マイクロエースの「ジオラマレール」に思うこと
先日紹介したマイクロエースの線路セットのチラシから。

当時、車両についてはKATOやTOMIXを凌ぐ勢いでラインアップを拡充させていたマイクロエースですが線路についてはこれといったものがありませんでした。精々が外国型Cタンクと貨車の短編成の基本セットに付属していた「黒い整形色の道床つきレールのエンドレス」くらいだったと思います。

そんな折に突然変異的にリリースされたのが「ジオラマレールシリーズ」でした。とは言え私の近所の模型屋さんでは実物が並んでいるのをみた事がなく、いまだにジオラマレールの実物というのを見た事がなかったりします。
今回、架線柱、柵のセットに付属していたチラシで初めて大まかなアウトラインがわかった次第です。このチラシがまた(色々な意味で)面白いのなんのって(笑)
このシリーズは線路に線路際のシーナリィがついた独特な形状。これらを組み合わせて手軽にレイアウトが組めることを売りにしていた様です。基本セットは内回りの単線エンドレスの内側に情景マットが付き、増設用の外周りエンドレスでは線路の外側にマットがついてきるので複線にすると線路の両側にシーナリィが付いたモジュールレイアウト風の情景が出現するという寸法です。
よく見ると直線部に川と鉄橋のついたのまであって、意外にレイアウトっぽいものにはなっています。
まあ、そこまでは素直に面白いと思えるのですが、このシステム、立体交差はもとよりポイントひとつないので著しく拡張性に欠けるのが難点です。
そのくせ複線用に対応している直角クロスレールのオプションがあって「平面交差の8の字」には対応しているのが面白い、というか妙に中途半端です。

ちらしにはオプションパーツを組み合わせたレイアウトプランが掲載されているのですが、スロットレーシングのコースを連想させる妙に幾何学的なトラックプランで鉄道模型のレイアウトとしての魅力に欠けるのが何とも。
内側のカーブはR281、外側はR321で複線間隔は40ミリという事になり37ミリのTOMIXよりも間延びした複線の様です。
当時でもこれに注目していた鉄道模型のファンはそういなかった様な気がしますが、実際それ以上のシリーズ展開がされる訳でもなく何となくひっそりと消えた様な印象があります。
後にこの方法を別なフォーマットで発展させたのはZゲージのマルイProーZのモジュールだったと思いますが、こちらも大して拡張性を発揮できないまま消えた様です。
シーナリィ付き線路という発想は悪くなかったと思うのですが、それでもポイントや立体交差を含めた拡張性が必要だったのではないかと思います。
ビギナーでもポイントや高架線はやってみたい夢のひとつですが、製品でそれらの夢が提示されなかった点マイクロエースは線路システムに関する限りに詰めが甘かった気がしてなりません。
実際、私もパーツのセットを見つけて久しぶりに思い出した様な次第です。
お値段もエンドレスの基本セットで2万円弱。複線だと3万6千円程度と割高感も結構なものです。
これまでにもエーダイやエンドウなど独自の規格のレールシステムで市場に参入したメーカーはありましたが、どれもがポイントこそ設定されていたものの立体交差まで展開する事が出来ずに消えてしまいました。ですが、マイクロのジオラマレールの場合は他メーカーのそれとは異なり「単に列車を気軽に走らせられるお座敷システム」以上の事は考えていなかった様な節があります。
ある意味それはそれで悪くはないと思いますが、このシリーズが(お座敷運転にしろレイアウトにしろ)「テツドウモケイを走らせる事に価値を感じるファン」の琴線を刺激する物に欠けていたのは確かだと思います。
その意味では現在車両専門メーカーの様相を見せているマイクロエースらしいアイテムではないかという気もします。
光山鉄道管理局
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当時、車両についてはKATOやTOMIXを凌ぐ勢いでラインアップを拡充させていたマイクロエースですが線路についてはこれといったものがありませんでした。精々が外国型Cタンクと貨車の短編成の基本セットに付属していた「黒い整形色の道床つきレールのエンドレス」くらいだったと思います。

