「こち亀」とレイアウトのはなし
先日来紹介している漫画とテツドウモケイのはなしから
通巻200巻で完結した秋本治の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」
主人公の両津勘吉の破天荒なキャラクターややたらに濃いサブキャラが暴れ回るテンションの高さと適度に人情・レトロ系の話題にも意を配ったバランス感覚の高さでジャンプ最長の連載期間を乗り切った一作なのは皆さんもご存知の通りです。
一方で本作はありとあらゆるホビーについて蘊蓄やマニアの世界を(漫画的に誇張しながら)謳いあげる「ホビーマンガのお手本」という側面もあるのが見逃せません。
で、あれだけの話数があるのですから、鉄道模型のネタを使った作品が複数あるに違いないと睨んでいたのですが高志国太郎さんのブログのコメントやレサレサさんからの情報提供により該当する作品が(やっぱり)存在していたことを知り、折に触れて該当の話の入った単行本を探していました。
とはいえ、どういうわけか私の地元では新刊・古本屋ともに当該の巻が置かれておらず1年くらい往生していました(さっき気づいたのですが電子書籍でなら簡単に入手できたはずです。なぜ今までそれに気づかなかったのか)
先日ようやくいくつかを揃えることができたのでこの機会に紹介して見ようかと思います。
まず単行本22巻所収の「線路は続く!」の巻
冒頭から「プラモ屋の店じまいセールで入手したTOMIXのNゲージ線路を派出所内に敷き回す両さん」から始まります。何故TOMIXかというと「地元葛飾のおもちゃ会社トミーはわし好みのおもちゃを作ってくれる」だそうです。
そこに飛び込んだ仕事は「秘蔵の模型を盗まれた地元の鉄道マニアに事情聴取」
出かけてみると「レイアウトはもとより実車の蒸機まで飾られた一人JAM状態のホビールーム」がお出迎え、しかもそれだけでは足りずに近郊に「1/2スケールのレイアウトを建設中(ロムニー鉄道並みですな)」という筋金入りマニアのおじさんが登場します。
そこに鉄道模型を人質に金を要求する「レイアウトジャッカー」までもが登場し・・・
というのが大まかなストーリー。
続いては154巻所収の「よみがえれ!!鉄魂!!」の巻
大叔母の経営する超神田寿司の座敷で管を巻いている両さんに届けられたのは
Nゲージの線路セット。早速座敷中に線路を敷き回し檸檬やみかんと運転に興じる両さんだったがふとしたことから「Nゲージの線路の地下鉄網を構築して寿司屋の出前に使う」という壮大な計画を思いつく!
やがてお得意さんへの路線延長も完成し、5列車同時運転の「出前地下鉄」が開業の運びとなるが・・・
前回よりもスケールがアップすると同時に冒頭に「両さんの鉄道模型マニアの分類講座」まで付いてきて充実度の高い一編です。
初読の時その蘊蓄に驚かされましたが、実はこれでもまだ甘かった事を思い知ったのが
168巻所収の「最新鉄道模型の巻」
ある日派出所に届いた両さんあての荷物
それは「世界初の量産型HOゲージレイアウト」だった
その「29万円というお値段」に驚く麗子だが、両さんがそれにカチンときた事から「以後延々8ページにわたる両さんの鉄道模型講座」が開陳されるのだった!
(これがなんと前に紹介した少年サンデーの「鉄道模型グラビアよりページが多い」のですよ驚)
一般向け漫画でこれほど詳細な「鉄道模型講座」が掲載されたのはまさに前代未聞と思います。
ここでの主役はHOゲージですがNゲージの成立の経緯にも触れられていて下手な入門書よりも要領がいいくらいです(笑)
尤も「HOは外国サイズなので」とか「メルクリンとフライッシュマンが同じ線路上を走れると誤解させる表現」とかもあったりしますが。
ここでのHOレイアウトも超急曲線なので漫画の様にDF50が走り切るのは難しそうですが、今なら「猫屋線のナロー」でこの種の出来合いレイアウトも可能かもしれません(おそらくこれなら29万もしないと思いますし)
ここまで俯瞰して感じるのは「後になるほど両さんの蘊蓄が濃くなってゆく点」です。
おそらく22巻の時点では一般レベルでは「NとHOの区別がつかない層」も多かったと思われますが、時代が下がるにつれて一般レベルでの認知が進みHOのレイアウトの話が通用する位にまでなったという事かもしれません。
光山鉄道管理局
HPです。
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通巻200巻で完結した秋本治の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」
主人公の両津勘吉の破天荒なキャラクターややたらに濃いサブキャラが暴れ回るテンションの高さと適度に人情・レトロ系の話題にも意を配ったバランス感覚の高さでジャンプ最長の連載期間を乗り切った一作なのは皆さんもご存知の通りです。
一方で本作はありとあらゆるホビーについて蘊蓄やマニアの世界を(漫画的に誇張しながら)謳いあげる「ホビーマンガのお手本」という側面もあるのが見逃せません。
