商品としてのテツドウモケイのレイアウトに思ったこと・その1

 今回は先日紹介した「こち亀」の鉄道模型ネタを読んでいてふと思ったことから書いてみたいと思います。
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 単行本168巻所収の「最新鉄道模型の巻」ではHO(16番)の完成品レイアウトが29万円で発売された話でした。
 作中で両さんが「レイアウトは全てが手作りで大きさによって手間が2倍、4倍と違ってくる」「どれも一点もので高価だったので鉄道ファンは欲しくても眺めるだけなのだ」と力説するところから始まり、

 「そこでファンの声に応えて大量生産によってコストを下げて30万を切る価格となったおそらく世界初の量産型のHOのレイアウト」が登場となる訳ですw

 原作を見ると作中のレイアウトは単線のエンドレスで側線なし、最急カーブはかなりキツく作中のように16番のDF50といえどもこのカーブをクリアするのは難しそうです。ただ「週刊鉄道模型」を思わせるシーナリィはそこそこ付いていますし雰囲気はなかなか良さそうです。
 まあ、この辺りは「漫画としての誇張」と言う事でそこに突っ込むのは我ながら無粋とは思います(だったら書くなw)
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(NRE TrainShop 2006年12・1・2月号14Pより画像引用)
 ですがわたし個人が気になったのは実はそこではありません。
 つまり、量産化で格安になったとはいえ「完成品の出来合いのレイアウトがただ安いと言うだけで売れるだろうか?」と言う疑問です。

 完成品とはいえ「何から何まで同じ風景、同じトラックプランのレイアウトがあちこちのマニアの家に同じ様に鎮座している光景」と言うのがわたしには想像できないのです。

 完成品の出来合いを大枚叩いて買うと言う行為から得られるものとは端的に言って「所有欲の満足」ではないかと思います。
 これは高級車やブランド品とか、高級オーディオなんかにも共通する心理であり、いってみれば「所有することによるステイタス性の誇示」の側面もありうるでしょう。
 その目で見た場合、市販品の出来合いのレイアウトにそこまでのステイタス性を感じさせるものがあるのかというのがまず最初に出てくる疑問だったりもします。
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(NRE TrainShop 2007年1・2・3月号1Pより画像引用)
 更に言えば鉄道模型のレイアウトほど「個人の好みの違いが端的に示される物はない」と言うのもまた確かではないかと思います。
風景の好みひとつとっても都会風ありローカル風あり、近郊風景あり、渓谷や海岸などそれぞれの風景に魅力を感じる人もあるでしょう。さらにトラックプランや走らせる車両の好みを加味するとそれこそニーズは無限大に広がると思います。

 レイアウトを作る趣味にはまり込むと言うのはまさにそうした個人の嗜好を最大限に反映させたいという事であり、そう言う人にとっては最大公約数的なシーナリィの出来合いのレイアウトに魅力を感じるとは到底思えないのです。

 (とはいえ、流石にレイアウトひとつが1万円くらいで買える位ならば自分の好みを押し殺してでも買うかもしれないですが笑)

 その一方で凄腕のモデラーの方が精魂込めて作った一品物のレイアウトやセクションなんかが奥なんかで売りに出る事があったりしますが、これを買うと言うのは上記の出来合い品を買うのとは些か意味が変わってきます。
 これは文字通り工芸品や美術品を買う様な感覚で「作り手が作品に注ぎ込んだ労力やセンスにお金を払っている」訳ですからお値段的に「適正値に近い」取引がされることもありうる訳です。

 しかも「他の誰も持っていない」と言う点でのステイタス性は確かにありますし。
 (或いはレイアウト製作そのものを専門の業者に発注するというのもこれに含まれるかもしれませんが、予算も相当に膨らみそうです)

 ですがわたしなんかがそうである様に「腕が拙くとも自分の狙った風景の中で自分の好みの車両を走らせたい」と言うニーズは存在し続けるでしょうし、趣味のレイアウトの本質の一つはそこにある様に思えてなりません。
 ただ、大概の場合はスペースや予算、何より自分の腕やセンスの問題から大なり小なり妥協を強いられるのも確かなのですが汗

 とは言うものの、だからといって出来合いレイアウトのニーズが今後もないのかと言うとそうも思えない気がしているのも確かです。
 その理由は「レンタルレイアウトの普及」「イベントとしての鉄道模型」の発達の二点によるのですが、それについては次の機会にでも書いてみたいと思います。

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この記事へのコメント

柴乃
2021年05月28日 16:05
以前、畑川政勝さんの「鉄道模型のある生活」サイトで、完成品レイアウトの新聞広告のSSが載ったことがあります。

その完成品レイアウトを検索してみたら
「昭和ふるさと鉄道」という製品で、
90cm×60cmの複線レイアウトでEF64とワム38000が2両ついて完成品で20万円(税抜き)。
専用アクリルケースが38000円(税抜き)。
建物や人形はジオコレが使われているように見えました。

私たちレイアウトを作って楽しんでいる人間からすれば、ミニレイアウトでも作るの相当な手間と時間と工夫とアイディアが必要だと分かっていますが、興味のない人から見ればこんなもので20万円!?ではないでしょうか。

