モデラーとコレクター、そして運転派それぞれの観点から感じること

 先日製作したワールド工芸のTMC400Aの工作中にふと思った事から。
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 今回のワールド工芸TMC400Aですが細密感は全く大したものだと思います。
 走行性はスローが効きにくいのが惜しいですが、まあわたし的には許容範囲です。

 ですが、これを組み立ててみると、ただのモーターカーなのに思った以上の手間がかかりました。
 シャシやボンネットのそこここに0・5ミリの穴をあけてエッチングから切り出した各パーツを取り付ける工程がきつかったのは確かです。

 で、出来上がったTMCですがこの種のBタイプのロコの中でもずば抜けた細密感があります。
 一方で動力は意外と豪快さんの構造と相俟ってスローがほとんど効かず割合迫力のある走りを見せますが、まあ、これもいい方でしょう。

 ただ、このモデルを手に取って見てふと感じたことがあります。
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 小さい車体にフルに近いディテーリングが施されたこのモデル、レイアウトで常用するには少し繊細過ぎる気がしたのです。
 ちょっと手に取っただけでサイドの手すりが倒れたりとか、ステップが落ちてしまいそうになるとかと冷や汗もののシチュエーションが試運転の段階から少なからずあって、レールに載せるのにも神経を使いました。

 ですがこのTMC400Aはモーターカーです。
 レイアウトの上で走らせる前提だとこの種の機関車はかなり高頻度で活躍する機関車になりますから、ちょっと手に取っただけでディテーリングパーツが落ちたり歪んだりするような繊細さが却って邪魔になる事もあるのではないだろうかと思えました。
 こんな感想が出てくる事自体、私自身少し意外でしたが小レイアウトで主力かそれに近い活躍をさせるのであればそこまでの細密さは要らないのではないかという気はします。
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 小型の機関車であることを考えればもう少しスローが効いて欲しいと思いますし、そもそもこうした小型機関車でそういう走りを期待するならNよりも寧ろ16番かHO以上のサイズの方が向いていると思えます。
 
 以上の感想は「レイアウトでの走行派」としての視点から見た場合のはなしです。

 ですがそれだけが正しいかというとそんな事もない。
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 実際、このキットの組み立てには結構手間が掛かりましたが、それでいて「作っているのが楽しい」という感覚も他のイージーキットよりも濃密に感じました。
 今回のTMC400Aに関する限り、少なくとも単調な組み立てではない「何かを作っている実感」を感じさせるキットだったのは間違いありません。
 運転派にはどうでもいい事かもしれない車体の細密化にしても工作派からすれば、キットに入っているパーツは「できるなら全部付けたい!」という気分になるでしょうし。
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 こちらはこちらで「モデラー派」の視点と言えます。

 また、完成させた本キットをどこかに飾るなら、今回程度の細密さがあっても良いかもしれません。
 このサイズの機関車の中では(少なくとも他社のオールプラの完成品に比べれば)ずば抜けた細密感と凝縮感のあるモデルなのも確かですし。
 (ですがこれだって本気で飾るなら16番以上のサイズの方が以下略)
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 これは「ディスプレイ派」か「コレクター」的な視点といえます。

 現在のテツドウモケイはある評論家の言を借りるなら「走らせる事もできるし、飾る事もできる」という点に特徴があるのだそうです(まあ、現実は逆に「飾っているけど走らせることもできる」だと思いますが)これは以前別の投稿で触れましたが、他のジャンルの模型に比べて鉄道模型自体に鵺的な性格が強いという事でもあります。

 鵺であるがゆえに「絶対にこうでなければならない」と言ったいわゆる「王道」が存在しにくく、言い換えれば「どの視点も正しい」と言う事でもあります。そして現実には上記の3つの要素は大概のファンの中に複合して存在し続けている要素ではないかと思います(その比率に温度差があるにせよ)
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 つまり、同じモデルであっても異なる観点で観れば傑作にもなりうるし駄目モデルにも映ってしまうという事でもあります。
 結局のところ、モデルの評価基準なんていうのは人それぞれ。自分の見方だけが正しいという事もそうそう無いという事なのでしょうね。
 同じ事はブランドに関してもいえることではないでしょうか。

 今回、このTMC400Aを作って走らせ、また飾りもしてみたのですが、その結果は「同じモデルであっても視点を変えると相当に違った感想が得られる」ということを自分自身で感じられたのが今回面白く、また考えさせられた点だったと思います。

光山鉄道管理局
 HPです。


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