そんな折に突然変異的にリリースされたのが「ジオラマレールシリーズ」でした。とは言え私の近所の模型屋さんでは実物が並んでいるのをみた事がなく、いまだにジオラマレールの実物というのを見た事がなかったりします。
今回、架線柱、柵のセットに付属していたチラシで初めて大まかなアウトラインがわかった次第です。このチラシがまた(色々な意味で)面白いのなんのって(笑)
このシリーズは線路に線路際のシーナリィがついた独特な形状。これらを組み合わせて手軽にレイアウトが組めることを売りにしていた様です。基本セットは内回りの単線エンドレスの内側に情景マットが付き、増設用の外周りエンドレスでは線路の外側にマットがついてきるので複線にすると線路の両側にシーナリィが付いたモジュールレイアウト風の情景が出現するという寸法です。
よく見ると直線部に川と鉄橋のついたのまであって、意外にレイアウトっぽいものにはなっています。
まあ、そこまでは素直に面白いと思えるのですが、このシステム、立体交差はもとよりポイントひとつないので著しく拡張性に欠けるのが難点です。
そのくせ複線用に対応している直角クロスレールのオプションがあって「平面交差の8の字」には対応しているのが面白い、というか妙に中途半端です。

ちらしにはオプションパーツを組み合わせたレイアウトプランが掲載されているのですが、スロットレーシングのコースを連想させる妙に幾何学的なトラックプランで鉄道模型のレイアウトとしての魅力に欠けるのが何とも。
内側のカーブはR281、外側はR321で複線間隔は40ミリという事になり37ミリのTOMIXよりも間延びした複線の様です。
当時でもこれに注目していた鉄道模型のファンはそういなかった様な気がしますが、実際それ以上のシリーズ展開がされる訳でもなく何となくひっそりと消えた様な印象があります。
後にこの方法を別なフォーマットで発展させたのはZゲージのマルイProーZのモジュールだったと思いますが、こちらも大して拡張性を発揮できないまま消えた様です。
シーナリィ付き線路という発想は悪くなかったと思うのですが、それでもポイントや立体交差を含めた拡張性が必要だったのではないかと思います。
ビギナーでもポイントや高架線はやってみたい夢のひとつですが、製品でそれらの夢が提示されなかった点マイクロエースは線路システムに関する限りに詰めが甘かった気がしてなりません。
実際、私もパーツのセットを見つけて久しぶりに思い出した様な次第です。
お値段もエンドレスの基本セットで2万円弱。複線だと3万6千円程度と割高感も結構なものです。
これまでにもエーダイやエンドウなど独自の規格のレールシステムで市場に参入したメーカーはありましたが、どれもがポイントこそ設定されていたものの立体交差まで展開する事が出来ずに消えてしまいました。ですが、マイクロのジオラマレールの場合は他メーカーのそれとは異なり「単に列車を気軽に走らせられるお座敷システム」以上の事は考えていなかった様な節があります。
ある意味それはそれで悪くはないと思いますが、このシリーズが(お座敷運転にしろレイアウトにしろ)「テツドウモケイを走らせる事に価値を感じるファン」の琴線を刺激する物に欠けていたのは確かだと思います。
その意味では現在車両専門メーカーの様相を見せているマイクロエースらしいアイテムではないかという気もします。
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この記事へのコメント
とは言うものの複線とはいえあの値段では売れかったのは容易に想像つく感じです。
当時のRMモデルズで実際にトミックスやカトーと組み合わせた作例が掲載されてました。
他社レールと接続可能ということは、ポイントや高架橋などは最初から他社に丸投げする魂胆だったものと思われます。
RMモデルズの記事によれば、ジョイントのパーツを組み換えることでトミックスやカトーとの接続が可能になる仕様でした。
他社のレールと接続可能なことは全く宣伝してなかったと思いますし、割高なので普及しなかったのでしょうね。
>
RM当時の水野氏は「鷲津加美鉄道」をやられていた頃ですから、シンプルなトラックプランに最小限のシーナリィというジオラマレールのポリシーには共感を感じていたのかもしれないですね。
私も複雑なトラックプランで「運転士と転轍手を同じ人が演じる」不自然さと煩雑さに悩むくらいならシンプルかつリアルな線路の流れの中で列車を走らせる方がいいかなとか思う時があります。
>
TOMIXやユニトラックとの接続可能というコンセプトは仰るように「面倒ごとを他社に丸投げ」という意図も多少はあったのかもしれませんね。
ですがポイント部だけ他社製品にしてしまうと「お手軽に運転を楽しむ」という方向性からはずれて行ってしまう(余計な工作や手間がかかる)という点ではあまり感心しない気がします。
この点でTOMIXが「複雑にポイントが集中する電車区や機関区を一体型のベースに収めるシステム」を出してきたのはジオラマレールとは逆のコンセプトを感じて興味深い気がします。
(手元にヤードを置き、ポイント操作も手動に徹する事で複雑な配線から逃れるというアイデアはお座敷運転の不満点をそれなりに掬い上げている感じもしますね)