8620と「蒸気機関車と女」

 今回は数年前に上げた記事の増補再録です。
 
 数年前CSで放映された「特別機動捜査隊」(昭和36年~52年 NET 東映)の一篇から。
 現在「相棒」などが放映されているテレ朝水曜夜の刑事もの枠で最初に放映され、15年半に渡って放映された刑事ドラマの金字塔的作品です
 (余談ながら同枠では後番組の「特捜最前線」をはじめ「はぐれ刑事純情派」「相棒」などの長寿作を輩出しています)

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 このブログで40年以上前の刑事ドラマを取り上げたのはタイトルがずばり「蒸気機関車と女」だったからです。
 「蒸気機関車『の』」ではなく「蒸気機関車『と』」と書いている辺りに製作者のこだわりを感じるのは穿ち過ぎでしょうか。

 ストーリーは数か月前にSL撮影に来て失踪した女性と、東京でのやくざ者の撲殺のふたつの事件を巡り元機関助士と元機関士の娘の逃避行と捜査班の真相追求を軸に進行する、お話としてはごくありきたりなものです。

 ですが私が本作で特に注目したのがドラマの舞台。
 この話では8620の三重連が華やかりし頃の花輪線、竜ケ森周辺が主要な舞台になっています。
 私の故郷では奥中山と並ぶSL撮影の名所だっただけにそこを舞台としたドラマというだけでも十二分に嬉しい物があります。
 しかも季節は冬の積雪期。

 雪煙を巻き上げながら画面を通過する8620の走行風景はドラマの一場面だけにするには勿体ないほど様になっていて物凄く惹かれました。
 又、当時の竜ケ森駅をはじめとする周辺風景も今となっては資料的価値の高い映像ではないかと思います。
 そのほか刑事の聞き込みで模型でのリニアモーターカーの実験風景やら万世橋時代の交通博物館が出てきたり、SLファンのカップルが乗車するのがこれまた今はもう見られない「ED75の重連が牽引する雪まぶれの旧客列車」だったりとかもうれしいポイントではあります。

 セットの都合からか「旧客の室内にナロネ21表記のデッキが繋がっていたり」するのですが(爆)これも当時の撮影所に様々な車内セットが用意されていた事を伺わせる意味では貴重でしょう。
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 さて、SLブームのさなかの番組だけあって本作の冒頭やクライマックス直前には当然の様に「撮影や録音に居並ぶSLファン」の姿が登場します。
 ですがその比率が「男女がほぼ半々」な上に殆どが「スキーウェア姿」
 しかも「線路沿いのかなりすれすれの位置まで接近する」という今なら顰蹙物の描写が続出していたのが目を引きますし、現在では絶滅状態の「デンスケ片手に通過音を録音」という風俗も視認できたりします。

 尤も本編ドラマでも「8620の3重連が通過中に刑事と容疑者が線路すれすれで追っかけっこしていたり」する、今だったらまず撮影許可がでそうにないクライマックスがあったりしますが(笑)

 あの近辺は八幡平をはじめ当の竜ケ森にもスキー場がありましたから「スキーのついで」に撮影に来ていたとも解釈できそうですが、ここは当時の「鉄道マニアの夢の世界の映像化」と思った方がしっくり来る気がします。
 いくら当時がSLブームだったとはいえここまで「鉄女」が多かったとは到底思えません(笑)

 その他にも失踪した女性と同伴していた男の上司がこれまた鉄道ファンで「庭に16番の組み立て線路を敷いてモデルを走らせ、聞き込みに来た刑事の質問そっちのけで機関車の魅力を語り続ける」ところとか、容疑者の機関助手が所属している鉄道クラブが「4110の保存運動」を掲げつつ昼間っから集団で8ミリ映画の上映会に籠っていたりする場面など、この番組でも鉄道マニアを微妙に変わり者扱いしている描写は散見されます。
 東映の場合は過去にも鉄道映画の実績がある上にテレビでも「JNR公安36号(のちに「鉄道公安36号」と改題)という人気作があったので他社に比べて鉄道関連の描写は一頭とびぬけた印象がありますが、鉄道ファンそのものの描写は他社に比べればましなレベルとはいえまだまだブレを感じます。

 さて、ここまで書いたらお分かりの向きもあると思いますが、いよいよNゲージモデルとしては決定版と思われるKATOの8620がいよいよリリースです。
 それもこのドラマと同じ「花輪線の3重連を再現できる製品構成」で!
 もちろん速攻で予約しました(汗)

 最初にこの記事を書いたときには8620のリリースを待望しながら花輪線の仕様が第一弾に来るとは思わなかったですからこんな時が来るとはまったく感無量です(笑)
 とはいえ入荷してもこちらの都合で入手は少し先になりそうですが。

光山鉄道管理局
 HPです。


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