ヴィンテージNモデルの「床下ゴリゴリ系」のはなし
先日紹介した鉄道模型ネタのWEBマンガ「TEZMO SYNDOROME(テツモ シンドローム)」絡みのはなしをもう一本書かせて頂きます(大汗)
前にも紹介した様に本作の第一回を飾るのは「TOMIXのサロ112」
本編では主に「モデルとして凝りに凝りまくった床下表現と造形」を中心にヴィンテージのNゲージモデルを魅力的に描いている一編で、私自身その展開には引き込まれました。
1977年の秋頃にリリースされたTOMIXの113系は「私が初めて自分の小遣いをためて購入したデンシャモデル」という事で今でも強い印象を持っていました。
中でも床下表現の凝りっぷりはそれまで「シルエット的な床下機器表現の関水金属」や「ウェイト兼用の大雑把な床下機器造形のGMキット」(※注)とは明らかに一線を画すものでした。
当時のTMSでTOMIXが打った広告も「先頭車そっちのけでサロ112の床下どアップ写真をでかでかと載せていた」位でしたからメーカーの心意気は強く感じたものです。
本来、マニアの間では鉄道模型は「目の高さに車両を置いて見上げるアングルの中にリアルを感じる」と思われていた訳でキーストンプレートなんかの造形は「車体をひっくり返さない限りわからない」拘りな訳です。
少なくともHO以上の大きさのモデルで「車体を裏返して床下造形を愛でる」なんてのはあまりイメージできません。
ですがプラ造形で軽量なうえに車体が手のひらに収まるNゲージなら裏返して造形を眺めるのは容易。それどころかパッケージからモデルを引っ張り出せば一度や二度は床下に目が行く確率も高い訳で。
してみるとこの床下造形への拘りは「Nゲージの特性をTOMIXが自分なりに解釈した結果」とも言えるし「自社のNゲージ車両モデルのウリ」と捉えていたのかもしれません。
そんな事を思いながら久しぶりに件のサロ112を手に取って見ると、やっぱり凄い。
実車に存在しないらしい「横須賀色のサロ112」ですが、元々スカ色の好きな私からすればそんな些細な事はどうでもよろしい(爆笑)
床下機器の凝りっぷりは伝説的なレベルですがトイレ流し管なども生真面目に造形してくれたおかげでそれらがストッパーになってしまい他車よりも台車が首を振らないおまぬけな面も併せ持っています。
同じ113系1000番台をこのTOMIXと後から出たKATOで比較してみると前面の造形ではモールドのかっちり感や、細密度ではKATOが上回るのに
車体を裏返すと造形でTOMIXの圧勝という妙な逆転現象が確認できます。
113系で味を占めた(?)TOMIXが次に送り出したのは「西武レッドアロー5000系」
113系の床下が黒色の造形だったのにレッドアローは明るめのグレーだったので細密感は更に際立っており、特にモハ5004,5054のそれはキーストンプレートの表現も含めて「立体の鉄道車両図鑑」の様相すら呈しています(笑)
さて、それでは当時の他メーカーでそれに追随する動きがあったのかというと私の知る限りではこれに肉薄しているのはKATOがキット形式でリリースした「京急デハ800系」位でしょうか。
KATO初のキットという事もありどうやって他社との差別化を図るか考えたKATOの拘りが屋根上高圧配線の別パーツ化と「床下機器の密度」だったのではないかと思います。
まるで偏執狂的に羅列された床下機器の配列(まあ実車がこういう構造だから仕方ないのですが)
当時はこれをユーザーがひとつひとつランナーから切り取って接着していった訳ですが一通り仕上がると完成品では得られないような密度の高い床下表現のモデルが我が手になるという寸法です(笑)
キーストンプレートはともかく、横梁のモールドも表現されていますしKATOもKATOなりに床下ゴリゴリ系に片足を突っ込みかけていた事を示唆させるモデルです。
それから40年近く経った今、殊KATOとTOMIXに関する限りは床下機器の表現は上述のモデルに比べて随分とすっきりした(それでいて細密感とのバランスもほど良く取れた)ものになっています。
(よほどのエラーでもない限り)「あるべき所にあるべき機器が付いている」という点では文句はほとんど出ませんし上回りの細密度との釣り合いもツボを心得たものにはなっていると思います。
