地方のテツドウモケイショップの動向に思うこと
今回のはなしは一模型ユーザの立場から一種の放言を並べたような内容です。思い込みや思い違いなども多々あると思いますがその点はご容赦ください。
先日Manicさんのブログを拝見していて、東北地方でファンの聖地となっていた鉄道模型の扱い店が相次いで閉店、縮小しているという記事に当たりました。
そこで取り上げられている店の中には私が帰省のたびにお世話になっていた(いつ行っても空手で帰る事が無いくらいサプライズ性のある品揃えの店)ところもあって読んでゆくうちに身につまされる思いがします。
実際ここ1,2年の傾向として私の現住地はもとより出先の店(但し東京周辺を除く)でも全般に鉄道模型の品揃えは縮小傾向にあります。
これは新品だけではなく中古品でも似たような傾向でして最近では中古ショップに行くにも「欲しいものが無いのを確認しに行く」なんてノリで出かけてしまう事も増えました。
(ましてや最近のコロナ禍で外出自体が減っていますし)
これをもって鉄道模型の趣味自体が縮小しているのかどうかは私には正直分かりません。
ですがここ20年くらいの各メーカーのラインナップを見ていると「地方のショップでテツドウモケイを扱う事が徐々に困難になりつつある」事は実感されます。
その理由のひとつは「アイテムの多品種少量生産化」です。
これまでの鉄道模型の製品化というのは人気車種、或いは実車の普及度が高い機種をモデル化すればそこそこの売り上げを上げられました。
Nゲージの勃興期、その普及の原動力になったのはD51とブルートレインでしたし70年代末のTMSのアンケートでも製品化が希望されていたのは気動車と蒸気機関車だったそうです。
あの当時はまだ国鉄時代で車両のバリエーションが多くなかったのに加えてD51や485系、キハ58系の様な全国区の形式が多かった。
言い換えるなら当時の鉄道ファンにとって共通言語足り得る形式が多かったという事でもあります。
だからそれらの形式が製品化され、店頭に並べば何はともあれ一定の数を売る事が出来た訳です。
しかし国鉄が分割民営化され、地域ごとに独自の定番形式が作られるようになるとそうした共通言語ともいえる形式がなくなり形式の分散化が著明になり始めます。
で、21世紀の初めくらいからは「地域によって売れ線モデルが変わってしまう事」が恒常化し始めます。
まあ、そうでなくても鉄道趣味は地域による嗜好の偏在が他の乗り物ジャンルよりも激しいといえますから勢い多形式を少量生産する方向にシフトせざるを得なくなる。
(この「共通言語」を「メジャー形式の地方私鉄への譲渡車」という形で焼き直してヒットに繋げたのがトミーテックの鉄道コレクションと言えます。しかしこの手もそう長くは続けられないですから一種過渡期のジャンルではあります)
そうなるとせっかく多くの種類の製品を並べても、それらの大半がいつまでも売れ残ったままの棚塞ぎになってしまう事になります。
それでいて模型店という業種は「ある程度の品揃えのボリュームを常に見せつけていないと客が寄ってこない」という特殊性も持ち合わせていますから事は厄介です。
かくして地方の店では「いつ売れるのかわからない(それでいてそれを支持するユーザーがいつ現れるかわからない)在庫車が店内を埋め尽くし収拾がつかなくなる繰り返し」に消耗する事になります。
売れ線モデルだけ揃えるというのは一見すると好いのかもしれませんが、そういうところはどうしても品揃えが薄っぺらに見えてしまうジレンマもあります。
それに鉄道模型ファン自体の嗜好も年を追うごとに細分化が進んできていますからモデルの多品種化の方向は今後ますます加速する事は間違いありません。
ですから今後は地方のショップは全国のユーザーを相手にした通販に軸足を移すか、予約販売のみの商売にシフトする傾向が今後強まるのではないかと感じてはいます。
ですがこういう傾向が加速してしまうと「鉄道模型を手に取って確かめながら購入する」という模型の買い物として一番大切な買い方ができるのが大都市圏の一握りの専門店でしかできなくなるという事になりかねません。
地方在住のファンとしてはそれが一番困る事です。
これに歯止めをかける為の即効性のある方法というのはなかなか見つからないでしょう。
私なんかでも考えつく事と言えば(非常に時間がかかる地道なやり方ですが)少しでも鉄道模型の購入層のパイを広げるしかないような気がします。
具体的には地元の一般層にアピールする形での鉄道模型の絡むイベントを積極的に行い、この趣味の魅力をできるだけ多くの人に知ってもらうこと、あるいは他地域の客を呼び込めるような店としての特徴、魅力を構築するとかと言ったことでしょうか。
もちろんこれは店側の努力だけで成し遂げることは難しいでしょうから地元のファンとの協力を密にし、店とファンとの両輪でこれを行なう形でそれが行なえれば理想的ではないかと思います。
最近は県域、地方レベルでの鉄道模型イベントが増えつつありますし、私の所属するクラブがそうであるように地元の商業施設や祭りとコラボする形でのイベントに乗っかる形で地域とのつながりを広げるケースも徐々にではありますが現れつつあります。
或いはショップ自体が異業種との連携の中でテツドウモケイの店としての性格をアピールする事で県域外の顧客を獲得するというケースもありうるでしょう。
テツドウモケイというのはどうしても個人レベルのインドアなホビーになりがちなのは間違いありませんが、一般レベルにその楽しさをアピールしてゆく方向性が特に地方の場合にはこれからもっと必要になってくるような気がしてなりません。
今回も個人レベルの考察としてはとりとめのない形になってしまいました。結論も曖昧なままですが、ご勘弁ください。
(写真は本題とは関係ありません)
光山鉄道管理局