90cm×60cmのエンドレスのレイアウトだと、1~2両の気動車や鉄コレの電車辺りならいいですけど、自宅の近くを走っている通勤電車やコンテナ貨物列車を走らせたら思いっきり似合いませんしね。

4~5両の通勤電車を走らせようと思うと、やはり畳1枚分くらいにスペースが欲しくなりますし、そうなったら完成品を購入して設置・・・というのは無理がありますよね。

初心者ほど一つのレイアウトでいろんな列車を走らせたくなると思うでしょうから、「買ったけど損した」と思われてしまうのではないかと思います。
光山市交通局
2021年05月28日 23:05
>柴乃さん

 まさに仰る通りで、出来合い品の場合どうしても各ユーザーの嗜好に完全にフィットした製品を出しづらいと思います。

 Nだったら最低定尺合板大のサイズのレイアウトでないと編成物はきついでしょうし、そうなればなったで定置するスペースに困るというジレンマがあります。

 (あくまで「線路の載った平台」に徹するつもりであれば抜け道的なアイデアはあるのですが)
鉄道模型大好きおじさん
2021年05月29日 06:29
厳密に言えば完全な完成レイアウトではありませんが、カトーのデスクトップレイアウトはよく売れているみたいですね。
既に地形工作やレール敷設は完了しているので、あとはストラクチャー等を配置するだけというのが人気の秘密らしいです。
ボードを継ぎ足して拡張する人も居ますね。

20年くらい前、マイクロからも半完成レイアウトが出ていましたが、こちらは短命でしたね。
確かD51がオマケとして付属していたと思います。
レサレサ
2021年05月29日 12:11
自分の場合レイアウトに限らずストラクチャーも、市販品まんまだと面白くないのでいじる(塗り替え程度含む)派ですね。

なんというかその時が一番面白いです。

現在のところ極小店舗(GMの住宅キット屋根を半分に切って、これ準拠で看板建築風の店を作る。左右は窓無しトタン張り、奥側に張り出し増築。)を製作していますが、作ってみるとトミックスの商店長屋と別メーカーでありながらあうという不思議。
光山市交通局
2021年05月31日 22:26
>鉄道模型大好きおじさん

 KATOのデスクトップレイアウトはこの種の製品としては気合いの入り方が優れていたせいもあって完成度は高かったと思います。
(確かベースはNOCHせいでしたっけか)

ただストラクチャー配置に関しては自由度も高かったですが、それに比してトラックプランが単純だったのは「買ってすぐ運転を楽しめる」という点での訴求禄に欠ける印象があります。

その点(出来合いレイアウトというのとは少し異なりますが)メルクリンのレールセット&レイアウトマットはひととおり揃えると見るからにあらゆる運転が楽しめそうなトラックプランになっていて50年前の製品でもかなり魅力的に見えます。

これ位のものが和製レイアウトで製品化されていたら・・・とか思ってしまいますね。
光山市交通局
2021年05月31日 22:30
>レサレサさん

 ストラクチャーの改造とか加工で自分流にしてしまう楽しみというのはGMのキット以来の和製モデルの伝統芸ではないかと思います。
 GMはもとよりTOMIXも一時期このジャンルには熱心でしたね。
(それだけに逆に「吊るしで素組みしてしまうとぱっとしない」という弱点もあるのですが)

 安価だったころのジオコレも結構改造、加工が楽しめるものが多かったですがこちらは何故か売る側が改造をアピールしなかったのは謎ですw
レサレサ
2021年06月01日 00:31
>光山市交通局様
>安価だったころのジオコレも結構改造、加工が楽しめるものが多かったですがこちらは何故か売る側が改造をアピールしなかったのは謎ですw

ジオコレの場合、ABS樹脂なのでタミヤセメントが効かないのはいいとしても、説明書でははめ込むことになっているパーツ(窓ガラスやヒサシなど)が接着剤で固定とか「何か改造を拒否している」ような印象受けましたね。
(その後ABS樹脂がアクリル用接着剤で溶けると知ってそれを使うようになりましたが)

一番ひどいと思ったのが「何の用途で売っているのか?」と思えたレンガや石壁の板。
GMや津川洋行のこの手のパーツは「無垢のプラスチック(石ならグレー、レンガなら茶色の形成色。無論実際は塗装前提)の表面に模様」か「紙に印刷で凹凸表現」のどちらかなのですが、ジオコレは「分厚いABS樹脂の凹凸表面に塗装でレンガや石の質感表現」です。
・・・塗装だと切断面が白くなっちゃうでしょ・・・
・・・おまけにABS用接着剤も効きません(塗装が解けるだけでこれが邪魔して張りつかない)し、じゃあシンナープールで落ちるかというとラッカーシンナーには鉄壁w
分厚いから紙と違って曲げられないし、上述の仕様で加工もできない。ただそのまんまで切通しの一枚壁(それも直線限定)か長方形の石畳にしろと?

わざわざコストと手間かけて何作っているのかと問いたかったです。
光山市交通局
2021年06月03日 18:30
>レサレサさん

 特に最近のモデルはビルの階数調整くらいしかユーザーに手を加えさせないようなモデルが増えましたね。

 石壁の板は「週刊SL鉄道模型」に付いて来た事がありましたが、形状も去る事ながら時間がたつと徐々に反り返って来る構造が問題でした。シーナリィに使うのはきつい印象です。