でも、上記のモデルの様な「作り手の勢いを感じさせる、他は粗削りでも一点キラリと光るものがある様なモデル」というのは逆に見なくなりました(まあ、今だとそんなモデルは大概クレームや悪評の嵐に埋もれてしまいやすいという事もあるのですが)
この種のヴィンテージモデルの持つ「粗削りなオーラ」はまさに勃興期ゆえの輝きの様な気がしてなりません。
それにしても最初の一編だけで私にこれだけの事を思い出させるのだから「TEZMO SYNDOROME」という漫画は(その情報量も含めて)全く大したものだと思います。
(※注)但しこの傾向はNゲージばかりでなく当時の量産モデルの16番スケールやHOスケールでも似たようなものでした。自作モデルでもタンク類が「バルサブロックや丸棒からの切り出しパーツが木目丸出しでそのまんま床板にぺったり貼り付けてある」というのはざら。専門誌の凄腕モデラーばかりが鉄道模型ファンの総体ではありません。
光山鉄道管理局
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前にも紹介した様に本作の第一回を飾るのは「TOMIXのサロ112」
本編では主に「モデルとして凝りに凝りまくった床下表現と造形」を中心にヴィンテージのNゲージモデルを魅力的に描いている一編で、私自身その展開には引き込まれました。
1977年の秋頃にリリースされたTOMIXの113系は「私が初めて自分の小遣いをためて購入したデンシャモデル」という事で今でも強い印象を持っていました。
中でも床下表現の凝りっぷりはそれまで「シルエット的な床下機器表現の関水金属」や「ウェイト兼用の大雑把な床下機器造形のGMキット」(※注)とは明らかに一線を画すものでした。
当時のTMSでTOMIXが打った広告も「先頭車そっちのけでサロ112の床下どアップ写真をでかでかと載せていた」位でしたからメーカーの心意気は強く感じたものです。
本来、マニアの間では鉄道模型は「目の高さに車両を置いて見上げるアングルの中にリアルを感じる」と思われていた訳でキーストンプレートなんかの造形は「車体をひっくり返さない限りわからない」拘りな訳です。
少なくともHO以上の大きさのモデルで「車体を裏返して床下造形を愛でる」なんてのはあまりイメージできません。
ですがプラ造形で軽量なうえに車体が手のひらに収まるNゲージなら裏返して造形を眺めるのは容易。それどころかパッケージからモデルを引っ張り出せば一度や二度は床下に目が行く確率も高い訳で。
してみるとこの床下造形への拘りは「Nゲージの特性をTOMIXが自分なりに解釈した結果」とも言えるし「自社のNゲージ車両モデルのウリ」と捉えていたのかもしれません。
そんな事を思いながら久しぶりに件のサロ112を手に取って見ると、やっぱり凄い。
実車に存在しないらしい「横須賀色のサロ112」ですが、元々スカ色の好きな私からすればそんな些細な事はどうでもよろしい(爆笑)
床下機器の凝りっぷりは伝説的なレベルですがトイレ流し管なども生真面目に造形してくれたおかげでそれらがストッパーになってしまい他車よりも台車が首を振らないおまぬけな面も併せ持っています。
同じ113系1000番台をこのTOMIXと後から出たKATOで比較してみると前面の造形ではモールドのかっちり感や、細密度ではKATOが上回るのに
車体を裏返すと造形でTOMIXの圧勝という妙な逆転現象が確認できます。
113系で味を占めた(?)TOMIXが次に送り出したのは「西武レッドアロー5000系」
113系の床下が黒色の造形だったのにレッドアローは明るめのグレーだったので細密感は更に際立っており、特にモハ5004,5054のそれはキーストンプレートの表現も含めて「立体の鉄道車両図鑑」の様相すら呈しています(笑)
さて、それでは当時の他メーカーでそれに追随する動きがあったのかというと私の知る限りではこれに肉薄しているのはKATOがキット形式でリリースした「京急デハ800系」位でしょうか。
KATO初のキットという事もありどうやって他社との差別化を図るか考えたKATOの拘りが屋根上高圧配線の別パーツ化と「床下機器の密度」だったのではないかと思います。
まるで偏執狂的に羅列された床下機器の配列(まあ実車がこういう構造だから仕方ないのですが)
当時はこれをユーザーがひとつひとつランナーから切り取って接着していった訳ですが一通り仕上がると完成品では得られないような密度の高い床下表現のモデルが我が手になるという寸法です(笑)