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先日Manicさんのブログを拝見していて、東北地方でファンの聖地となっていた鉄道模型の扱い店が相次いで閉店、縮小しているという記事に当たりました。
そこで取り上げられている店の中には私が帰省のたびにお世話になっていた(いつ行っても空手で帰る事が無いくらいサプライズ性のある品揃えの店)ところもあって読んでゆくうちに身につまされる思いがします。
実際ここ1,2年の傾向として私の現住地はもとより出先の店(但し東京周辺を除く)でも全般に鉄道模型の品揃えは縮小傾向にあります。
これは新品だけではなく中古品でも似たような傾向でして最近では中古ショップに行くにも「欲しいものが無いのを確認しに行く」なんてノリで出かけてしまう事も増えました。
(ましてや最近のコロナ禍で外出自体が減っていますし)
これをもって鉄道模型の趣味自体が縮小しているのかどうかは私には正直分かりません。
ですがここ20年くらいの各メーカーのラインナップを見ていると「地方のショップでテツドウモケイを扱う事が徐々に困難になりつつある」事は実感されます。
その理由のひとつは「アイテムの多品種少量生産化」です。
これまでの鉄道模型の製品化というのは人気車種、或いは実車の普及度が高い機種をモデル化すればそこそこの売り上げを上げられました。
Nゲージの勃興期、その普及の原動力になったのはD51とブルートレインでしたし70年代末のTMSのアンケートでも製品化が希望されていたのは気動車と蒸気機関車だったそうです。
あの当時はまだ国鉄時代で車両のバリエーションが多くなかったのに加えてD51や485系、キハ58系の様な全国区の形式が多かった。
言い換えるなら当時の鉄道ファンにとって共通言語足り得る形式が多かったという事でもあります。
だからそれらの形式が製品化され、店頭に並べば何はともあれ一定の数を売る事が出来た訳です。
しかし国鉄が分割民営化され、地域ごとに独自の定番形式が作られるようになるとそうした共通言語ともいえる形式がなくなり形式の分散化が著明になり始めます。
で、21世紀の初めくらいからは「地域によって売れ線モデルが変わってしまう事」が恒常化し始めます。
まあ、そうでなくても鉄道趣味は地域による嗜好の偏在が他の乗り物ジャンルよりも激しいといえますから勢い多形式を少量生産する方向にシフトせざるを得なくなる。
(この「共通言語」を「メジャー形式の地方私鉄への譲渡車」という形で焼き直してヒットに繋げたのがトミーテックの鉄道コレクションと言えます。しかしこの手もそう長くは続けられないですから一種過渡期のジャンルではあります)
そうなるとせっかく多くの種類の製品を並べても、それらの大半がいつまでも売れ残ったままの棚塞ぎになってしまう事になります。
それでいて模型店という業種は「ある程度の品揃えのボリュームを常に見せつけていないと客が寄ってこない」という特殊性も持ち合わせていますから事は厄介です。
かくして地方の店では「いつ売れるのかわからない(それでいてそれを支持するユーザーがいつ現れるかわからない)在庫車が店内を埋め尽くし収拾がつかなくなる繰り返し」に消耗する事になります。
売れ線モデルだけ揃えるというのは一見すると好いのかもしれませんが、そういうところはどうしても品揃えが薄っぺらに見えてしまうジレンマもあります。
それに鉄道模型ファン自体の嗜好も年を追うごとに細分化が進んできていますからモデルの多品種化の方向は今後ますます加速する事は間違いありません。
ですから今後は地方のショップは全国のユーザーを相手にした通販に軸足を移すか、予約販売のみの商売にシフトする傾向が今後強まるのではないかと感じてはいます。
ですがこういう傾向が加速してしまうと「鉄道模型を手に取って確かめながら購入する」という模型の買い物として一番大切な買い方ができるのが大都市圏の一握りの専門店でしかできなくなるという事になりかねません。
地方在住のファンとしてはそれが一番困る事です。
これに歯止めをかける為の即効性のある方法というのはなかなか見つからないでしょう。
私なんかでも考えつく事と言えば(非常に時間がかかる地道なやり方ですが)少しでも鉄道模型の購入層のパイを広げるしかないような気がします。
具体的には地元の一般層にアピールする形での鉄道模型の絡むイベントを積極的に行い、この趣味の魅力をできるだけ多くの人に知ってもらうこと、あるいは他地域の客を呼び込めるような店としての特徴、魅力を構築するとかと言ったことでしょうか。
もちろんこれは店側の努力だけで成し遂げることは難しいでしょうから地元のファンとの協力を密にし、店とファンとの両輪でこれを行なう形でそれが行なえれば理想的ではないかと思います。
最近は県域、地方レベルでの鉄道模型イベントが増えつつありますし、私の所属するクラブがそうであるように地元の商業施設や祭りとコラボする形でのイベントに乗っかる形で地域とのつながりを広げるケースも徐々にではありますが現れつつあります。
或いはショップ自体が異業種との連携の中でテツドウモケイの店としての性格をアピールする事で県域外の顧客を獲得するというケースもありうるでしょう。
テツドウモケイというのはどうしても個人レベルのインドアなホビーになりがちなのは間違いありませんが、一般レベルにその楽しさをアピールしてゆく方向性が特に地方の場合にはこれからもっと必要になってくるような気がしてなりません。
今回も個人レベルの考察としてはとりとめのない形になってしまいました。結論も曖昧なままですが、ご勘弁ください。
(写真は本題とは関係ありません)
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