史を辿る、というのはそれ自体が各分野の需要なカテゴリーの一つですね、例えば科学史、技術史、経済史、思想史、Etc。
なので特に矛盾するとは思いませんが?
大人の為の模型図鑑という位置付けの本ではないでしょうか。
ただ、一つだけ残念なのは紹介されてる車両が機関車に偏っていることです。
尤も、私は機関車メインで楽しんでますから大きな問題ではありませんでしたが…
今回の記事に関しては「手を使う趣味としての鉄道模型」という点からすると少し引っ掛かりを感じていた部分ではあります。
eltonjohnさんそう言って頂ければ助かりますが、まだ次回以降のはなしでも少し引っ掛かりがあるかもしれません。
それは置いておいて、
従来個別に「作る」「走らせる」「集める」だけで精いっぱいだった段階からそれらの経緯自体を「読む事」で独自に考察出来る位に鉄道模型の趣味の世界が成熟してきた。
その事を私に実感させたのが上記の本たちでした。
その意味では多少は鉄道模型も大人になったのかなという気はします。
>大人の為の模型図鑑
いい例えですね。本書はただ読んでいても引き込まれる吸引力を持つ良書だと思います。
なお、機関車に偏っているという点ですが、著者が変わった続巻の「新鉄道模型考古学」及びその「2」は電車、気動車、客車がメインになっています。これはこれで面白いのですが、掲載誌のストックから言ってすぐにでも出そうに見えた「3」が出ないのが惜しいです。
私も鉄道模型を休業していた時期がありますので、その時に出ていたのかも知れませんね。
ところで鉄道模型考古学、久々に読んでみたくなり、地元の書店に行ってみたのですが、何処にもありませんでした。
単に品切れなら気長に待てば良いですが、廃刊になってるなら残念です。
図書館などでも探してみます。
鉄道模型考古学ですが後に再販、および増補改訂版が出ています。
特に後者は「もともとカラーだった掲載写真を改めてカラーで掲載し直した」という文字通りの決定版です。
これらは再販が比較的最近だったので大きな本屋さんにはまだあると思います(実は私も2,3年前にジュ●ク堂で購入しました)
確認はしていませんが事によるとアマゾンでも買えるかもしれません。