キーストンプレートはともかく、横梁のモールドも表現されていますしKATOもKATOなりに床下ゴリゴリ系に片足を突っ込みかけていた事を示唆させるモデルです。
それから40年近く経った今、殊KATOとTOMIXに関する限りは床下機器の表現は上述のモデルに比べて随分とすっきりした(それでいて細密感とのバランスもほど良く取れた)ものになっています。
(よほどのエラーでもない限り)「あるべき所にあるべき機器が付いている」という点では文句はほとんど出ませんし上回りの細密度との釣り合いもツボを心得たものにはなっていると思います。
でも、上記のモデルの様な「作り手の勢いを感じさせる、他は粗削りでも一点キラリと光るものがある様なモデル」というのは逆に見なくなりました(まあ、今だとそんなモデルは大概クレームや悪評の嵐に埋もれてしまいやすいという事もあるのですが)
この種のヴィンテージモデルの持つ「粗削りなオーラ」はまさに勃興期ゆえの輝きの様な気がしてなりません。
それにしても最初の一編だけで私にこれだけの事を思い出させるのだから「TEZMO SYNDOROME」という漫画は(その情報量も含めて)全く大したものだと思います。
(※注)但しこの傾向はNゲージばかりでなく当時の量産モデルの16番スケールやHOスケールでも似たようなものでした。自作モデルでもタンク類が「バルサブロックや丸棒からの切り出しパーツが木目丸出しでそのまんま床板にぺったり貼り付けてある」というのはざら。専門誌の凄腕モデラーばかりが鉄道模型ファンの総体ではありません。
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この記事へのコメント
50系客車も旧仕様だと床下でキーストンプレートが表現されてますが、尾灯点灯&Hゴム色挿し&ベンチレーター別体化の現行仕様では、機器箱はあれどキーストンプレートの表現は省略されてますね。
tomix旧い製品の床下を見ると、江戸時代の裕福な商人は奢侈のご禁制に触れぬよう着物の裏地に拘った話を思い出します。まあ床板よりは屋根に拘る方が模型としては正解な気もしますが、あえて床板再現に情熱を突っ込んだ設計者と金型師にインタビューしてみたいものです。
現在でもGMは一部製品を除いて床下機器は出鱈目も良いとこですね。
鉄コレに関してはディスプレイモデルと言いながら、床下機器は適当ですし…
実際、床下機器や台車、パンタグラフなんて走らせたら細部の違いなど全く解らないですね。
私は正直なところ、パンタグラフのPS16だのPT42だの違いが解りません。
>江戸時代の裕福な商人は奢侈のご禁制に触れぬよう着物の裏地に拘った話~
実は私もそれを連想しました。
それと「なりは地味でも中身は派手に行くんだ」とふんどしに贅沢をする落語も(笑)
ブログでも書きましたがこういう床板趣味は「手に取って裏返ししやすい」Nゲージゆえという気がやっぱりしますね。
私もパンタグラフの形式にこだわる様になったのは鉄コレ以降です。あれは「パンタの形式が違うと上手く取付穴に収まらない」事が多いので必要上覚えざるを得なかったという面もありますが(笑)
少なくとも80年代くらいまでは「Nゲージでディテールをかぶり付きで観る」なんて発想はそれほどでもなかったと思います。
当時のしなのマイクロとかエンドウなんかは「台車や床板の使いまわし(当然床下機器もプロトタイプとは異なる)」がざらでしたし。
>床下機器
昔のTMS(94年1月号)で小林信夫さんが旧型車について簡易的に説明していましたが、これ結構役立ちます。
【電車】
・エアータンク:円筒形のパーツ、大小2本以上あるのが普通。
・エアーコンプレッサー:横から見ると丸もしくは小判型を枠で吊り下げた構造。
・ブレーキシリンダー:円筒形だが片側に円錐状の突起がある。以上3つはセットなので同じ側が王道。
(空気ブレーキのない非常に古い路面車はこの3点セットがない場合もある)
・主抵抗器:大きさがそろった四角い箱がいくつも並び、ここにスリットがあるもの。
・主制御器:形の違う四角い箱をいくつか組み合わせたもの。この2点が同じ側が王道。(他にヒューズ箱などの細かいパーツがあるがただの箱で場所も任意が多い。)
フリーランス勧めるなら、これぐらい教えてもらえると助かるなぁと思いましたわ。