で、あれだけの話数があるのですから、鉄道模型のネタを使った作品が複数あるに違いないと睨んでいたのですが高志国太郎さんのブログのコメントやレサレサさんからの情報提供により該当する作品が(やっぱり)存在していたことを知り、折に触れて該当の話の入った単行本を探していました。
とはいえ、どういうわけか私の地元では新刊・古本屋ともに当該の巻が置かれておらず1年くらい往生していました(さっき気づいたのですが電子書籍でなら簡単に入手できたはずです。なぜ今までそれに気づかなかったのか)
先日ようやくいくつかを揃えることができたのでこの機会に紹介して見ようかと思います。
まず単行本22巻所収の「線路は続く!」の巻
冒頭から「プラモ屋の店じまいセールで入手したTOMIXのNゲージ線路を派出所内に敷き回す両さん」から始まります。何故TOMIXかというと「地元葛飾のおもちゃ会社トミーはわし好みのおもちゃを作ってくれる」だそうです。
そこに飛び込んだ仕事は「秘蔵の模型を盗まれた地元の鉄道マニアに事情聴取」
出かけてみると「レイアウトはもとより実車の蒸機まで飾られた一人JAM状態のホビールーム」がお出迎え、しかもそれだけでは足りずに近郊に「1/2スケールのレイアウトを建設中(ロムニー鉄道並みですな)」という筋金入りマニアのおじさんが登場します。
そこに鉄道模型を人質に金を要求する「レイアウトジャッカー」までもが登場し・・・
というのが大まかなストーリー。
続いては154巻所収の「よみがえれ!!鉄魂!!」の巻
大叔母の経営する超神田寿司の座敷で管を巻いている両さんに届けられたのは
Nゲージの線路セット。早速座敷中に線路を敷き回し檸檬やみかんと運転に興じる両さんだったがふとしたことから「Nゲージの線路の地下鉄網を構築して寿司屋の出前に使う」という壮大な計画を思いつく!
やがてお得意さんへの路線延長も完成し、5列車同時運転の「出前地下鉄」が開業の運びとなるが・・・
前回よりもスケールがアップすると同時に冒頭に「両さんの鉄道模型マニアの分類講座」まで付いてきて充実度の高い一編です。
初読の時その蘊蓄に驚かされましたが、実はこれでもまだ甘かった事を思い知ったのが
168巻所収の「最新鉄道模型の巻」
ある日派出所に届いた両さんあての荷物
それは「世界初の量産型HOゲージレイアウト」だった
その「29万円というお値段」に驚く麗子だが、両さんがそれにカチンときた事から「以後延々8ページにわたる両さんの鉄道模型講座」が開陳されるのだった!
(これがなんと前に紹介した少年サンデーの「鉄道模型グラビアよりページが多い」のですよ驚)
一般向け漫画でこれほど詳細な「鉄道模型講座」が掲載されたのはまさに前代未聞と思います。
ここでの主役はHOゲージですがNゲージの成立の経緯にも触れられていて下手な入門書よりも要領がいいくらいです(笑)
尤も「HOは外国サイズなので」とか「メルクリンとフライッシュマンが同じ線路上を走れると誤解させる表現」とかもあったりしますが。
ここでのHOレイアウトも超急曲線なので漫画の様にDF50が走り切るのは難しそうですが、今なら「猫屋線のナロー」でこの種の出来合いレイアウトも可能かもしれません(おそらくこれなら29万もしないと思いますし)
ここまで俯瞰して感じるのは「後になるほど両さんの蘊蓄が濃くなってゆく点」です。
おそらく22巻の時点では一般レベルでは「NとHOの区別がつかない層」も多かったと思われますが、時代が下がるにつれて一般レベルでの認知が進みHOのレイアウトの話が通用する位にまでなったという事かもしれません。
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この記事へのコメント
いや、鉄道模型愛好家でも初心者だとNゲージしか知らない人も居るかもしれません。
私はHOで入門しましたが、当時は今ほどNゲージ優勢ではなかったにも関わらず、友人にHOゲージと言っても誰も解らなかったのを今でも覚えています。
弁天町の交通科学博物館で走ってる模型がHOと一々説明しなければなりませんでした。
色々なゲージを扱う模型店でも、初心者にはNゲージしか奨めない店員ばかりなのも問題ですが。
話が逸れましたが、こち亀では鉄道模型の蘊蓄がよく語られてましたね。
トミックスやメルクリン、リバロッシなど鉄道模型メーカーの社名もよく出てきましたし…
鉄道模型で寿司を届ける話、あれだけレールを延長したら電圧降下でまともに走らないのでは?と突っ込みを入れたくなりましたけど。
その点に触れてなかったのはツメが甘いとは思いました。
一般レベルでは概ね「テツドウモケイ=Nゲージ」のイメージが強いと思いますが、最近では「オトナのホビー」を標榜する向きがHO推しなのでHO・16番もそこそこ認知があると思います。
流石にZ・TT・Gゲージとなると難しいですがw
こち亀の鉄道模型ネタ、ブログでは触れませんでしたが実際は突っ込みどころ満載の面もあります。
(Nゲージで寿司を運ぶのもそうですし2モーターの扱いなんかも難があります)が、そこはマンガ的誇張と割り切る必要もありそうですね。